a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

フェルメール・オランダ・スピノザ、そしてマルチチュード:映画『真珠の耳飾りの少女』

2005年08月29日 | 映画
 映画「真珠の耳飾りの少女」をビデオで見る。最近見た映画の中では、もっとも興味深かった部類に入る映画。そして、これを見ていて、少し元気になった(理由は後述)。映画のストーリーについては、こちらを見て頂くとして、映画の舞台となっているのは、1665年頃のオランダ。そして、おなじくオランダで生活したスピノザが『エチカ』を書き上げるのが、1672年である。フェルメールは、レンブラントと同時代の画家で、オ . . . 本文を読む

芸術と階級について

2005年08月27日 | 理論
 ヨーロッパの現実を見る上で、おそらく芸術と階級の関係を見ることは重要な要素であるだろう。このことを、私は自分の留学において痛いほど、感じた。この「階級的現実」、あるいは「ブルデュー的現実」を体験するというのは、非常に辛い経験でもあったのだが、その「辛さ」は、海外で私が得た貴重な体験であると考えている。少なくとも「観光目的の滞在」では得られなかった体験であろう──「観光旅行」が悪いと言っているので . . . 本文を読む

アルチュセールと国民国家批判:『情況』座談会

2005年08月23日 | アルチュセール『再生産について』
 アルチュセールの『再生産について?イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置』の翻訳出版の際に行われた我々の座談会について、何回かに分けて紹介を。  この紹介のために対談を読み直したのですが、座談会の中心的問題となっているのが国民国家論とアルチュセールの理論の関係になっていることを再確認。アルチュセールのこの「再生産について」は、基本的に、国民国家に批判的なインプリケーションを持っているのだが、し . . . 本文を読む

アルチュセール 「国家のイデオロギー装置」概念

2005年08月19日 | アルチュセール『再生産について』
 昨日までは、「励まし系」の話題を続けたので、今日はアルチュセールのイデオロギー論の草稿である再生産について 上 イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置 (平凡社ライブラリー)について、「一般的な」紹介をします。  本当は、雑誌『情況』に掲載された我々訳者の対談の紹介をするはずだったのですが、その前に、一般的了解としてアルチュセールの議論の紹介を。  彼が提起した「国家のイデオロギー装置」概念は . . . 本文を読む

「落ち込むこともたまには大切」:夏の研究生活 その2

2005年08月18日 | etc.
 私のような OD(オーバードクター)の立場に身を置いていると、その不安定な立場ゆえに、さまざまな不安や困難に見舞われることがあると思います。その結果、「落ち込み状態」に陥ってしまう人というのも、決して少なくないように思われますが、いかがでしょうか?  ただ、今のところ私は、「落ち込むことだって、時には大切なこと」と考えています(^_^.) (あくまで「ときには」ですが 笑)。不安や困難がない人 . . . 本文を読む

夏の研究生活

2005年08月12日 | etc.
 夏休みに入ると、日本において研究に携わる人は、こぞって論文なり出版なりの作業にはいることになるのではないかと思います。とりわけいつもは大学の仕事に追われている方などはそうではないかと……。私などは、ODで非常勤をいくつかやっているだけなので(^-^;、夏休み以外でも時間的余裕はあったりするのですが(苦笑)、そうは言っても、これまで『再生産について』の翻訳に携わっていたこともあり(さすがに400頁 . . . 本文を読む

ある研究会にて

2005年08月03日 | アルチュセール『再生産について』
 先日、早稲田大学の斉藤純一先生が主催されているある研究会にまねかれて参加をする(本当のところ、招かれたのは西川先生で、我々共訳者は「おじゃま虫」として(^-^; )。今回は合評会という形式で、同じく早稲田の清水先生が我々の翻訳にコメントをくださるというもの。  清水先生は、ネグリの『マルクスを超えるマルクス:『経済学批判要綱』研究』を翻訳されており、現代の経済学との関連においてアルチュセールの . . . 本文を読む