複数的人間: 行為のさまざまな原動力 (叢書・ウニベルシタス) | |
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ポストブルデューの社会理論として仏で注目されているライールだが、先日聞いていたブルデュー没後10年のラジオ番組で、彼自身がブルデューとの関係を説明していた。
Hors-champsという番組で、私はポッドキャストで聞いたのだが、ネット上で公開されていたのではないかと思う。
そこで彼が言うには、自分は一度もBourdieusianであったことはないと言っていた。ちなみに彼は博士号論文の副査をブルデューに頼んだのだが、断られたようである。
てっきり私はブルデューの元で研究した後に、彼の理論を批判するに至ったと思っていたのだが、ちがったようである。そうした背景を知ると、彼がある本(自分が編したブルデュー批判の本)において、ブルデューが自身に対する批判を黙殺することを執拗に批判しているのも納得したのだった。
ただ、もとより、様々な事情から、ブルデューは自らに向けられた批判には応えないので、それはライールに限った話ではない。また、仏では、この種の批判に対して沈黙で応えるのは、良くある話である。
また、ブルデューは、自分の指導学生には、ブルデュー理論の研究を許していなかったようであるから、彼がライールノ博士論文の審査を断ったというのも別に、特別な意味があるわけではないと、私個人は思う。
だからといって、ブルデューから発せられる「ある種の力」が、仏のアカデミックな世界になかったわけでもなくて……。まあ、この話は次回のエントリーにおいて話したいと思う。
追記
調べ直してみたら、ライールが出演したブルデューの番組はこちらで聞けます。→Pierre Bourdieu, décrypteur du réel (5/5). Bernard Lahire