a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

なぜアルチュセールか?

2018年11月14日 | 理論
 私の研究の中心は、アルチュセールの社会理論だが、最近は、アルチュセールの文献のみでなく、彼が依拠するマルクスの文献、またマルクスの社会背景である19世紀の歴史などについての文献を直接読む機会が多くなっている。

 それどころか、アルチュセールの文献よりも歴史の文献の方を多く読むときもある。まあ、これは、アルチュセールが自らの理論を展開する際に、言外に依拠するコンテクストを知るためでもあるのだが。

 でも、最近自らに問うのは、マルクスの現代的可能性を探るのであれば、マルクスを読んでいれば良いのではないかという疑問である。で、「なぜわざわざアルチュセールを?」と自らに問う。

 まあ、答えは割と簡単で、マルクスを現代社会で発展的に議論させて行くには、アルチュセールの視点というか、立場を経由するのが役立つからである。というのも、マルクス後には、マルクスの理論を発展させてマルクス主義という議論や研究の蓄積が生まれた。また、社会主義を目指して東側諸国というものも生まれた(そして、その国々は現在では「資本主義」経済の国になっている)。これだけではなく、マルクス主義路論の中にも、党の問題とか、革命論とか、様々な蓄積がある。それは蓄積には間違いないのだが、問題があるものも少なくない。スターリニズムや計画経済の失敗も、その中に含まれるだろう。

 こうした否定的側面を踏まえた上でこそ、マルクス理論の現代的可能性を探ることができると考えれば、アルチュセールを経由することは、重要な回路と言えると現在は考えている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。