『春寒や 利酒楽し 明日香道』
(はるさむや ききざけたのし あすかみち)
『春寒し 回転寿司の 金の皿』
(はるさむし かいてんずしの きんのさら)
『撫で牛の ひんやりとして 梅日和』
(なでうしの ひんやりとして うめびより)
『枝垂れ梅 大地に何を 伝えんや』
(しだれうめ だいちになにを つたえんや)
『ふるさとへ 想いを馳せて 梅二月』
(ふるさとへ おもいをはせて うめにがつ)
『木の芽和 酒の肴の 年の功』
(このめあえ さけのさかなの としのこう)
『鼻唄の ついつい出でて 春おぼろ』
(はなうたの ついついいでて はるおぼろ)
『春水と 思えど指の 冷たさよ』
(はるみずと おもえどゆびの つめたさよ)
『岩登る 亀長閑にも 跡乾く』
(いわのぼる かめのどかにも あとかわく)
『スーパーに 桃の花木の 顔見せて』
(すーぱーに もものはなきの かおみせて)
『タンポポの 一輪見えて 微笑んで』
(たんぽぽの いちりんみえて ほほえんで)
『雛人形 判る歳には まだ早い』
(ひなにんぎょう わかるとしには まだはやい)
『春二番 吹けども誰も 詠みもせで』
(はるにばん ふけどもだれも よみもせで)
『春の簺 一の目ばかり ロクで無し』
(はるのさい いちのめばかり ろくでなし)
簺=さいころ
『春時雨 雫カバーの 溜まり水』
(はるしぐれ しずくかばーの たまりみず)
『速達の 時刻の指定 遅日かな』
(そくたつの じこくのしてい ちじつかな)
『春の雲 ふうわりふわり 春の雲』
(はるのくも ふうわりふわり はるのくも)
『春めきて 己が寿命も 伸びて来て』
(はるめきて おのがじゅみょうも のびてきて)
『菫かな 独活かも知れず 春の酔い』
(すみれかな うどかもしれず はるのよい)
『逃げ水や 凛々しき眉に 一目ぼれ』
(にげみずや りりしきまゆに ひとめぼれ)
『桃の日の 祝の詞に 四句八句』
(もものひの いわいのうたに しくはっく)
『桃の日に 雅に咲くの 夢に見え』
(もものひに みやびにさくの ゆめにみえ)
『木の芽吹く 命の張りの 初々し』
(このめふく いのちのはりの ういういし)
『春浅し 宰相に欲し 品と格』
(はるあさし さいそうにほし ひんとかく)