超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

昭和の家カレー

2016-03-28 21:53:50 | 昭和
血圧やカロリーコントロールを行う者にとって、極悪な食べ物とされてしまうカレーライスだが、ふっくら炊き上がったご飯にアツアツのカレーをかけてハフハフ食べる幸福感は何モノにも代えられない、心ときめくものだ。カレー用スパイスのみを使用した本格インド料理風のカレーもあるが、味噌汁のような家庭の味(母の味)のようなものがあり、それが一番美味いと言う人も多いことだろう。私もそうだったが、母や妻の作成したカレーライスには遠慮なく好みの注文をつける。長年にわたりこの注文に従って改良されてきたのだから、本人にとっては最も美味しいと感じるのは当然である。そして一般的な家庭でこの味を大きく左右するのはやはり「ルウ」だと思う。特別な処方をしない限り、箱に書いてあるカレーの作り方など似たようなものだから、「ルウ」の味が家庭の味の源泉となると思われる。前回の「周辺の生き物とペット談義」編で多少話題となった「昭和のカレー」(なんでこんな話題になったんだろう?だが、忘れないうちに書き留めておこうと思う。

そうだ、ことの始まりは「10万円7万円5万円 運命の分かれ道!」で知られるいとしこいしさんの「グリコがっちり買いまショウ」からだった。スタジオにお置かれた数々の商品の値段を自分で想定し、合計金額がオーバーせずに一定範囲に入っているように「買い物」をするのだが、スポンサーのグリコのサービスなのか、何となく(というかドンズバ)価格の分かっている「グリコワンタッチカレー」を価格調整用に使用することができた。私は仕事の上で明らかに「帳尻合わせ」と見られるモノの購入を「ワンタッチカレー」と呼んで冷かしているが、説明を省くので昭和の人でも気が付く人はまずもっていない。。。子供の頃は誰でもそうだと思うが、私もカレーライスは大好物で、しかも色んな種類の「ルウ」を買ってきては晩御飯に作ってもらっていた。母親はピーマンやコーンなど時々妙なモノを入れるのには閉口したが、特別な味付けなどしない人だったから、「気に入ったルウ」を見つけ出すまでは試行錯誤(というのかなの連続だった。また子供だったから、コマーシャルでカレーを食べる映像には多分に影響を受けていた。

くだんのワンタッチカレーは「がっちり買いまショウ」の微調整役以外に我が家にも登場したはずなのだが、どうもあまり印象が残っていない。「子供会」のキャンプなどで大鍋で大量に作られる時に使われるイメージがあった。一方、西城秀樹さんの「ハウスバーモントカレーだよ〜」はコマーシャルにおいて印象が強くCM効果は高かったが、「辛くなければカレーでない」と信じていた私にはあの「8つくらいに割れたリンゴに上からハチミツがとろーりとかけられる」シーンをみて「あんな甘ったるいカレーなんか食べられるかい!」と退けていた。辛口で作ってもらってもかなり甘目に感じた記憶がある。この二つのルウはS&Bゴールデンカレーを加えて、どうにも私には存在が薄い「マイナートリオ」だった。CMやパッケージに印刷されたカレーライスの色がちょっと黄色く安っぽいイメージがあったのも影響している。S&Bゴールデンカレーはルウそのものは悪くなかったと思うのだが、母が栄養のためか刻んだピーマンをぶち込んでしまい、世にも奇妙な味で再び「買ってくれ」とは言わなかった。

こうして幼い頃から色々なルウを食べ重ねて行き着いたのは「ハウスジャワカレー」である。当時のCMはどれもジャガイモやニンジンの角切り、四角い肉の入った「ごろごろカレー」だったが、ちょっとマイナートリオに比べて色が黒っぽく濃いめ味もかなり辛く「大人のカレー」という感じがした。千葉真一さんのCMが美味しそうで印象が深く、私の好んだこのカレーライスのルウのCMは皆夫婦だったように思う。その後、ザ・カリーとかディナーカレー(メーカーはどこか忘れた)などがあったと思うがどれもそれほど特徴のあるものではなかった。どの「家カレー」もそうだと思うが、作った日よりも翌日の方がなぜか味が沁み込んでいて美味しい。我が家の習わしでは初日はカレーとサイドディッシュが何かついて、翌日は純粋にカレーライスのみ、そしてさらに次の日はさすがに硬めになってしまうので少しだけ水で薄めて、トンカツをのせてカツカレーにして締めるのである。ちなみに週末に実家に行って戸棚を見たらあったのは何と「ゴールデンカレー」と「ディナーカレー」だった・・・(オレの好み、全然覚えてないのね)

    

そして昭和の時代、子供の頃に母が作る「家カレー」に平行して画期的な食品が登場する。「ボンカレー」である。そして確かしばらくしてもう一つの巨頭として現れたのが「ククレカレー」だったと思う。味覚の適当だった私はどちらも似たような味だと感じたが、圧倒的に「ククレカレー」を好んだ。もちろん見た目とCMからである。ボンカレーは何か「前掛けのおばさん」の田舎臭いパッケージであり「3分間待つのだぞ」という子連れ狼のようなCMであり、ククレカレーはなんたって「おせちもいいけど・・・カレーもね♪」のキャンディーズだからである。子供を対象にしたハウスの宣伝勝ちだったように思う。レトルトカレーと言われたこの食品はカレーとは言っても私に言わせるとどれも同じ味にしか思えなかった。その後バブルを迎える時代となって、色んなレトルトものが登場した。何十倍などと辛さばかり追いかける品もあったし、高級料亭の味を思考した種類もあったが、所詮はレトルト・・・あの独特な共通風味が本物の家カレーとはそもそも比較の対象にもならなかった。「中華三昧」がお店のラーメンとは比較にならないのと同じである。我が家を物色したら、以前買ってきた佐渡島の「ぶりカレー」や観艦式の「護衛艦カレー」などもあったが、所詮は邪道、そして味はやはりレトルトである。

    

我が家のカレーは私と息子甘辛の味の好みに加えて妻自身の好みも多分に入っている。と、いうより甘辛はお子様味覚で辛いヤツは食べられないし、私の注文はあまり採用されない。昔の「ごろごろカレー」というよりは、レストランのようなカレーライスを作る。と、言うこと自体が昭和の世界で、最近は「レストランでカレー」などファミレスくらいしか思いつかないかもしれないが、そんな名残りはゴルフ場のクラブハウスで出すカレーライスである。むろんアラジンの魔法のランプみたいな器(あれ、何という名前なんだろ)に入って、一つも食べられない、紅ショウガ、福伸漬、ラッキョウが3つ並ぶガラスの四角い小物入れと共に登場する。我が「家カレー」はファミレスや某ファーストっぽいカレーハウスのように申し訳程度の具材ではなく、マッシュルームや牛バラ肉のようなちょっと上品系なものがたくさん入っている。時々焼き野菜や目玉焼きのような若干亜流アイテムも乗っかっていたりするが、中々味の深い手の込んだ一品だと思う。あまり製作に関する情報は教えてくれないが、複数種類のルウを使用し、いくつかの香辛料と隠し調味料を入れているらしい。ちなみに市販のルウは「とけ込む」があったが、あまり製品自体に拘りはないらしい。実家のようにカツカレー化はせずに、終わりまで平らげた後に「カレーうどん」にするのが特徴だ。たぶん牛乳を使っているのだが、かなりまろやかでコクがあり、甘辛の好物でもある。

  

私は時々野菜と肉の「ごろごろカレー」が恋しくなると、パッケージに書いてある「作り方」に忠実に自分でカレーを作ったりもする。我が家のカレーとは異なるし、母親の「家カレー」」とも違う何か深みのないものとなってしまう。実家では何か特別なことをしているようには見えなかったが、やはり何かが違う。ずーっと前に書いたが、グンマ単身赴任時にこれをやって散々な目にあった。一人で鍋一杯に作成するといつまでたっても無くならないのである。さすがに3日目ともなると同じ味には飽きてきて、パンや餅に乗せたり、ラーメンやうどんにかけたりしていたが、約1週間ちょっとたってようやく底をついたときは身体中がカレー臭くなったような気がした。またそういう時に限って週末に自宅に帰ると「カレーライス」だったりするものである。あれ以来、単身マンションで再びカレーを製作することはなかった。

昭和期の食卓や食堂にカレーライスとともにあったのが「ハヤシライス」だった。この手のものは「辛くあるべし」と思い込んでいた私はハヤシイスなど「お子様」の食べ物だとし、あまり見向きもしなかったが、さらに後期になってハッシュドビーフやビーフストロガノフなる謎の一品料理が登場した。アラジンのランプで別々に出されることはあっても、カレーやハヤシは白米にかけて食べるものだが、これらのニューフェイスはおかずとしてご飯とは別々に口に入れることもあるし、かけて食べることもあるハイブリッドメニューである。しかも不思議なもので同じものでも別々に食べるのとかけて食べるのとでは、どうも味が違うような気がするのは私だけだろうか?「家カレー」というのは多くの人が語れる昭和(今でもあるけど)を代表する晩御飯だろう。学校から帰宅して玄関を開けた時にプワーンと漂っているカレーの香りで、アドレナリンが全開となったものだ。反対にカレーハウスなどの前を通り過ぎると「たまらない香り」にふらふら立寄りたくなるのだが、実際に席に座って注文すして出てきたものは「大したことがない」という思いが結構ある。血圧レコーディング作戦で減塩中の身だが、試しにグリコワンタッチカレーを購入し今度、普通に作成してその味がどんなものだったが検証したいと思う。(ちなみに話のタネに、帰りがてらクイーンズ伊勢丹に寄ってみたけど「ワンタッチ」は見当たらなかった・・・

  


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6 コメント

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Unknown (磯辺太郎)
2016-04-01 23:10:44
小夏様

さすが、師匠はカレー方面にも造詣が深いんですねえ。ケララカレーとは確か、骨付き?の鶏肉を煮込んだようなメニューでしたよね。手が込んでいるんでしょうね。
バーモント青とは辛口、ジャワ緑とは中辛。2種類のルウを入れると味が深くなるという妻と同じ方式なんですね。

師匠!記憶が定かではないんですが、ジェリー藤尾さんファミリーが出ていたCMこそ、調整用グリコワンタッチカレーじゃなかったでしょうか?ちなみにこの週末作ろうとスーパーに寄ったら、陳列棚に姿がありませんでした。

ありました、ありました!カレーマルシェ。」味は同じなおんですが、欧風というのが魅力的でした。ちなみに我が家のカレーにもマッシュルームは入るんですよ。

海鮮ちらし寿司の食べ方もそうですが、アラジンポットに入ったカレーの食べ方も正式版がよく分かりませんね。ちょっとずつかけて食べるのか、どわーっとかけてしまって普通のカレーライス化するのか・・・

玄関開けるとカレーの香り!アドレナリン出まくりでしたねー。「おふくろカレー」有名人でも今まで一番おいしかったとされるんですか?「細切れ」というところが、どういうところが同じなんだろか。
「過去の扉を開けさせる魔力」けだし名言ですねえ。、うちの子は飛び立ちませんが、カレー食べには帰ってくるようです。

マダムヤンって中華三昧の対抗品だったんですかねえ。たしかジュディオングさんだったような・・・妖艶な感じのするやたら高いインスタントラーメンでした。味のほうはあまり覚えてないのですが・・・
最近のラ王というラーメンが美味いと息子は申しております。

ちなみに血圧ならインスタントラーメンもカレーライスも1杯で我慢して、しばらく控えれば大丈夫なようですよ。
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Unknown (小夏)
2016-04-01 15:02:26
出遅れましたっ ペコリ

そっかー、やっぱり成人病にカレーは危険なのですね。
そんな気がして先日はカレー食べたそうなハニ丸に、ならばとルゥを避けケララカレーを押し付け作ってもらいました。はいはい、そこのみなさん、引かないのよっ!(笑)うちではハニ丸作の方が美味しいのですもん。
彼のはバーモント青箱+ジャワ緑箱です

ジェリー藤尾さんが奥さんとお嬢さん方の出ていらしたのは何のCMだったでしょうかネ、ふと浮かんできました。

ボンカレーからしばらくして、マッシュルームの入った欧風というカレーマルシェ、想像もつかなかったですねぇ。

そうそう、銀器のアラジンポットに入ったカレー、
あれ先生と二人きりの時、上等なレストランで出てきて焦ったのよく覚えています。上目づかいに先生のおやりになるようにちょびっとずつすくってかけいただきましたっけ^^

家に帰るやいなや家じゅうに美味しそうなカレーの香り、、あぁ、そうでしたね~\(^o^)/
先日新聞のコラムで丁度カレーについて書かれていたのを読みました。
向田邦子さんがプロデユーサーに今まで食べた中で何が一番おいしかったか?ときくと「おふくろが作ってくれたカレー」と。細切れの?と聞くとその眼が潤んでいて、あぁ、同じなと思ったそうです。
カレーには過去の扉を開けさせる魔力があるんだとか^^
季節柄飛び立つ子たちに「カレーを食べに帰っておいで」と言えばいいんだそうな。そうかもしれないですねぇ(^_-)-☆

余談ですが、中華三昧の頃、マダムヤンっていうのありましたよね。

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Unknown (磯辺太郎)
2016-03-30 22:54:10
月美さま

ははは。タッパの器にがっつりカレーが詰まってましたが、特大のルウ状態でした。スプーンでほじくって食べてましたね。
へーえ、冷たくても美味しいカレーというのがあるんですか。レトルトというのがイマイチ期待感薄いですけどねえ。
おまけ狙いというと、仮面ライダースナックみたいなもの?弁当にカレーというのはやはり違いますねえ。
カレーというだけでなく、ルウ談義もできそうですね。
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Unknown (月美)
2016-03-30 19:46:17
え?ルウ逆戻り状態U+2049U+FE0E (爆笑)お弁当箱の形の 特大ルウが出来てる感じでしょうか。想像がついてしまいます(笑)
息子達が幼稚園の頃 クラスではポケモンカレーという名の お弁当用のレトルトカレーが流行っていたようです。それは冷たくても美味しいらしいから それを持っていきたい、と息子に言われました。シールか何かのオマケ狙いだったようです。でも流石に幼稚園生のお弁当として 白いご飯とポケモンカレーというのは 気がひけて うちは持たせませんでしたけど^^;
しかし 世の中 いろんなカレールウがあるものななのですね。
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Unknown (磯辺太郎)
2016-03-29 21:49:15
月美さま

ボンカレーの「3分間・・・」は印象深いものでした。オヤジが渋い演技してましたよね。そうそう、記憶の彼方にあるものがよみがえる瞬間って鳥肌立ちますよね。特に昭和の話題にはそういうモノが多いです。
ははは。月美さんの行きついたのは「バーモントカレー」ですか。「家カレー」は皆、色々語るところが多いですよね。
シーフードカレーはうちのじゃない・・・・!まさしくそうです!ボクも同じことを実家で主張したことがあるんです!そうそう。違うんですよ!(熱くなってきた・・・)
肉と野菜ごろごろが家カレーの基本なんでしょうかね。
外食で食べるカレーは特徴を出すために色んなメニューがありますね。一時期は10倍20倍なんて激辛シリーズも流行りましたが、今はどうなってるんだろか?
でもやっぱり家カレーとは違います。安心する食べ物は外にはないんでしょう。。。月美さんが辛いのが苦手だとおっしゃるので、男性陣は辛さは外に求めるんでしょうか。
保温できる弁当箱・・・昔象印「ランチジャー」と言ってたやつですかね。クラス中カレーの香り!素晴らしい!
中学時代に弁当にカレーを持ってきたクラスメイトがいましたが、熱々どころか「ルウ逆戻り」状態・・・結構笑われてました。。。
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Unknown (月美)
2016-03-29 07:24:32
夜中に1人でぷぷっと吹き出してしまったのが ボンカレーのCMの子連れ狼!!またまた何十年も思い出した事がない記憶を呼び覚ましていただきました!この瞬間って快感ですね!我が家のカレーもいろんな路線に走りましたが 辿り着いたのはなんとバーモントカレー中辛です(笑)私が辛いのは苦手なので リンゴとハチミツ~大好きです。先日 野球部寮から帰ってきた長男に シーフードカレーを作って食べさせたら「美味しいけど これはうちのカレーじゃない」と言われ、そっか、久しぶりに家で食べたいのは工夫を凝らした料理じゃなくて 子どもの頃から食べてきた肉と野菜の「ごろごろカレー」なんだ!と反省してしまいました。次男も外では辛いカレーを好んで食べるようですが、家で食べたいのは いつものカレーなんだそうです。そして「これを食べると安心するぅ」と言われると いろんなルウや食材を試行錯誤して工夫するカレーではない方が良いのだという結論に辿り着いたのです。主人を入れた男性陣3人に 外ではうんと辛いカレーを食べて美味しかった、と話を聞いても、それはそれとして、家で食べる「うちのカレー」は変えたらいけないんだ…と。息子達はオジサンのイメージを持つ あの保温ができる円柱型の重いお弁当箱にも 高校まではアツアツのカレーとご飯を入れて持っていきました。変わり者だと言われない?と私の心配をよそに、休み時間の早弁にはクラス中 カレーの匂いがぷんぷん!羨ましがられながら フーフーして食べるのが好きだったと言っています(笑)
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