超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

泳ぐイカ

2012-02-25 08:38:32 | 食べ物
今でこそ「何でもこい」で毎週摂取しないと調子が悪くなる魚介類大好きの私だが、子供の頃は魚と言えば「マグロの赤身」、「シラス干し」「アジの干物」しか食べなかった。(それしか食卓の上らなかったとも言えるかも)
食べ盛りの時はやはり「魚」よりは「肉」で、おかずが刺身などであっても必ず「肉野菜炒め」とか「鳥唐揚げ」「ショウガ焼き」などを要求した。父母は富山の生まれなので、「寒ブリ」「バイ貝」「モンゴウイカ」なども好んだが、ワサビが欲しいと思うようになり日本酒が美味い、と思うようになる年齢までは魚をちまちま食って喜んでいるのは「年寄りの証拠だ」と思っていた。学生になって「ホッケの塩焼き」「シシャモ」「アサリの酒蒸し」などのベタな居酒屋メニューを覚え、独身寮や社員食堂で「サバの味噌煮定食」「アジフライ定食」などに出会うようになってから眠っていた私の「魚介好きDNA」が覚醒しだしたような気がする。妻は元々魚のほうが好きなようだった。私の学生時代が妙に長かったので、安居酒屋にもよく付き合わせたが、それまであまり見向きもしなかった「X点盛り」シリーズをよく注文するようになった。

結婚してから世に言う「晩酌」なるものをするようになり、当初「共働き」でいた我々は「早く帰ったほうがツマミを用意する」というプリミティブな原則を持っていた。(まあ、大抵私の方が職場が遠かったから遅かったが・・・)自他共に認める「酒飲み」である我々は「出すだけでよい」刺身が食卓に上ることが俄然多くなって行った。
そんな年月や妻の好みもあり、いつの間にか私は「イカ」無しでは生きられない身体になってしまった。まさしく「洗脳」と呼んでもよい。そのうちに「週に一度は必ずイカの刺身を出すこと」などと要求するようになった。まさしく「思う壺」であろう。。。

肉は肉で好きなのだが、海辺に住んでいて「今はこれが旬」とか「今日はいい●●が上がった」などという会話は魚屋でないと成立しない。湘南モールFILL内の生鮮スーパーの魚コーナーには週末、息子甘辛の通っていた幼稚園の園バスの運転手の方が「捌き係」として腕を奮っていた。(多才だなー)
甘辛が気付いてから色々「おまけ」をしてくれるようになったのだが、そのうち毎週末目の色を変えて刺身を漁る我が夫婦の顔を覚えてくれ、「ちょっと切ってあげるよ」と600円のマグロサクを「夢の6点盛り」に変身させてくれたものだ。。。そんな我々の間に生まれた甘辛なので、「肉よりも魚の味」を先に覚えたものだった。最近は居酒屋でも「禁煙コーナー」というのもあり、小さな子供も「酒飲みの世界」に平気でご飯を食べている時代となった。その弊害か「居酒屋メニュー」ばかり好みになってしまい、ひと桁年齢、思春期といかにも「渋い」料理ばかり口にするようになってしまった。
幼稚園の本人面接で予想された「甘辛クンの好きな食べ物は何かなー?」(世に言われる模範解答は「お母さんの作ったハンバーグ」)両親は真顔で「予行演習」した。
「甘辛よ。『軟骨の唐揚げ』『3点盛り』『松茸のドビングシ』とか決して言うんじゃねえぞ。答えるのはハンバーグ、カレー、そしてせいぜい『鳥の空揚げ』だかんな」

入園面談は無事クリア(もともと何を答えてもクリアね)した甘辛だったが、いつの間にか我々以上に魚介類にうるさくなってしまった。。。彼の好物は生シラスにボタンエビ、新鮮なイカに中トロ・・・そしていつの間に覚えたのか「貝」である。私が勝手に定義している、米の他に「人間、これさえ食っていれば死ぬことはない!」シリーズの上位にいる「貝」である。ちなみに他は「納豆」「シラス」「卵」って実は「朝食メニュー」に多い。まだ幼稚園前だったろうか、熊本県荒尾市の三井グリーンランドの隣に「ウルトラマンランド」という施設があり、「星人の日」(1月15日)には何年か訪れた。宿泊するのは熊本か博多、九州を堪能する旅行を兼ねている。博多からでも特急で数時間で往復できた。九州か北海道か、友人の実家で大歓迎を受けたことも理由にあるが、食べ物でどちらかと言えば私は九州の方が好きだ。熊本の馬刺しを筆頭に鳥の水炊き、モツ鍋、辛子れんこんに明太子、その他様々な魚料理に出会い、近年で最後に口にできたのが「呼子のイカ」である。名前は忘れてしまったが、こじんまりした店内には似合わない大き目の水槽にイカが元気に泳いでいて・・・たしか一杯1000円くらいだったと思う。

注文するとその場で締め、造りにして出してくれるのだ。身は完全に透き通り店内の明かりで微妙に乱反射し水の上にオイルの膜が出来たときのように七色に変化する。なにせ10本のゲソがまだ動いているのである。我々は思わず息を飲んだ。。。
すると真ん中に座りその頃箸の使い方をすでに覚え、スルメイカ大好きとなっていた幼い息子甘辛が慣れない箸を真横に寝かせ、事もあろうか「だーっ」と全部持って行こうとしたのだ!
私「わわーっ」と店内中に響く声を上げ、妻は箸を持つ右手に「しっぺ」をくらわせていた。(うーむ。我ながら大人げない・・・)
店内の客は一斉にこちらに振り向き、手首に怖い顔でしっぺまでされた甘辛は何が起きたのか分からず、可哀想に泣きだしてしまった。。。二人慌てて「ごめん、ごめん!1個ずつな、1こずつ・・・」
今では幸いにあの経験は(もちろん味も)忘れてしまったようだ。

最近スポーツフィッシングのような形でエギングという「イカ釣り」が流行って来ている。沖合いの船釣りもあるが陸でも少しは釣れるようで、腰に中型のタモアミを差して護岸を歩き回るアングラーをこの辺でも見かける。しかし残念ながらかなりの確率で「坊主」を引くことが多く、しかも釣果が上がるのが深夜未明が多いという、あまり割のよくない釣りのようで私はまだ実行したことがない。
大物のアオリや人気のヤリ、味のスルメイカなどシーズンは冬らしく、船上の釣りとしてもかなり厳しい環境のようだから、釣りモノとしてはあきらめ専ら魚売り場で買ってきて妻に下ろしてもらていた。
ここ数年、ウォーキングやランニングで海辺を走るようになったが、必ず偵察するのが新片瀬漁港だ。漁港というだけでもワクワクするところだが、平日と日曜は朝から水揚げ直後の鮮魚直売もやっているようで、ウォーキング時の楽しみの一つにもなっている。相模湾の季節の魚に出会えるし、もちろん安くて新鮮だし、どんな魚が今釣れそうかということもわかる。とにかくズラリと並んでいる魚、生簀で泳いでいる大物など見ただけで気分はハイになってくるものだ。

     

ここのところは厳寒期で魚も中々上がらず、うぉーっと来るような大物魚(カンパチ、ハマチ、マダイ、クロダイ、シイラ、スズキ、カワハギなど)は泳いでいない。小型魚部門ではシコイワシ、ホウボウ、カマス、アジ、アマダイなどだが、シコイワシを除いては数が少ない。その代わり今はずばり「イカ」の時期らしい。巨大なアオリイカに透き通ったヤリイカ、味も抜群というスルメイカに小ぶりだが安くてうまいマルイカ、スミイカなども入って元気に水槽を泳いでいる。タモアミで獲ってもらうのだがそのうちイカが興奮してきて水が墨で真っ黒になってしまう。時々浮いてくるのを見つけて「これ、獲って!」と指差すのである。先週は活きたアオリ1杯、ヤリイカ2杯に大量のシコイワシ(一皿200円)をGETし持ち帰った。ホントはそのまま下ろしてもらうのが一番うまいのだろうが、残念ながら一番騒ぐと思われる息子はサッカーの練習と英検の試験とかがあるらしく、晩御飯に登場することが、イカはもちろんシコイワシが予想外の輝きを見せて美味かった。翌週は同様にヤリイカ、スルメイカ、ホウボウで連続魚介尽くしとなる。
第一日曜日は朝市と聞く。週末ウォーキングを兼ねて季節の魚を堪能できそうでまた楽しみが増えた。(そのために魚を下ろす技術をもう少し磨かねばなー)

    

適当にシャッターを切ったので師匠たちのように「輝けるイカ刺し」にならなかった。右下は北京亭伝来の中華丼・・・あまり見てくれはよくないが、どれも実に美味だったのだ。



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20 コメント

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Unknown (小夏)
2012-02-28 01:40:05
磯辺さん、プチお久しぶりです~。
そうですねー、お魚との関係の変遷って私も似ているような気がします。アサリのお味噌汁は子供の頃から大好物でしたー

「私の学生時代が妙に長かったので、安居酒屋にもよく付き合わせた」←ん えっとぉ、学生時代からのお付き合いだったのかな。てっきり社会人になってからだと思っていました(あ、ここ独り言ですから~ 笑)

甘辛君のグルメ小僧っぷり、自然に身についてすご~い!
食育って大層なこと言うけれど、こういう風に家族で感動しながら自然に覚えていけばいいなと思いますねぇ。時に親御さんがそれがそこに並ぶにはどういう苦労があるのか話せば、、おっと話がそれてきました。

そうそう、漁港ってワクワクします♪それにスゴイのみるとハイになる、、わかるわかる~~!!
私もかつてさっきまで泳いでいたお魚到着便が並んだ時石鯛見つけて眼が❤ 眼があった店員さんに「石鯛かっこいいですねー!」と言ってしまいましたー(笑)

これら全部奥さまがおろしになったのかなぁ、驚きです~!!
シコイワシ、こんなに―!?おろしたのPPバンドじゃないよね?(段ボールの平たい紐)
ウーン、ここまでできたら、アンチョビもできるんじゃないのぉ~

最後に、
ハニ丸、結婚式の時私の友人スピーチで「スルメの様に噛めば噛むほど味が出る・・」と評されていました(笑)
Unknown (小夏)
2012-02-28 01:55:57
しhそう、ちょっと見直しに来て気付きました。
泳ぐイカって、私にの方の漁港には多分ありません~。湘南恐るべし
ワタもホイル焼きとか使えそうですねー
イカの塩辛とかもー(お気に入りの配合見つける前に私数回で降参しちゃいましたー)


Unknown (小夏)
2012-02-28 01:57:12
スイマセン
しhそう←、師匠 です
Unknown (まるち)
2012-02-28 07:05:33
ぉお~っ
イカ好きですかぁ~
我が家の旦那もイカおやじ(笑)
その友達が、イカ釣りおやじでして、乗合の船で出掛けては、釣果を置いていくと言うパターンでして、透明なイカには不自由してないんですよ~。
旨いですよね~っ。

貝類もアワビはもちろん、つぶ貝、ばい貝、赤貝、ミル貝大好き、、赤貝はヒモが好きだったりして~(笑)
たまらん。
Unknown (磯辺太郎)
2012-02-28 08:14:41
小夏様

子供の頃からの魚介好みの変遷って結構似ているんですかねえ。食卓に並ぶメニューにもよると思いますが。私もアサリの味噌汁大好きでした。
ははは。学生時代後半はよくグループで遊びに行っていました。
それほど高価なものは食卓に出ませんので、グルメかどうかわかりませんが・・・子供の味覚は鋭いものだ、といつも感じます。(大人の味がわからないところもありますよ。ワサビとか)

漁港ってホントに行くだけでワクワクします。それが水揚げ直後の大きな水槽に大物が泳いでいたりすると・・・興奮モノ間違いなし!
磯の王者石鯛!釣ったことも食べたこともありませーん。片瀬でも見たことないかも。
本人が見たら「もっとちゃんとした写真撮れ!」と怒り出すかもしれませんが、まあそこは想像ということで・・・イワシはバンドが見当たらずほぼ手で下ろしたそうです。そういやー上の鯖の塩焼きも漁港産で1匹200円。

ははは、ご主人様はスルメ・・・私に言わせれば「これなしには生きて行けない」
Unknown (磯辺太郎)
2012-02-28 08:15:42
小夏様

たぶん季節なのだと思いますよ。私も冬場に来て初めて見ました。
一方で魚の種類や数も今はぐーんと少ないのです。生シラスは禁猟期間ですしねー。。。。
おーっ、小夏師匠なら季節のイカ、余すところなくお使いになれるでしょうね。それこそ地産地消のエコクッキング。
漬物が食べられないので塩辛にはならないのですが、ゲソはオリーブオイルでマリネっぽく出てきます。こちらは私よりも息子が好物のようです。
Unknown (磯辺太郎)
2012-02-28 08:16:41
「支障」じゃなくてよかった~。もしかして「歯槽膿漏」かとも思った~(笑)
師匠、今度また鯖を買ってきます。干物の作り方教えてくださーい。(メジナでやってみたけどイマイチだった・・・)
Unknown (磯辺太郎)
2012-02-28 08:17:42
まるち様

我が家はそろってイカ好きです。何と釣りたての透明イカを置いていってくれるお友達がおられるとは・・・素晴らしい!(釣り自体は厳しい寒さの中でそれほど面白いものではないらしい・・・)
「泳ぐイカ」、独特な活け締め方法(仮死状態にする?!)で半透明状態にしてもらうと、持って帰っても数時間は生きているそうです。

朝市なのでタイミング的には昼食になると思いますが、透明なまま下ろしてまだ動いている状態で(呼子のように)食べてみたいです。
貝は生でも調理してもいいですねえ。田舎が富山の母親はばい貝柔らかく煮たヤツをよく酒のツマミに作っていました。
赤貝はぜーったいヒモ付きがいいと思います。馴染みの魚屋ではこのヒモだけ売っているときがあります。ホントたまらんです。
Unknown (小夏)
2012-02-29 02:00:42
いまいちど、こちらにぶら下がらせてください!
「九州の方が好き」わ~~~い一緒です~^0^
鳥の水炊き、モツ鍋、九州で本場ものをいただくの憧れです♪
どちらかというと一見地味ですけど、しみじみ美味しいですよね!
筑前煮も~!!

干物は正式に習ったものではなく、少しずつ聞いて覚え、かなり自己流ですけど、
夜ボウルに荒塩使って海水くらいの塩水を作ります。何パーセントなんて考えは無しね。磯辺さんなら海に入るので良くご存じでしょう、かなり塩辛いですよ。
その塩水に開いたお魚を漬けるの躊躇されるかもしれませんが、同じ海のものと考えてくださいね。
翌朝、塩水から出して干します。
風通しと猫に気をつけて!
直射日光に当てる当てないはいろいろあるみたい。私は強烈じゃなければ当てます。
初心者にお薦めはカマスです。鯖はね、脂もあるし塩水が沁み難いかも。
そうそう、カラカラに干し過ぎないで下さいね~^^
Unknown (磯辺太郎)
2012-02-29 10:39:08
小夏様

その地方のものを本場で頂くのはどこでも美味しいものですが、どうも九州ってのが実に我が家の好みに合うような気がするのです。「力強い味」とでも言うんですかねー。。。

家で「干物」を作るのって自分的にはかなりな冒険なのですが、すごい魅力的な技でもあります。
(特に下ろすのに苦労しそうな小さい魚がたくさん釣れたとき)
基本塩水に漬けて干すものだと思っておりましたが、一昼夜も漬けておくんですか。先日は数時間しかしなかったから足りなかったのだなー。
カマス、鯖・・・近所の漁港で売ってますので、天候を見て週末ぜひトライしてみたいと思います。

ご指南ありがとうございます。ところで、すぐそこが海なので海水汲んで来れますけど、やっぱり食塩水のほうがいいのかな。

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