超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

プチ海外のディナー事情

2012-10-18 23:48:49 | 旅行お出かけ
海外旅行に行くと大抵は食事にも気を配るものだ。というよりむしろそちらの方に全精力を注ぎ込んでいる方も少なくない。日本で料理を出す店はあっても微妙に本場でない、本場のものが口に合うかどうかわからないが、「日本にない何かがあるはずだ」と信じ込んでご当地で名物と言われる料理は必ず食すのが普通だ。ご本家の料理を口にし、本場の味を覚え、ご当地の雰囲気自体を味合うことも旅行の醍醐味だが、どういうわけかあまり「素晴らしかった」印象が少ない。結構色々と口にしているが唸りを上げたのは済州島の「オギョプサル」、ローマの友人宅で頂いた奥さん手製の「トマトソースパスタ」、後はボストンの「スチームロブスター」くらいである。アメリカンステーキハウスなどではどこで食べても美味しいが、逆にどこで食べても「アウトバックステーキ」と似たような味である。

我が家も海外へ行く時はガイドブックで当地のグルメスポットを調べて、一つ二つは必ずディナーをあてる。グアムはアメリカンだからステーキとBBQ、シーフード料理などがメインになる。風土料理としては「チャモロ料理」というのがあり、ヒルトンホテルのすぐそばに「PUROA」という専門店があって妻が目をつけていたが、地元人に人気でいつも行列で混雑しているらしく、ついに来店するには至らなかった。レッドライスやBBQ串、炒め料理などチャモロ風のパックを昼飯に食べたが、甘辛酸っぱいドギツい感じの味でそれほど食指の動くものではない。今回のプチ旅行では「ウォーターパーク遊び」がメインだったので、グルメのほうはかなり蔑ろにされていた。。。。

初日は「ターザウォーターパーク」だったが、当日未明(午前2時過ぎ頃)に部屋へ到着、ピックアップタイムぎりぎりまで寝てそのままパーク入りだから朝飯は抜き、息子も私も「フロースライダー」にむきになってずーっとチャレンジしていたおかげで、昼飯は隣りの売店で買ったミラービールとスパムにぎり。。。閉園案内が3時半と早かったが出てくる頃は腹が減ってふらふらになっていた。気がついたら死ぬほど腹が減っていて「どこでもいいからステーキ食いてえ!」と騒ぐ息子に、タモンエリアのどこにしようか考えていた。時間が中途半端だから予約は要らないだろうが、ガイドにあるような店はそのものか日本で入ったことがある店ばかりなので迷ってしまった。結局今まで何回も通り過ぎたが入ることの無かった「TGIフライデーズ」(意味で言うと「やったー、今日は金曜日だーっ」ってところか・・・)というアメリカンカジュアルなレストランに決定した。理由は「大阪くいだおれ」としか思えないハッピーな紅白しま模様につられたのと、店の雰囲気的にいかにもおおざっぱだが料理のサイズだけはやたらビッグそうなところ(とにかく腹が減っていた)。

息子は即座に、妻もよっぽどお腹が空いていたのか普段はメニュー構成には念入りに考え込むのに息子と同じサーロインステーキを選んだ。「どんなヤツ?」と聞いたら白赤縞々制服のウェイトレスは「ステーキ、チイサイチイサイ、コンナグライシカナイヨ」と両手指をつけて小さな輪っかを作って見せた。少し迷ったような甘辛に「彼らの出す肉が小さかった試しはない!侮ってはいけない」とそのまま注文させた。3人揃って同じものというのも能がないから私は意表を衝いてジャックダニエルバーガーを頼んだ。赤ワインをガブ飲みするつもりだった私はうかつにサイドディッシュなどを頼むと間違いなく食い切れないほど出てきてしまうので、ハンバーガーの付け合せなどをツマミにしようと思ったのである。

      

「ジャックダニエルソース」というバーボン名のソースは妙に甘いクセのある風味であまり好みではなかったが、アメリカンなボリュームはすきっ腹にはぐーっと効いてきて中々よかった。ハンバーガーって基本的には持ち上げて頬張るものだと思うのだが、あういう店で出すメニューは一体どうやって食べるのが本式なのだろか?私はワインのツマミにするつもりだったので、バラバラに分解して肉とバンズを合わせてフォークで食べるというあまり感心されないスタイルになってしまった。4ドルほど足すだけで「ウルティメイト・ジャックダニエルズ・バーガー」というウルトラ好きにはたまらぬネーミングのアップグレード版メニューがあったのだが、写真では私のノーマルタイプに対し、肉が2枚、オニオンリングが2枚という途方も無いボリュームだ。低い壁を隔てて向こう側のゲストが注文していたが、甘辛の顔くらいの大きさがあった。(とても食い切れぬ・・・)

    

不思議なことに我が家は海外を旅行すると「朝食」というのはあまり真面目に取らない。出かけるまでゆっくり寝ていたいのと雰囲気だけでお洒落なホテルの朝食を摂るとびっくりするくらい高額だからである。金銭感覚の麻痺する海外滞在でもこういうところはしっかりしている。朝食と部屋での寝酒はコンビニや近所のスーパーなどで山ほど買い込み、帰国日まで間に合わせてしまうのが普通だ。バドワイザーなんて2ダース買ったって30ドルしない安さである。しかし正直言って「食えたもの」ではない。あにぎり、サンドイッチ類はその日に開けてもパサパサ、一晩おいてしまうとほとんど家畜のエサにも近い。。。カップヌードルも韓国製は1.5ドルなのに「どん兵衛」は4倍近くする!私が新幹線で愛食している「コンビニにぎり」にも意味不明な種類が・・・(いくら何でも彼女がここまで進出しているとは考えられない?!)

  

行きの送迎タクシーで運転手が「すぐ隣りの公園で今日、明日でミクロネシア諸島のフェスティバルがあるよ」と言っていた。1年に1度の祭りの時期らしく、確かに公園内は何やら大きな催しの準備が進められていた。部屋に戻ってちょっと散歩気分で周辺をぶらぶら歩き回ってみることにした。「島の文化」らしく中央のステージではよく見るファイアーショーみたいな踊りで盛り上がっており、模擬店でも各々の島別の工芸品とか伝統衣装などが売られていた。面白かったのは南の島風「金魚すくい」があったことだ。魚はメダカとか金魚、それと熱帯魚みたいなのが混じっている。丸い輪っかにティッシュ紙を張ってすくうところは万国共通なんだろか?少年が盛んにトライしているのを眺めていて、この手の縁日モノは万能を誇る私はやりたくて(又は指導したくて)うずうずしていたが、さすがに部屋に持って帰るわけにもいかないので下手な写真を撮るだけにした。日本の縁日では失敗しても1匹はくれたような気がするのだが、ここでは2ドルも取るくせに失敗すると非情にも手ぶらで帰す。これも成果主義の現れだろう。。。

          

翌日、オンワードウォーターパークでの昼飯は前述通りレッドライスに少し甘ったるいチャモロ風BBQだ。ここでは時間一杯まで(マンタ)で遊び、その後すごいスコールとなってタクシー待ちで結構時間を費やしてしまったため、「フィッシャーマンズ・コーブ」というホテル内のシーフードレストランに予約なしで直接向かった。バラエティに富んだ色々な魚介を「好きな食材を好きな調理法で」というのがキャッチフレーズだった。アマダイみたいな魚やブダイ(たぶん)、ワタリガニ、ロブスター、マヒマヒ、ホタテなど新鮮な食材が店内のディスプレイに並び、外国客は喜んで説明や調理法などを聞きに集まっていたが、我々は片瀬漁港でそもそもホントに獲れたばかりの生きている魚介を見ているし、色合いがドぎつくてよく見ると大味っぽい食材を「Market Price=時価」で注文する気にはならず、甘辛の相変わらずのステーキ以外は皆でシェアできる大皿料理を頼むことにした。

      

息子がどこに行っても必ず注文するクラムチャウダー「アサリの味噌汁と並び「地球最後の日」に食べるメニューだそうだ)はずっしり味が濃く、一皿でお腹が膨れ上がるシロモノだった。私と妻は完全に居酒屋モードで、ワインとチリ・シュリンプ(グアム唐辛子と野菜、パパイヤの炒め)、ガーリック・ボイルドシュリンプ、そして魚介類のトマト味ごった煮鍋(名前忘れた)を注文した。ステーキに「死ぬほど」ついてくるフレンチフライに茹でてはあっても、レモンの汁をキュッと絞ったシュリンプをつまみにしようと思ったのである。レッドロブスターの「シュリンプカクテル」を想像していたのだが、出てきたのは砂場遊び用のバケツほどもある器にぎっしり入ったムキエビだった。。。。

    

ガーリックがくどくもなく、プリプリの歯応えで食欲をそそり、最初の3つ4つは実に美味しく、ワインをぐいぐい飲みながら「これはアタリだねー」と話していた。妻の炒め物(ライス付き)もシュリンプはダブってしまっていたが、ピリ辛で不思議な野菜の食感がありどこか南国風でこれまた最初は美味だった。そして最後に、メニューには2〜3名分と書いてあったが、明らかに5人分はあると思われる巨大鍋が登場した。トマト味のブイヤベースのようでホタテに大海老、ミュール貝、マヒマヒと様々な魚介が素晴らしい味を出しており、ステーキを食いながら息子も「こりゃー美味いなあ」と取り分け用スプーンに手を出していた。

    

ところがである。最初美味しかったガーリックシュリンプも5つ目を超すあたろいから、だんだん飽きてきた(というか味覚が疲労してきた)。最初は3人喜んでつまんでいたのが、急に手が止まってしまいバケツの中は半分以上残っている。妻の南国風ピリ辛炒めもアツアツではよかったが少し冷めてくるとドギツい油が目立ってやはり疲れてきた。ごった煮鍋の魚介は3人で美味しくつついていたが、濃厚なダシが出ているせっかくのスープとホタテが大量に残っていた。何とか炒め物をやっつけ、水についてきたレモン輪切りをバケツ内に降りかけ取り分け皿を殻のヤマにしても中々減らない。。。
そのうち残ってしまったライスに鍋に残ったスープを混ぜてお茶漬けみたいにすると美味しいことに気付き、行儀は悪いと思ったがかまわず鍋を完食。

身体がなんとなく海老臭くなってきたような気がする。このままでは翌日、起きたらカミュの世界のように「変身」して海老になってしまってるかもしれない・・・ほぼ諦めていたところに、こういう時には粘りを発揮する妻が「もう少し・・・ほら、底が見えてきた。あなた3つ、ワタシ2つ、甘辛最後の1つでやっつけられる」最後の力を振り絞ってノルマを達成した。夢にまでこの海老が出てきそうだ。「当分、海老は見たくねえなー」
海外を旅行する時、いつも食事は大きな楽しみだが、大体がその単調な味と想像を絶するボリュームに、残すことの嫌いな我が種族は苦戦を強いられる。何か私の勤務する北関東の「ゲテモノ」系に通じるものがあるのだ。

       

最後の晩、「お前も海外で遊ぶだけでなく何か役に立ってみろ」とレストランの予約を厳命し、何とかそのミッションを果たした息子甘辛は帰国した成田で「今晩は寿司か魚がいいなー」と言って車内で眠りに落ちた。我々も同感だったので朝到着後に我が家の近所の「くら寿司」を直接目指していた。しかし何かむしょうに「生しらす」が食べたくなり、突如「腰越の『しらすや』に行かねえか?」ということになったのである。目を覚ました甘辛も「あれっ?くら寿司じゃないの?」と言いながらも我々の思いつきに賛成し、「おーっ、オレ生シラス丼大盛りね」
別に食べ慣れたモノではないし、単調と言えばこれほど手のかかっていない「魚介」だが、南の島のボイル海老には苦戦してもこいつは楽勝でイケるから不思議なものだ。