超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

限界値を高める

2011-01-14 13:20:01 | スポーツ・健康
私が退院した1月4日、息子甘辛は入れ替わりにチームの合宿に出掛けて行った。伊豆半島の伊東で(温泉合宿か?!)、現地集合のため電車を乗り継いでいったようだ。
今時の子供は小学生のときから「合宿」なるものがある。サッカーフェスティバルのようなどちらかと言うとイベントのようなものだ。
春夏冬と高学年になってから贅沢なことに年に3~4回合宿に出掛けていた。サッカーの試合ばかりだから、応援と観光がてら車を走らせて普段あまり行かない千葉、茨城方面に繰り出したものだ。これはこれで面白かった。

Jリーグの下部チームともなると海外遠征などもあり、入団とともに「春の遠征合宿のため30万円用意してください」と涼しい顔で言われてひっくり返ったという話も聞いた。
息子甘辛もサッカー少年団を卒団し、クラブチームに入ったが春夏と遠征合宿を経験し今回3回目となる。
今回の伊東合宿はプロ野球で言う「地獄のキャンプ」に相当するキツイものらしく、甘辛は最初からビビっていた。。。「オレ、生きて帰れないかも・・・」
朝から晩までずーっと浜辺でダッシュやインターバル、筋力トレーニングばかり続けるそうだ。昼食を取りに宿へ戻るだけでも1キロ以上の昇り坂だという。。。

私は入れ違いに出かけてしまう息子に病室からメールを打った。
「メニューをこなすための体力を温存するな。最初のダッシュから全力で行けるところまでいくつもりでやらないと限界値は高まらない。倒れたら自動的に休めるから」
実は私がその逆だったので、「限界値」を高められなかったのである。
我々の頃は中学生まで「合宿」のようなものは全くなかった。また大学生になっての「合宿」はサッカー、スキー、テニス、ゴルフと多彩に顔を出したが、どれも半分女子とのお遊びモードであり「地獄」とは程遠いものだった。

やはり悪夢のようなイベントだったのは「高校サッカーの合宿」である。
今でこそ1年おきに「スペイン遠征」などもあるようだが、当時は国内にすらどこへも行かず、なんと校内に合宿所があったのだ。
食堂の2階にあったその施設はまさしく「収容所」と言うに相応しい環境であった。
熱帯夜に扇風機もなく網戸にしても風は入らず、蚊取り線香の煙がやたらにキツイ。。。木製の2段ベッドに「大かまきり」が付いていても、気にならないほど疲弊しきっていたので汗びっしょりになっても眠っていた。

朝連、午前連、午後連、夜練(体育館)と「この1週間はサッカー以外のことは考えるな!」と言われてひたすら練習が終わるのを待つ・・・
夜練後の銭湯帰りにセブンイレブンで買い食いする「スラーピー」と我が校ではアイドル精鋭とも言えた女子マネージャーの差し入れる「はちみつ輪切りレモン」だけが楽しみだった。
各練習の最後には必ず100メートルダッシュ20本がある。当時は「バテるから水を飲むな」という信じられない指導が立派に生きていた頃だったから、途中で倒れこむ者も結構出た。

私はそう言う先輩や同級生の姿を「はしたない」と考えていたので、練習の要所要所で見えないように「手を抜き」体力を温存していたのである。苦しそうに喘ぐ顔を「かっこ悪い」と思ってしまう幼稚な年頃だった。
しかし地獄とも思える合宿を終了して大躍進したのは「バテて倒れこんでも全力で走っていた」人たちだったのである。
合宿に限らず通常練習でも「全力を出し切る」ことをあまりせずに「温存」するスタイルだった私は、幸いにも引退するまでレギュラーには残れたが、最後の大会数か月前を迎えて「どうもこのままではいかん」と気が付き、必死になってトレーニングしたものだ。もちろん時すでに遅し・・・
大学生になってからの運動は何事も全力投球で一生懸命やったつもりなのだが、残念ながら「そういうことを要求される」シーンが少なかった。

社会人になってからなど、自分の限界値に挑戦したことなどたぶん数えるくらいしかない。レッドゾーンまで平気で踏み込むものは酒を飲むことくらいで、お仕事は何事も最大80%、キツイと感じる前にリミッターを効かせてしまう。(バレたら怒られるけど・・・)
顔だけは全力投球しているように見える(昔からこれだけは上手かった)。おかげでメンタルな健全度は常に高得点だ。

甘辛はどこまで理解したか分らぬが、結構頑張ったようだ。一緒に走ったグループが「倒れるまで真面目にやる」先輩ばかりだったらしいのである。
ハードではあったが、最終日の夜は「ものマネ大会」などもあって夜通し寝ずの騒ぎだったらしいし、近隣に「昔のおもちゃ」を扱う店を発見したらしく電話をしてきた。

「レアなセブンのフィギュアはGETしたよ。さらに激レアの『セブン上司』があったけどどうする?」

こんな時でもウルトラ物に目を光らせる彼もさすがだと思うが、たぶんそれなりに値段がするはずなので、サッカーに専念するよう叱咤しておいた。
「せいじんの日」に一旦いつもの南熱海の釣りポイントに向かったのは実はその先の伊東にあるというその店を密かに偵察し幻の「セブン上司」をGETする作戦だったのである。
ちなみに前日息子甘辛と海老名に見に行った「ウルトラマン映画」は私の愛してやまない「ウルトラセブン」の息子「ゼロ」が主役である。
ウルトラ戦士と比べるべくもないが、甘辛は自分とダブらせて大層気に入ったらしく、隣のゲームセンターのクレーンゲームで特大フィギュアを何なくGETして見せた。。。

「ウルトラ物を嗅ぎ分ける」能力も含めて「知力」にはたぶん限界値がないがやはり若い時に「死ぬほど」鍛えて高めたほうがよい。(記憶は明らかに衰えるから)
私の遺伝を強く受けていたら、たぶん息子甘辛は「精神力」はあまり強くない。
「霊力」はほぼゼロなはずだ。これだけは高めてほしくない。「変なもの」が見えると言われたら、眠れなくなるからな。