超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

Kick Off

2010-11-21 12:40:03 | 出来事
私の会社は「Kick Off」が好きな会社である。これは間違いない。
イベント好きと言うよりは「節目好き」or「祭り好き」に近い。それは結構なのだが、何かにつけて出番が多すぎるのは正直閉口することもあるのだ。
10月に入って「今年度」後半に入り、どのように会社事業を運営していくか、トップマネジメントが説明して回ると言う。。。
オフィス、事務所、センターと名前は違えど、たくさんあるが「飽きっぽい」私にとって、スタッフとして同行していても同じ話を何回も聞くほどの苦痛はない。。。
APECなぞかけを考えていたのもそういうときだ。

それはそれで仕事だから我慢もするのだが、困ったことにセクションごとに必ず「Kick Off会」をすることになっている。要は何か弾みを付けたいってことなんだろな。
頭数だけで言えば私は広大なジャンルを管轄している。大きく分けると二つの部門を掛け持ちしており、ロケーションも多数にわたる。(まだ何地点あるのか知らない・・・)
その一つの部門の「Kick Off会」のことである。

下半期なんていうけれども、もう一ヵ月半は過ぎているが・・・
本館、別館の違いだから結構近い位置にいた。しかし何となく「身体が警戒アラーム」」を発していたのだ。。。
KIckOff飲み会は100人以上はいただろうか。。。
「挨拶」か「乾杯」はいつもリクエストされるので、別に気にすることも無く適当にあしらっていた。
恐るべきは「女性軍」である。
私が勤務する「別館」は基本的に男性ばかりだ。。。ところがそこに「女の園」(死語?!とも思われる恐怖のミュニティがあったのである。。。

乾杯が終わり立食形式のパーティが始まった。と言っても社員食堂を開放しているだけだから、テーブルも普段昼食に使う長テーブルそのものである。
どこもそうだがしばらくは歓談タイムだ。私は二つあるカスタマーセンタ長に囲まれて、この地方ではよく出る「〆張鶴」という浦霞と並んで好物の日本酒を飲んでいた。
男性軍は私の年齢で下から数えたほうが早いくらいだから、基本的に「酒飲み」で料理はついばむ程度だ。
おまけに私は飲み会で最初にいた位置からあまり動き回る習慣がないから、ずーーーっと飲んでるだけ、ということも多い。

それまで全く気がつかなったが、「女の園」はすぐ隣のテーブルだったのである。
さっきから我々の周りをちょろちょろ偵察している「高畑秀子似」の女性がいた。
「んっ?」と目を向けると、ちいーさく手招きをしているようだ。そのテーブルは女性軍しかいないようだ。。。
その部署は片方のカスタマーセンターに属し「設計」に近い仕事をこなしているところだ。
派遣社員の方が大半を占める、かなりの高スキルセクションだ。
月に一度朝の全体ミーティングに参加するから、そのくらいのことは知っているが。。。
ビンビールを両手に持って「いやあ、お疲れ様です」と恐る恐るテーブルへ接近した。

「ちょっと待って!」私はあわててビンを置くと、自分のいたテーブルにかけ戻り、手付かずのフルーツとバンバンジーサラダの皿をお持ちした。
さっすが、女性軍?!テーブル上の料理はほとんど食い尽くされていたのである。
「オジサン軍」はフルーツなど普通食べない。。。全部無くなって平らげられてるの初めて見た・・・
秀子女史は気さくに話しかけ、ビールを注いでくれた。年齢は私くらいか・・・

「どこかでお会いしましたっけ?」顔は合わせているはずなのだが、何せ100人近くいるので、失礼ながら覚えていられない。

「夏祭りで神輿に両手離しではねてた人でしょ?祭りの朝に波乗りしてくるなんて面白い人が来た、と噂してたのよ」

そうか、あの日は早朝に海に行き、その後新幹線で祭りに向かったんだ。
そう言えばこの人、あの祭りでやたらめったらオレに水をぶっ掛けてきた女史じゃないか・・・
全体ミーティングではあまり見かけなかったが、たしかマラソン一緒に走ったAKBと同じセクションだったな。隣の人が甲高い声で尋ねてきた。うーむ。ここは手強いぞー。。。


「サキ(AKBのこと)が言ってたけど、よくウルトラマンのネクタイしてるんですってね。今日は違うんですかぁ?きゃー、でも今日のはカワイイじゃないですか!」

「こっ、これは1年でこの時期しか着ない『クリスマスバージョン』なんだよ。下にサンタクロースが付いてるだろ?ウルトラマンは傷みが激しくなってきたので肝心のときだけ。ちなみにドクロ模様も持っています。」

やはり女性軍は服装についての観察が鋭い。彼女達に言わせると前回のミーティングで着ていたワインレッドのスーツが話題になっていたそうだ。この地方の男性(年寄りが多いけど)紺とかグレーしか着ないんだって。。。
また、クールビズ期間に来ていたデザインシャツは一回り大きいほうがよいそうだ。胸筋が目立ちすぎるんだって・・・まあ、サイズが無理に小さい(つまり太った)ということだな。月に何度も会わないのにそこまで話題にするか?!恐るべき女性軍・・・

そんな話をされて苦笑いしていたら、やがて彼女らはしゃがみ出した。ちょうどテーブルが目の高さくらいになっちゃうのだが、普通におしゃべりを続けるのである。
一体どうしたのか尋ねたら、立ちっぱなしのパーティなどそうはないから、「疲れる」のと「足がむくむ」と言うのである。
私はしばらく立ったまま話し続けたが、いかにも「上から見下ろす目線」というのは失礼な気がして仕方が無いから自分もしゃがんだ。。。
周りから見たら異様な風景だったかもしれない。ずーっとしゃがみっ放しではなく、立ったりしゃがんだりの繰り返しだったから。
しばらく歓談の後、さらに隣のテーブルに呼ばれて「女性の園」テーブルを後にしたのである。

「磯辺さん、あそこで何やってたんですか?何かのゲーム?」

もう一つのセンターはかなりの経験がいるので、基本的に社員ばかり、すなわち男性軍だ。
しかしどの職場でも「女性の力」は強く、紅一点とも言える妙齢の女史が取り仕切っていた。
すごい貫禄だ。何せ私よりも一回り年長で孫もいるというから。。。「こっちに座ってくださいよ」隣の椅子を指差した。正座させられるのかと思った・・・

「いつも別館にいらっしゃるんでしょ?私のこと知ってる?ずいぶんここも長いのよねえ」

「知ってますよー。オレがミーティングでちょっとしたスピーチするとき、いつも難しい顔して聞いている方でしょ?結構プレッシャーなんですよ。オレの話、つまんないかな・・・」

「そんなことないよ。アタシ本の話、好きだからさ。。。難しい顔は生まれつき!」

ああ、「もしドラ」の話をしたときだな。。。
かの女史が言うのは、「朝っぱらにしては硬い話が多いが、何が言いたいかわかりやすいので、なかな良し!乾杯の挨拶は短めにせよ」
というものであった。
その他何やら説教めいた話があったようなのだが、かの女史も結構赤い顔をしており、お互いに「壊れたレコード化」していたようであった。
ようやく無罪放免になり、元にテーブルによたよた戻って行き。。。

「いやあ、色々『指導』されちゃったよー。女性軍は怖いねー」

かの女史が所属するセンタ長は、苦笑いして

「あの人、普段は姉御肌で面倒見いいんですよ。でも飲むとね・・・あんまり近寄らないほうがいいのね」

「女の園」テーブルは子供を保育園に向かえに行くとか、この後カラオケに行くとか、めいめい帰って行った。テーブルにはポテト1本残ってはいなかった。
うーむ。。。「ペンペン草一本残らない」とはこういうことか。
私もぼちぼち2時間半の帰路へ発つか。。。(金曜日に飲み会入れるなよな!)
見るとグラス類が固まっているお酒コーナーのテーブルには、手付かずの〆張鶴が・・・
乾きものをGETしてグリーン車でゆっくりいただくとするか。