中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

厚労相、経団連に朝型勤務を要請

2015年04月25日 | 情報
どのような制度についても、メリット・デメリットがあります。変更によって不都合や不満を持つ人もいます。
しかし、総論としてメンタルヘルス問題の観点からみると、「朝型勤務」に大きなメリットがあるというのが、小生の持論です。

厚労相、経団連に朝型勤務を要請 「女性や高齢者働きやすく」
2015/4/20  日経
塩崎恭久厚生労働相は20日に東京・大手町の経団連を訪れ、出退勤の時間を前倒しする「朝型勤務」を企業に促す要請書を榊原定征会長に手渡した。
塩崎厚労相は「女性や高齢者が働きやすい職場をつくるとともに、労働生産性を上げることが重要だ」と強調した。
これに対し榊原会長は約1500の会員企業・団体に朝型勤務の導入を促す意向を示した。
経団連の事務局でも、職員ごとの選択で出退勤の時間を1時間前倒しできる制度を今年から導入する。
日本は国際的に見ても労働時間が長く、育児や介護との両立がしにくいとされる。
深夜にダラダラと働いてしまうことが一因だ。早朝の限られた時間に集中して働く方が仕事の能率が上がるといわれる。
伊藤忠商事は午後8時以降の社員の残業を原則禁止するとともに、早朝の時間外手当を上積みして朝型勤務を促した。
その結果、総労働時間は短くなり、時間外手当の総額も減った。政府はこうした働き方を広く知らせて、長時間労働を減らす方針だ。

政府が企業に「朝型勤務」を要請、その影響は?
TBS4月20日

朝早く出社して早く帰宅する「朝型勤務」。政府は20日、経済界にこの勤務スタイルを取り入れるようにと要請しました。
夜の残業を減らし長時間労働をなくすことが狙いですが、「朝型」にすることで影響が出てくるところもあります。
20日早く、通用口から続々と出勤する人たち。時刻はまだ7時前です。
「朝5時半に起きてます。今はこの生活に慣れた」(社員)
大手商社の「伊藤忠商事」は、おととしから働き方を見直し、「朝型勤務」を導入しました。
食堂では、毎朝、バナナやパンなどが無料で支給されます。
「効率良くなった。ガラッと変わりました。早く帰れるし」(社員)
朝型勤務を促すため、午前5時から午前9時までの間に働いた時間の賃金を高く設定。さらに、午後8時以降の残業を原則禁止にしました。
これにより残業時間が1人当たり月平均でおよそ4時間減り、会社全体で残業代を7パーセント削減できたといいます。
「うちは共働きですけど、制度が導入されて、逆に僕のほうが早く帰れる状況もあって、
その時間子どもとのコミュニケーションとったり」(社員)
政府もこの夏から「朝型勤務」に乗り出すことにしました。
この7月と8月、霞が関の全省庁の職員を対象に、始業時間を1時間から2時間前倒しに。
午前7時半から8時半に出勤し、午後4時15分から5時15分には退庁するよう促すことにしました。狙いは慢性化している長時間労働の削減です。
さらに20日、塩崎大臣が経団連を訪れ、朝型勤務を各企業でも取り組むよう要請しました。
「朝起きるのが苦手なので」(街の人)
「早くなるのはいいと思います。電車もすいてるし、いいのでは」(街の人)
一方で、影響が出てくるのは、保育所です。出勤時間が早まれば、子どもを預けにくる時間も早くなります。
厚労省内に設置された保育所でも、対応を迫られています。
「もともとこの保育園は午前7時半オープン。
今後もし(早朝預かりが)増えるのであれば、それに合わせた保育士の配置になる」(厚労省5号館保育室 松本糸子施設長)
厚生労働省は、他の保育所もできる範囲で「朝型勤務」に対応してほしいとしていますが、都内に通勤する親が多い、千葉県の保育所では。
「うちはもう、これ以上早くは・・・。(現在の)6時45分でも保育士さんは1時間以上通勤にかかっている方は、
家を5時半に出て6時15分までには来ていて、朝もいろいろ支度もあるのでこれ以上は難しいですね」(キッド・ステイ妙典保育園 保苅彩園長)
「子どもも早く起きないといけなくなって、だからといって夜そんなに早く寝かせられないので、ちょっと困ります」(母親)
国をあげて取り組むこの夏の働き方改革。果たして「朝型勤務」は、広まるのでしょうか。
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22日は、休載します

2015年04月21日 | 情報
22日(水)は、出張のため休載します。
23日より再開します。よろしくお願いします。
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「勤労者心の電話相談」業務終了

2015年04月21日 | 情報
全国の労災病院が、働く方々のメンタルヘルス不調予防対策事業として実施してきた「勤労者心の電話相談」業務が、
平成27年3月31日をもって終了しました。
ということは、あの有名な横浜労災病院の山本先生のメール相談も無くなってしまうのでしょうか。
どうやら山本先生のメール相談は、継続のようですね。
山本先生のメール相談は、多くの人から頼りにされています。

勤労者メンタルヘルスセンター長 山本 晴義先生
日本医師会認定産業医・日本産業ストレス学会理事
平成25年度メール相談数 8,531件

横浜労災病院HPhttp://www.yokohamah.rofuku.go.jp/mind_counseling/
働く方々のメンタルヘルス不調予防対策事業として実施してまいりました「勤労者心の電話相談」業務につきまして、
平成27年3月31日をもって終了することとなりました。
これまで多くの方にご利用いただき誠にありがとうございました。
なお、働く方々の心の健康に関する相談につきましては、下記専門機関において実施しておりますのでご案内させていただきます。

横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンターHP
http://www.yokohamah.rofuku.go.jp/medical/center/mentalhealth/
近年増加している勤労者のメンタルヘルスに関する多様な需要に対応するため、
心身医学をベースとした心と身体の健康づくりを支援しています。
保険診療の枠では十分にサービスできない予防領域であり、臨床(保険診療)の心療内科と、
予防・健康づくりの勤労者メンタルヘルスセンターの両輪で連携しながら、勤労者医療の一環としての取組みを進めています。
当センターでは、勤労者のメンタルヘルス対策やストレスマネジメントをテーマにした、さまざまなプログラムをご利用いただけます。
また、勤労者やそのご家族・医療従事者・企業・行政などを対象にした講習・研修活動も積極的に行っています。
さらに、対面式カウンセリングなどの個別相談に加え、電話やメールによる個別相談窓口として
「勤労者こころの電話相談・メール相談」を開設しており、いずれも多くの方々にご利用いただいています。
また研究活動にも積極的に取り組んでおり、平成16年からはインターネットを利用したメンタルヘルスチェックシステムの開発を行っています。

電話やメールによるメンタルヘルス関連の相談先は、公的、私的機関等全国にたくさんの窓口があります。
因みに、拙著「中小企業の『うつ病』対策」においても紹介しています。
参照してください。
購入は、書店では取り寄せになります。アマゾンでは、送料無料で入手できます。
小売価格1,260円
著者:橋本社会保険労務士事務所代表 橋本幸雄
監修:精神科専門医・産業医 恵比寿メディカルクリニック院長 高岡 拓先生



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「ストレスチェック制度」の省令、告示、指針を公表

2015年04月17日 | 情報
ようやく、制度の省令、告示、指針が公表されました。
しかし、内容を確認すると、当省令、告示、指針だけでは、御社のストレスチェック制度を構築するには無理があります。
今後、続いて公表される、「マニュアル、分析ツール、Q&A」を確認しなければなりません。
早期の公表が待たれます。


平成27年4月15日
【照会先】労働基準局安全衛生部労働衛生課
産業保健支援室長 井上 仁、職業性疾病分析官 大淵 和代、産業保健支援室長補佐 中村 宇一
(電話代表) 03(5253)1111(内線5495、5493) (直通電話) 03(3502)6755

報道関係者各位

改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針を公表します

厚生労働省は、本日、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、
新たに設けられた「ストレスチェック制度」※の具体的な内容や運用方法を定めた省令(労働安全衛生規則の一部改正)を公布するとともに、
告示、指針(心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針)を
定めましたので、公表します。

※ ストレスチェック制度とは、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、
検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度(従業員数50人未満の事業場は制度の施行後、当分の間努力義務)。
平成27年12月1日から施行。

今後、厚生労働省では、平成27年12月1日の「ストレスチェック制度」の施行に向けて、周知に取り組んでいきます。

【省令、告示、指針のポイント】
<省令>
○ ストレスチェックの実施頻度、検査すべき3つの領域、ストレスチェックの実施者となれる者、結果の記録の作成・保存方法、
一定規模の集団ごとの集計・分析、ストレスチェック結果に基づく医師による面接指導の実施方法、
労働基準監督署への実施状況に関する定期報告などについて定めています。
<告示>
○ ストレスチェックの実施者となれる者のうち、看護師、精神保健福祉士が修了すべき厚生労働大臣が定める研修の科目、時間を定めています。
<指針>
○ 衛生委員会の役割、ストレスチェックに用いる調査票、高ストレス者の選定方法、結果の通知方法と通知後の対応、
面接指導結果に基づく就業上の措置に関する留意事項、集団ごとの集計・分析結果の活用方法、労働者に対する不利益取扱いの防止、
労働者の健康情報の保護などについて定めています。

ストレスチェック制度に関する省令(労働安全衛生規則の一部改正)のポイント

1 省令の内容

(1) 産業医の職務
○産業医の職務に、「ストレスチェックの実施」、「ストレスチェックの結果に基づく面接指導の実施」、
「面接指導の結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」を追加。

(2) 検査の実施などに係る規定の整備
○ 事業者は、常時使用する労働者に対して、
1 職場におけるストレスの原因に関する項目、
2 ストレスによる心身の自覚症状に関する項目、
3 職場における他の労働者による支援に関する項目について、毎年1回定期的に検査を行わなければならない。
○ 検査の実施者は、医師または保健師のほか、厚生労働大臣が定める一定の研修を修了した看護師または精神保健福祉士とする。
ただし、検査を受ける労働者について、解雇などの直接的な人事権を持つ監督者は、検査の実施の事務に従事してはならない。
○ 事業者は、労働者の同意を得て、検査の結果を把握した場合、この結果の記録を作成し、5年間保存しなければならない。
それ以外の場合は、事業者は、検査を行った実施者による検査結果の記録の作成、検査の実施の事務に従事した者によるこの記録の保存が
適切に行われるよう、必要な措置を講じなければならない。
○ 検査結果は、検査の実施者から、遅滞なく労働者に通知しなければならない。
○ 検査の実施者が、検査結果を事業者に提供することについて、労働者から同意を取得する場合は、
書面または電磁的記録によるものでなければならない。

(3) 検査結果の集団ごとの分析などに係る規定の整備
○ 事業者は、実施者に、検査の結果を一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させるよう努めるとともに、
この分析結果を勘案し、必要と認められる場合は、その集団の労働者の実情を考慮して、
この集団の労働者の心理的な負担を軽減するため、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

(4) 検査結果に基づく面接指導の実施などに係る規定の整備
○ 検査結果に基づく面接指導の対象となる労働者の要件は、「検査の結果、ストレスの程度が高い者」で、
「検査を行った実施者が面接指導の実施が必要と認めた場合」とする。
○ 労働者が検査結果の通知を受けた後、面接指導の申し出を遅滞なく行うとともに、事業者は、労働者から申し出があった場合は、
遅滞なく面接指導を実施しなければならない。
また、面接指導の実施者は、面接指導の対象となる要件に該当する労働者に対して、面接指導の申し出を行うよう勧奨することができる。
○ 医師は、面接指導を行うに当たっては、この労働者の勤務状況や心理的な負担の状況などを確認しなければならない。
○ 事業者は、面接指導の結果の記録を作成し、これを5年間保存しなければならない。
○ 面接指導の結果に基づく医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。

(5) その他の事項
○ 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、検査、面接指導の実施状況などについて、毎年1回定期的に、
所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。

2  施行 日
平成 27 年 12 月1日

ストレスチェックの実施者に関し厚生労働大臣が定める研修に関する告示のポイント

1 告示の内容
○ ストレスチェックの実施者のうち、看護師または精神保健福祉士について、
労働安全衛生規則第 52 条の10第1項第3号の厚生労働大臣が定める研修は、
次の各号に定めるところにより行われる学科研修(これに相当する研修で、平成27年12月1日前に開始されたものを含む)とする。

一 次のイからハまでに掲げる科目について、それぞれイからハまでに定める時間以上行われるものであること。
イ 労働者の健康管理 2時間
ロ 事業場におけるメンタルヘルス対策 1.5時間
ハ 事業場における労働者の健康保持の増進を図るための労働者個人、労働者の集団に対する支援の方法 1.5時間
二 前号の研修を適切に行うために必要な能力を有する講師により行われるものであること。
三 前二号に定めるもののほか、研修の実施について必要な事項は、厚生労働省労働基準局長の定めるところによるものであること。

2  適用日
平成 27 年 12 月1日

心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針のポイント

1 指針の内容
(1) ストレスチェック制度の基本的な考え方
○ この制度は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)が目的で、
事業場におけるメンタルヘルスケアの総合的な取組の中に位置付けることが望ましい。
(2) 衛生委員会などにおける調査・審議
○ ストレスチェック制度の実施に当たっては、その実施体制・実施方法、不利益取扱いの防止などの事項を、
総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医などで構成される衛生委員会などで調査・審議し、その結果を踏まえて規程を定めなければならない。
(3) ストレスチェックの実施方法など
○ ストレスチェックに用いる調査票は、事業者の判断により選択することができるものとするが、
「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)を用いることが望ましい。
○ 心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目の評価点数の合計が高い者などを高ストレス者として選定しなければならない。
○ 医師による面接指導が必要とされた者に対して、実施者が申し出の勧奨を行うとともに、
結果の通知を受けた労働者が相談しやすい環境を作るため、保健師、看護師または心理職が相談対応を行う体制を整備することが望ましい。
(4) 面接指導の実施方法など
○ 面接指導の結果に基づく就業上の措置を決定する場合には、その労働者の了解が得られるよう努めるとともに、不利益取扱いにならないように留意しなければならない。
(5) 集団ごとの集計・分析の実施方法など
○ 分析結果に基づく措置は、管理監督者による日常の職場管理、労働者の意見聴取、産業医などの職場巡視などで得られた情報も勘案し、
勤務形態または職場組織の見直しなどの観点から講ずることが望ましい。
(6) 労働者に対する不利益な取扱いの防止
○ ストレスチェックを受けないこと、結果の提供に同意しないこと、または面接指導の申し出を行わないことを
理由とした不利益取扱いを行ってはならない。
○ 医師の意見を勘案し、必要と認められる範囲内となっていないものなど、法令上求められる要件を満たさない不利益な取扱いを行ってはならない。
○ 面接指導の結果を理由とした、解雇などの不利益な取扱いを行ってはならない。
(7) 労働者の健康情報の保護
○ ストレスチェックの実施前または実施時に、事業者への結果提供に関する労働者の同意を取得してはならないとし、
結果通知後に個別に同意を取得しなければならない。
○ 集団ごとの集計・分析の単位が10人を下回る場合には、全ての労働者の同意を取得しない限り、事業者に結果を提供してはならない。
(8) その他の留意事項
○ この制度においては、産業医が中心的役割を担うことが望ましい。
○ ストレスチェック結果の集団ごとの集計・分析は、派遣先事業者が、派遣労働者も含めて実施することが望ましい。

2  適用日
平成 27 年 12 月1日

PDF ストレスチェック制度に関する省令(PDF:582KB)
PDF ストレスチェックの実施者に関し厚生労働大臣が定める研修に関する告示(PDF:43KB)
PDF 心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づきj業者が講ずべき措置に関する指針(PDF:230KB)
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左記のアイコンをクリックしてダウンロードしてください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000082587.html厚労省HP
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労災認定への反論の動き

2015年04月16日 | 情報
労災認定への反論について紹介します。
労災保険の不支給決定については、労審法による審査請求、再審査請求(法38条)が規程さており、
多くの審査請求がなされていますが、その他にもいろいろな事案が発生しています。

一つ目は、以前にも紹介した事例です。
当事者の両親が、遺族補償給付の不支給処分の取り消しを求めた訴訟で、
一審・大阪地裁は労災に当たるとして不支給処分取り消しを命じました。
ところが、国は、この処分を不服として、控訴しました。
その理由としては、新聞報道によると、司法側による労災認定基準の拡大解釈があるとされているようです。

(参考)
光通信社員の過労死認定、国側が控訴
2015/2/18 日経
光通信(東京)の社員だった男性(当時33)が虚血性心不全で死亡したのは過労が原因だとして、
男性の両親が、遺族補償給付の不支給処分の取り消しを求めた訴訟で、国側は18日までに、
労災に当たるとして不支給処分取り消しを命じた今月4日の一審・大阪地裁判決を不服として控訴した。

3年間の重労働-33歳「光通信」元社員の両親訴えに、「疲労蓄積解消されず」と過労死認定 大阪地裁
2015.2.4 産経

東証1部上場の光通信(東京都豊島区)の男性社員=当時(33)=が突然死したのは過労が原因だったとして、
神戸市内に住む男性の両親が国に労災認定を求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。
中垣内(なかがいと)健治裁判長は「3年間に及ぶ過重な業務で、疲労の蓄積が解消されなかった」として、労災を認定した。
原告側代理人によると、死亡3年前の業務までさかのぼって過労死を認めた判決は異例。
厚生労働省が定めた過労死の労災認定基準は原則、死亡半年前までの業務内容から判断するとされており、
時間外労働(残業・休日出勤)の目安は月平均80時間となっている。
男性のケースは月平均62時間余りで、池袋労働基準監督署が平成23年3月、労災を認めない決定をしていた。
判決によると、男性は11年3月に光通信に入社し、主に携帯電話販売の法人営業を担当。
20年11月以降、中間管理職として部下による不正契約の事後対応やクレーム処理に追われた末、22年2月に虚血性心不全で死亡した。
中垣内裁判長は「半年間の業務だけでは過労とは認められない」と判断した一方、それ以前の2年半(30カ月)のうち、
時間外労働が月80時間を超えた月が21カ月もあった点を重視。
死亡前の半年間の業務についても「クレーム処理の精神的負荷が大きく、
週休2日だったことを考慮しても、疲労の蓄積は解消されなかった」と指摘し、死亡との因果関係を認めた。
両親は今回の訴訟とは別に昨年6月、光通信に対して約1億6400万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴している。

二つ目は、労災認定されているにもかかわらず、会社側が裁判に訴えたのですが、
当然のように一審は会社側敗訴になりました。
結果は、双方が控訴せずに和解に至ったという事例です。

積水ハウス、パワハラ自殺和解金6千万円支払い
2015年04月02日 読売

大手住宅建設会社「積水ハウス」(本社・大阪市)の社員だった長男(当時35歳)が自殺したのは上司のパワーハラスメントが原因だとして、
両親が同社に慰謝料など約9280万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁であり、
同社が和解金6000万円を支払う条件で和解したことがわかった。3月24日付。
訴状などによると、長男は2010年8月以降、兵庫県西宮市内の事務所で客からの苦情対応などを担当。
上司から、部下の指導が不十分との理由で「死んでしまえ」「クビにするぞ」などと日常的に罵倒されるようになった。
11年9月1日に行方不明となり、6日後、大阪市内の淀川で溺死しているのが見つかった。
神戸西労働基準監督署は、心理的負荷で適応障害を発症したことが自殺につながったと認定。
両親は13年2月に提訴し、同社側は「叱責はあったが、罵倒はしていなかった」などとして請求棄却を求めていた。
同社は読売新聞の取材に対し、「円満に解決するために和解したが、コメントは控えたい」としている。

積水ハウス「パワハラ自殺」遺族に6千万円 地裁で和解
2015年4月2日 朝日

大手住宅メーカー・積水ハウス(大阪市)の社員だった男性(当時35)が自殺したのは上司のパワーハラスメントが原因だとして、
兵庫県内に住む男性の両親が同社に9280万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁であり、同社が和解金約6千万円を支払うことで和解した。
3月24日付。
両親側は、男性が顧客の苦情対応などの統括役になった2010年8月以降、上司から指導力不足などを理由に
「死ね」「給料泥棒」などと罵声を浴びせられていたと主張。男性は11年9月、大阪市内の淀川でおぼれて亡くなっているのが見つかった。
神戸西労働基準監督署は12年8月、「業務上の心理的負担によって適応障害を発症し、自殺に至った」として労災と認定。
両親は13年2月、「上司の言動は指導の限度を逸脱していた」として提訴したが、
同社は「厳格な指導はしたが罵声は浴びせていない」と反論していた。
積水ハウスは取材に「円満に解決すべく和解したが、コメントは差し控える」としている。

三つ目は、これも以前に紹介した裁判例です。
労災と認められず、さらに、一審も敗訴した当事者の妻が、部長の決裁拒否は「異常な事態」として
高裁で逆転勝訴した事例です。
詳しくは、過去の当ブログやそのうちに紹介されると思いますので、労働判例誌等を参照してください。

(参考)過去の当ブログ記事
労災基準に挑んだ妻の闘い
15.3.11

倒れた夫、労災基準に挑んだ妻の闘い
2015/3/4 日経
(以下省略)






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