中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

障害年金の支給、国家公務員に有利な格差是正へ

2015年04月15日 | 情報
「国家公務員に有利な「官民格差」があることが分かり」とは、今さらながらの言い訳にしか聞こえませんが、
気が付いた格差をすぐに是正することは、評価できます。
ところで、障害年金ですが、一般人には手続きがかなり高いハードルのようです。

そこで、企業の関係者の皆さまにお願いです。
精神疾患にり患し、休職しても回復せずに休職期間満了になった場合には、退職になりますが、
その際にはぜひ障害厚生年金の受給手続きをお手伝いいただきたい。
そして、元の職場に復帰できず、障害者枠で復職するような場合でも、障害厚生年金を受給できる可能性もありますので、
手続きのお手伝いもお願いしたいと思います。

また、残念ながら退職せざるをえないみなさんには、障害厚生年金の受給資格がありますので、
他の退職手続と同時に、会社側の担当者に障害厚生年金の受給手続きのお手伝いを依頼してください。
さらに、家族や周囲のみなさんの協力を仰いで、受給の手続きをしてください。

その際の重要なポイントは、「初診日」の確定と、主治医の「正確な」診断書になります。
これさえ出来れば、専門家に依頼しなくても申請書を作成することは容易です。
手続き方法は年金事務所で教えてもらえます。過払い金の返還手続きや、遺産相続手続きとおなじです。
テレビ等で「手続きが難解ですから、専門家に依頼しましょう」とアピールしていますが、少しの自助努力で解決できます。
しかし、専門家に依頼するとそれ相応の手数料を請求されます。橋本社会保険労務士事務所もお手伝いする用意があります。
s-hashi@ya2.so-net.ne.jp
まで、ご連絡ください。

障害年金の支給、国家公務員に有利な格差是正へ
2015年04月14日 読売

病気やけがで仕事や生活に大きな支障がある場合に受給できる障害年金の支給ルールで、
国家公務員に有利な「官民格差」があることが分かり、政府は10月に公務員が加入する共済年金と、
会社員が加入する厚生年金が統合されるのに合わせ、ルールを統一化することを決めた。

障害年金は、保険料の滞納がなければ、障害の程度に応じて支払われる。自営業者らが対象の障害基礎年金と、
厚生年金加入の会社員に上乗せされる障害厚生年金、共済年金加入の公務員に上乗せされる障害共済年金がある。
受給者は2012年度末で、基礎年金が177万3000人、厚生年金が39万人、共済年金(国家公務員のみ)が1万7000人。
障害基礎年金や障害厚生年金の場合は、障害の原因となった傷病の「初診日」を証明しなければならない。
初診日に加入していた制度で、支払われる障害年金の種類が決まるためだ。

初診日の証明には健康保険の給付記録や医療機関の診察券などの提出が義務づけられているが、時間が経過したケースでは証明が難しくなる。
日本年金機構の調査では12年度、基礎年金の申請者のうち0・7%が初診日を証明できず、支給されなかった。
一方、国家公務員は証拠がなくても、本人が申告する初診日に共済年金に加入していれば支給が認められる。
転職者が少ないため、初診日がいつでも、ほとんどが共済年金に加入しており、緩やかなルールになったとみられる。
政府は、10月から国家公務員でも初診日の証拠を提出しなければ、障害年金を支給しないことにする。
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御社の産業医は、主治医と上手く連携できていますか?

2015年04月14日 | 情報
精神疾患やがんをはじめとする、難治性の疾患に限らず、当事者の疾患を治療・改善・治癒するためには、
御社の産業医が、当事者の主治医と、良好に上手く連携していくことが大切になります。
特に、精神疾患の場合には、重要な必要要件になります。
その理由としては、診断書などの文書や、当事者の言い分などでは、理解・解決できないことが多々あるからです。
むしろ、当事者が望んでいないのに、往々にして誤った方向に進んでしまうことがあります。

現実として、産業医と主治医のコミュニケーションがうまく出来ていないという事実があります。
因みに、ある精神科専門医の学会では、精神科医と産業医の良好な連携が大きなテーマとなっています。

産業医の殆どは、精神科専門医ではありませんので、精神科領域の知識が少ないのです。
まず、休職が必要なほどの精神疾患の場合は、たとえ専属の産業医が常駐していたとしても、
休職者の病状や回復状況、さらには主治医の診療内容などは、まったくわからない状況にあります。
産業医は、休職者の同意を得て、主治医とコンタクトを取る努力を、通常であればするものですが、
案外、放置してしまう産業医もいるようです。
もっとも、月1回しか訪社しない、嘱託の産業医であれば、無理もないのかもしれませんが。
しかし、このような場合でも、産業保健スタッフや人事労務担当のみなさんが、その空白を埋める努力をされて、
産業医に対して、的確な情報を提供することができれば、産業医も効率的で、有効な活動をすることができるはずです。

治療しながら就労を続ける場合は、どうでしょうか。
まず、従業員は、精神疾患を治療中であることを、通常会社には報告しません。
最近の話題になっている最高裁判決、東芝うつ病事件(最第2小平26.3.24判)に例を引くまでもありません。
産業医には当然に守秘義務がありますから、一人で悩んでいる当該従業員の貴重な相談相手になり得るのですが、
当該従業員は、専属、嘱託にかかわらず、産業医にも相談しないものです。

このような、あえて申し上げれば、危険な状況を放置できません。
中小の企業では費用的に難題かもしれませんが、理想を申し上げれば、
産業医による、事業所の従業員全員との「面接」制度を実現してほしいのです。
これは、改正安衛法で義務付けられた「ストレスチェック」制度より、現実的な対策でしょう。
そして、産業医は、当該従業員の了解を取り付けたうえで、当該従業員の主治医とのコンタクトを図ることが可能になります。
産業医と主治医がコミュニケーションできるようになれば、当該従業員の精神疾患の治療促進を図ることができます。

付け足しですが、筆者の経験から申し上げれば、精神科医と産業医の良好な連携が大きなテーマとなっている背景には、
どうやら、主治医、産業医双方に、被害者意識があるように思えてなりません。
詳しいことは省略しますが、しかし、決して、そのようなことはありません。
そのような「先入観」を乗りこれて、良好な協力関係を築いている主治医、産業医がいらっしゃることも事実ですから。
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心身障害の休職者復帰、支援企業に最大70万円

2015年04月13日 | 情報
メンタルヘルス対策の根幹である、職場復帰支援に対する「支援」策です。

心身障害の休職者復帰、支援企業に最大70万円
2015年04月06日 読売

厚生労働省は、事故や精神疾患による心身の障害で3か月以上休職した従業員の職場復帰を支援した企業に対し、
1人あたり最大で70万円を支給する助成制度を始める。
2015年度予算案に2895万円を計上しており、予算の成立と同時にスタートする方針だ。初年度で345人の復職を目指している。
新制度は、仕事内容や勤務時間を見直すことで無理なく復職できる職場環境を整備したり、
障害者の能力開発などに取り組んだりした場合が助成対象となる。
精神疾患を持つ人の復職の場合は、医療機関などに相談していることが条件となる。
企業が各地にある労働局やハローワークに助成を申請し、復職から6か月雇用が続けば1人あたり35万円(大企業は25万円)、
1年続くとさらに35万円(同)を支給する。

うつや障害者の職場復帰支援 企業向け助成金、厚労省
2015年3月18日 (共同通信)

うつ病や事故などによる障害で休職した人の職場復帰を支援するため、厚生労働省が新たな助成金制度を設けることが18日、分かった。
復帰する人向けの仕事を用意するなど雇用継続の環境を整えた企業に対し、復職者1人当たり最大70万円を支給。4月から始める。
新設するのは「障害者職場復帰支援助成金」(仮称)。働く人が病気や事故などで障害者になったり、
うつ病にかかったりして3カ月以上休職したケースが対象となる。
企業が復帰する人の障害や能力に応じて担当できる業務を用意したり、
職場に車いす用のスロープを設置したりするなど環境整備を図ることが支給条件。
うつ病の人ではさらに、全国の地域障害者職業センターや医療機関による相談などの復職支援を受けることも条件だ。
 助成金は、復職から6カ月間雇用が続いた場合、1人当たり35万円(大企業は25万円)を支給。
さらに6カ月後にも同額を支給する。厚労省は2015年度当初予算案に約3千万円を計上した。

障害者職場復帰支援助成金とは?

○どのような助成金か?
雇用する労働者が、難病等の発症や事故などによる中途障害等により長期の休職を余儀なくされ、
かつ、復帰にあたり雇用の継続のために職場適応の措置が必要な場合に、
事業主が必要な措置を講じて雇用の継続を図ることを促進するための助成金です。

○ いくらもらえるのか?
大企業1回25万円(合計50万円)、中小企業1回35万円(合計70万円)
短時間労働者の場合も同じです。

○受給するには?
・発病や事故による中途障害の雇用維持が対象です。
・3カ月以上の休職から、職場復帰して雇用継続の措置をします。
・その後6カ月雇用維持ごとに助成金を支給します。
・職場復帰後、対象障害者を継続して雇用していることが必要です。

○対象障害者は?
・身体障害者
・精神障害者(発達障害のみ有する者を除く)
・難病患者(157疾患) 
・高次脳機能障害

○雇用継続するための措置の例
• 本人の障害を考慮した能力にあわせた職務開発
• 新たな業務のための能力開発
• うつ病の者について、1ヶ月以上のリワーク支援の提供等

○対象事業主は?
雇用する労働者が、難病等の発症や事故などによる中途障害により3ヶ月以上の休職を余儀なくされ、
かつ、復帰に当たり雇用の継続のために職場適応の措置が必要な場合に、
その措置を講じた上で、当該中途障害者の雇用を継続すること。
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復職に関する質問です④解答例

2015年04月10日 | 情報
Q:社内規程集として、職場復帰プログラムを作成しようと考えています。
そのなかで、休職中の従業員が復職願いを提出したときに、当該従業員が復職できるかどうかを
判断するための基準を作りました。これが妥当かどうか教えてください。

復帰判断の主な基準

① 休職者が職場復帰に意欲を示し、通勤時間帯に安全に通勤ができる。
② 適切な生活・睡眠リズムが整っており、昼間にほぼ眠気がでないこと。
③ 作業等による疲労が翌日までには回復していること。
④ 業務遂行に必要な注意力、集中力が回復し、同僚と挨拶等ができること。
⑤ 決められた勤務日・時間に就労を継続することが可能であること。
⑥ 業務に必要な作業(PC作業等、運転等 )をこなすことができること。

A:解答例

・初級編
 当事者の主治医から、「復職可」の診断書が提出されたら、無条件で復職させればよいと云う訳ではないのですね。
 復帰の可否を判断する基準が必要なのですね。勉強になりました。参考にさせていただきます。

・中級編
 問題点が見つかりません。概ね妥当な判断基準なのではないでしょうか。
 我が社の復職判断基準も概ね同様の内容で運用しています。

・上級編
 復職にあたっては、上記のような判断基準でも良いのでしょうが、
 さらに加えて、復職申請前2~3週間における生活記録票の提出が必要です。
 その生活記録票の内容が、復職できるかどうか産業医の見解を求めるために必要です。
 復職できるかどうかのポイントは、毎日定時に出社できるかどうかにかかっています。

・プロフェッショナル編
 上記の「復帰判断の主な基準」は、理に適っていません。
 休職中に「①通勤」させるのですか?
 休職中に「③作業」をさせるのですか?
 休職中に「④業務遂行」させるのですか?
 休職中に「⑤就労を継続」させるのですか?
 休職中に「⑥業務に必要な作業を」させるのですか?

 問題に「休職者」とありますから、当事者は休職中と解釈されます。
 休職とは、会社との労働契約を維持しながら、一時的に労働を免除されている状態にありますので、
 休職中には、労働の義務はないことになります。
 それなのに、労働をさせてみて、その結果を見て復職させるかどうかを判断しようということです。
 会社側の担当部門の気持ちは理解できますが、禁じ手に手を出したと解釈できます。

正答:復職支援プログラムは、最初から再検討が必要でしょう。
 これから先は、別稿に譲ることにします。
 唯一、お答えするとすれば、職場復帰支援策を規定しないで、
 休職前のパフォーマンスを発揮できるようになったら、
 復職を認めるとすることを、次善の策としてお勧めします。
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「過労死ゼロ」目標 厚労省

2015年04月09日 | 情報
まだ、大綱の骨子案ですから、具体的な内容はわかりません。
しかし、重要な施策ですので、い関心をもって注意深くフォローしましょう。
なお、産経は、一日早く掲載していますので、紹介しています。

「過労死ゼロ」目標 厚労省、防止大綱の骨子案
2015年4月 7日朝日

厚生労働省は6日、過労死を防ぐための対策をまとめた「過労死防止大綱」の骨子案を発表した。
「将来的に過労死をゼロにする」ことを目標にかかげたが、働きすぎを防ぐ新たな数値目標は盛り込まれなかった。
骨子案は、労使や過労死の遺族らでつくる協議会に示された。国は防止策として、これまでに労災が認められたケースについて、
会社が労働時間を適切に把握していたかや、裁量労働制などが適用されていたかなどを調べる。
健康状態に仕事がどう影響するかも長期的に調べる。長時間労働やメンタルヘルスの相談窓口も設置。学生に過労死問題を伝える活動も進める。
ただ、この日の協議会では、労働側の委員から「より効果的な防止策を盛り込む必要がある」などと、対策の不十分さが指摘された。
息子を亡くした兵庫県の西垣迪世(みちよ)さんは、終業と始業の間に一定の間隔をとるよう義務づけるインターバル規制や、
1日の労働時間に上限を設ける制度について、「導入の検討を進めてほしい」と訴えた。
昨年夏に過労死等防止対策推進法が成立したのを受けて、厚労省は6月までに大綱をまとめる予定だ。

 ■厚生労働省の大綱案の主なポイント
・将来的に過労死ゼロをめざす
・過労死認定された人の労働時間などの調査
・働き方が健康に及ぼす影響を分析
・学生らに過労死問題を教える体制づくり
・経営者が防止に関わるよう促す

過労死防止へ数値目標 厚労省、労働時間や休暇取得率
2015/4/7 日経

厚生労働省は6日、過労死や過労自殺を防ぐために国が取るべき対策をまとめた大綱の骨子案を公表した。
労働時間の削減や休暇取得率について数値目標を定めたほか、過労死の発生要因を探るために長期的な追跡調査を進めることなどを盛り込んだ。
昨年11月に過労死等防止対策推進法が施行されたのを受け、6日に開かれた過労死遺族や労働者・使用者代表らで構成される
「過労死等防止対策推進協議会」に示した。国は夏ごろをメドに大綱をまとめる予定。
骨子案は、過労死防止は喫緊の課題として、「将来的に過労死をゼロにすることを目指す」と明記。
(1)2020年までに週当たり労働時間60時間以上の労働者割合を5%以下にする
(2)20年までに年次有給休暇取得率を70%以上にする
(3)17年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業者割合を80%以上にする――との数値目標を掲げた。
過労死の発生要因は明らかでない部分が少なくないとして、民間企業で働く人に加えて公務員や自営業者も対象にした調査が必要と指摘。
労働者の勤務状況と、その後の病気や過労死の関係について、長期的な追跡調査を行うとした。
同時に過労死の原因とも指摘されている職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた企業への支援を実施。
身体面や精神面の不調についてメールや電話での相談窓口を設置するなど、相談体制の整備にも取り組むとした。
出席した委員からは「数値目標は法律が成立する前から国が出していた数字だ。
法律が施行されて何を強化するのかが見えない」「学校で労働時間や有給休暇など、基本的な労働ルールを教えることが重要だ」などの意見が出た。
厚労省によると、2013年度に脳・心臓疾患による死亡で労災認定されたのは133人で、精神障害による自殺(未遂を含む)では63人。
申請していないケースもあるとみられ、氷山の一角との指摘もある。
過労死防止法は、過労死対策を取ることが「国の責務」と明記。
国は具体的な対策をまとめた大綱の作成を義務付けられており、同協議会の意見を聞く必要がある。

過労死防止対策大綱の骨子案ポイント
・実態解明のため勤務状況と、その後の過労死や病気との関係を長期的に追跡調査
・過労死ゼロを目指し「2020年までに週労働時間60時間以上の労働者を5%以下にする」といった数値目標設定
・大学生、高校生を対象にしたセミナーで過重労働による健康障害を防ぐ知識を説明
・身体面、精神面の不調についてメールや電話での相談窓口設置

勤務と死亡の関係追跡 過労死対策で大綱骨子案 厚労省
2015.4.6 産経

過労死を防ぐための対策を協議する厚生労働省の「過労死等防止対策推進協議会」が6日開かれ、
労働者の勤務状況と、その後の過労死や病気の関係について長期的な追跡調査をすることなどを盛り込んだ過労死防止対策大綱の骨子案が示された。
今後、協議会の議論を踏まえ、6月にも具体的な対策を取りまとめる方針。
骨子案では、過労死や過労自殺をゼロにすることを目指すとしたうえで、
週に60時間以上働く労働者の割合を平成32年までに5%以下(25年は8・8%)とする目標を提示。
32年までに年次有給休暇の取得率を70%以上(同48・8%)に、
29年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合を80%以上(同60・7%)とするなどの数値目標を掲げた。
また、公務員や自営業者を含めて、過労死の発生状況や要因などの調査研究を進めるとともに、啓発や相談体制の整備を進めるとしている。
骨子案に対し、協議会の委員で、過労死で親族を失った遺族からは「遺族が過労死の立証を科せられる現状を改善してほしい」
「調査研究には、遺族もメンバーとして入れるべきだ」などといった意見が出された。
昨年11月に施行された過労死等防止対策推進法では、国に対策を進めるための大綱づくりを義務付けている。
協議会は同法施行を受けて発足。過労死に詳しい弁護士や遺族らで構成される。




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