今回の事案で学ぶことは、二つです。
1.上司も書類送検されることです。起訴されることまで想定しなければなりません。
管理職には、労務管理の手法と心得を周知・徹底する必要があります。
管理職のみなさんは、会社の対応を待つまでもなく、ご自分の業務管理の実態を再点検してください。
2.記事中に労働法の権威である大内伸哉・神戸大教授(労働法)が「労使で合意すれば事実上『青天井』で…」と述べています。
しかし、小生は、繰り返し述べます。
数日前の当ブログ「勤務間インターバル制度(続報)」で、労組の行動を誉めたばかりですが、
今どきの労組は何をやっているのでしょうか?極言すれば、労組の存在価値を問われています。
しかも、三菱電機労連ー電気連合という、連合の主要単産ではないですか。
違法残業、ホワイトカラーも捜査対象に 三菱電機を書類送検
2017/1/11 日本経済新聞
厚生労働省神奈川労働局は11日、三菱電機の研究所に所属していた新入男性社員に違法な残業をさせたとして、
労働基準法違反容疑で同社と当時の上司を書類送検した。
従来の同種事件は工場従業員や販売店員らが主な対象だったが、昨年末に書類送検された電通に続く立件は、
政府の働き方改革の方針を背景に大手企業のホワイトカラーに捜査対象を広げる厚労省の姿勢を映している。
三菱電機の男性社員(31、昨年6月に解雇)は2013年4月に入社。神奈川県鎌倉市の同社研究所で部品開発などに携わっていた。
書類送検容疑は14年1~2月、労働組合との協定で定めた上限の月60時間を超える78時間9分の残業を男性にさせた疑い。
同社は送検を受け「真摯に受け止める。あらためて適切な労働時間管理を徹底する」としている。
男性は100時間以上残業した月もあり、これが原因で精神疾患を発症したとして16年11月に労災認定を受けていた。
「研究所の従業員の案件で送検するのは初めて聞いた」。ベテラン労働基準監督官は驚く。
過労などによる精神疾患の労災申請は増え、15年度は過去最多の1515件。
事務職が362件で最も多く、次いで専門・技術職の325件。
厚労省幹部は「月100時間以上の残業が横行しているのはホワイトカラー職場だ」とみている。
労働局の監督指導や捜査の中心はこれまで、建設作業員や工場労働者、販売店員といったブルーカラーの色彩が濃い職場が中心。
長時間労働などが原因で事故が起きると労働者の死亡やけがにつながりかねないからだ。
ただ、建設現場などでの労働災害による死者は減っている。
労働局に人的余力が生まれたこともホワイトカラー職場への監視につながっている。
大内伸哉・神戸大教授(労働法)は「労使で合意すれば事実上『青天井』で残業が可能な現行制度を見直し、
決して超えてはならない上限を設けるべきだ」と指摘する。
一方で「現行制度を厳格に守ると、自ら自由に労働時間を設計し、創造的な成果を出していく人が働きにくくなり、
企業の業績が落ち込むことも考えられる」とも説明。
「長時間労働自体が悪なのではない。無意味な労働を省き、仕事に打ち込むことが大事だ」と話す。
(参考)1年目の違法残業で疾患
2016年12月18日の当ブログを転載
労災と認定されましたので、私傷病ではなくなりました。
従って、記事中に「うつ病を発症し、ことし6月に解雇」とありますが、この解雇処分は無効になるのでしょうね。
2016.11.25 産経
三菱電機元社員の男性が精神疾患になったのは入社1年目の長時間労働が原因だった。
代理人を務める嶋崎量弁護士によると、
労基署は、厚生労働省の基準を大幅に上回る月100時間超の残業があったことを認め、
男性には強い心理的負荷がかかっていたとしている。
電通に入社した高橋まつりさんが過労自殺した問題に続き、大企業で新入社員が長時間労働を強いられ、
追い詰められている実態が浮かび上がった。
男性は「勤務時間を申告する際、上司から残業時間が月40時間を超えないよう指示された」と社内の「残業隠し」も証言。
平成26年2月には、過労死ラインとされる月80時間の2倍に当たる160時間の残業をしたにもかかわらず、
残業時間を59時間30分と過少申告したと主張している。
男性は「死んで楽になりたいと思ったこともあり、電通で自殺した女性と私は紙一重」と訴えた。
男性は病気療養のための休職期間を過ぎたとして今年6月に解雇されており、今後、解雇無効も求めていく。
三菱電機で残業隠し 研究職男性が精神疾患で労災認定「15時間職場にいたのに残業は2時間?」
BuzzFeed Japan 11/25
三菱電機の元研究職男性(31歳)が、精神疾患になったのは長時間労働が原因だったとして、藤沢労働基準監督署に労災認定された。
男性は11月25日に厚生労働省で記者会見し、解雇の撤回と職場環境の改善を訴えた。
男性は会社から「病気休業の期間が終わった」として解雇されている。
(参考)BuzzFeed Japanは世界最大級のニュース&エンターテイメントメディア「BuzzFeed」と
Yahoo! JAPANの合弁会社だそうです。
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