前項で事例紹介した、重大な労災事故を惹起させた某事業所とは、株式会社SANYO-CYP(サンヨーシーワイピー)さんです。
これまでは社名を伏せて事例紹介していましたが、もう社名を堂々と明らかにすることできます。
それは、何故か?当該事故以降、当社は見事に復活を遂げられ、2018年には、健康経営優良法人を取得されたからです。
それに伴い、業績も急回復しているようです(当社HPより)。僅か6年間での出来事です。
参考までに、事案内容を紹介します。
(日経、2014.10.22)
大阪市の印刷会社の元従業員ら17人が胆管がんを発症し、うち9人が死亡した問題で、
同社は22日、大阪市内で記者会見し、全ての生存患者や遺族と和解が成立したと発表した。
それぞれ1千万円超の補償金を支払うほか、再発防止に向け安全対策を講じることを和解内容に盛り込んだ。
和解は9月25日付。辞任した山村徳唯前社長(68)は「胆管がんを多数発症させ、大変申し訳なく思う」と謝罪。
業務で扱う有機溶剤が発症原因とされた経緯から、化学物質の安全性について専門家に調査を依頼する体制も整える。
問題は2012年5月に発覚。大阪区検が今月16日、産業医の選任を怠るなど衛生管理体制に不備があったとして、
法人としての同社と山村前社長を労働安全衛生法違反罪で略式起訴し、同社によるとそれぞれ罰金50万円の略式命令を受けた。
以下、株式会社SANYO-CYP(サンヨーシーワイピー)さんのHPから引用させていただきます。
「2012(平24)年「胆管がん」問題について」
『二度と労働災害を起こさないことを誓うとともに、安全安心な職場環境を維持し皆様に信頼される会社づくりを行ってまいります。
そして、弊社のような企業が二度と出ないこと、労働災害がこの世からなくなることを切に願います。』
SANYO-CYPの取り組み
①安全衛生の知識の取得
安全衛生に対する知識を蓄えるために、さまざまな資格を取得しました。
これにより、会社全体の安全衛生に対する意識レベルが格段に向上しました。
②安全衛生委員会の設置/産業医の選任
有資格者を中心に毎月1回の開催
議事録は社員全員に回覧するほか、社内ネットワークにていつでも閲覧が可能となっております。
③厚生労働省の「あんぜんプロジェクト」に登録
主な取り組み
・リスクアセスメント評価・対策による予防処置
・HH(ヒヤリ・ハット)活動
・5S活動
④胆管がん健診の継続
DCPを含んだ洗浄剤を使用していた現職の従業員には、継続して半年に1度、胆管がん健診を行っています。
退職した元従業員に対しては、健康管理手帳の交付を申請するよう呼びかけました。
健康管理手帳の交付は国が行っている制度で、この手帳があれば国費で健康診断を受診することができます。
⑤平成28年度「『見える』安全活動コンクール」に応募
有機溶剤ばく露の見える化による対策と効果=優良事例に認定されました。
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/2016/result.html
⑥2018(平成30)年度「健康経営優良法人」に認定
従業員の健康の維持・増進が企業の生産性や収益性の向上につながるという考え方に立って、従業員の健康管理を実践しています。
まさに、本稿のテーマ「産業保健体制の在り方」の好事例と言っても過言ではありません。
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