中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

普及進まず

2022年10月10日 | 情報

認知行動療法 普及進まず…低い報酬 指導者不足
2022/10/06 読売

うつ病などに対する「認知行動療法」が保険診療になって10年あまりたつ。
医師らとの対話を通じ、悲観的になりやすい思考の癖などを患者に見直してもらう治療法だ。
精神科を受診する人が増える中、薬以外の治療として期待されてきたが、普及が進まない。
医師らの手間がかかる割に診療報酬が低いことや指導者不足が長年の課題だ。(医療部 影本菜穂子)

厚生労働省の患者調査によると、2017年のうつ病などの外来患者数は125万人。15年間で1・8倍に増えた。
コロナ禍中にうつ病患者らが増えたとの報告もある。「薬で気分を持ち上げてもマイナス思考の癖があると再発しやすい。
認知行動療法を用いれば、薬だけでは効果が乏しい患者の改善も期待できる」と国立精神・神経医療研究センターの
久我弘典・認知行動療法センター長は語る。

認知行動療法は医師らと面談を重ね、患者がストレスと上手につきあえるようになることを目指す。
欧米では1980年代から多くの病気で用いられてきた。

日本でも2010年、「うつ病」に対し保険診療で行えるようになり、16年には「強迫症」「パニック症」など4疾患、
18年には「神経性過食症」にも拡大した。
同センターが、うつ病患者ら66人を対象に15~17年に行った調査では、治療終了から3か月後には、
服薬量が当初の半分近くに減る効果が確認された。

だが、思うように広がらない。厚労省によると、全国での実施回数は、14年度から20年度まで、年4万回前後で推移。
最近3年間は4万回を下回っている。

普及しない要因の一つが、診療報酬が低いことだ。医師が30分以上行った場合、医療機関に支払われる報酬は4800円(16回まで)。ただ、一般的な30分未満の診療でも3000円以上の報酬を受け取れるため、精神科医の間からは「手間の割に報酬が低い。通常の5分診療で多くの患者をみる方が収益が上がる構造だ」との声が聞かれる。

この治療法の専門知識・技術を学ぶ場も少ない。国は、熟練した指導者に治療の進め方を個別指導してもらう研修を実施しているが、受講者は年50人程度に限られる。指導者を務められる専門家が少なく、枠を増やせないという。

米国では、心理学の専門家も主要な担い手だ。しかし、日本の保険診療では、17年に国家資格になった「公認心理師」による実施は認められていない。

日本認知療法・認知行動療法学会の大野裕理事長は「さらに再発予防効果や公認心理師が行った場合の有効性を研究で証明し、国に診療報酬を見直すよう働きかけていく必要がある。研修体制を拡充し、デジタル技術を用いて利便性の向上を図ることも重要だ」と指摘する。動画を用いて面接時間を短縮する研究やアプリを使った簡易版の開発が国内外で進んでいる。

◎認知行動療法とは 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

https://www.ncnp.go.jp/cbt/guidance/about

◎再掲(小職ブログより)

(参考)VR活用
2022年09月15日

わが国では、認知行動療法が普及していません。
あまりにも薬物療法に頼りすぎではと違和感を覚えます。
認知行動療法の国内第一人者の大野先生も、匙を投げているのではと。
大野先生、頑張ってください。

2022年9月2日 読売
デジタルで変わる<3>VR活用、うつ改善目指す
(以下省略)

◎大野裕氏 精神科医
近年、精神医療の現場で注目されている認知療法の日本における第一人者。国際的な学術団体Academy of Cognitive Therapyの設立フェローで公認スーパーバイザーであり、日本認知療法・認知行動療法学会、日本ストレス学会、日本ポジティブサイコロジー医学会の理事長など、諸学会の要職を務める。認知行動療法活用サイト「こころのスキルアップトレーニング」発案・監修。著書多数。

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