15.16日は、出張のため当ブログは、休載します。
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平成29年6月1日に施行された、労働安全衛生規則等の一部改正において、産業医の役割見直しが行われましたが、
法律改正の背景を、以下のように説明しています。
「産業医の業務内容が変化し、かつ業務量が増加しています。
具体的には、過労死対策、メンタルヘルス対策、疾病・障害がある等、働く人々が多様化することに伴い、
労働者をとりまく健康問題が重要性を増しています。
さらに、平成27年12月からストレスチェック制度が新たに導入され、面接指導業務が新たに産業医の職務に追加されるなど、
産業医が対応すべき業務が増加してきています。
また、労働安全衛生法が制定された当初と現在では、産業構造や、産業保健における主要な課題が変化してきており、
事業場において求められる労働衛生管理の内容や産業医に求められる役割等が変化してきています。」
結論から申し上げます。提言です。産業医の業務内容は、安衛則第14条、および第15条にて明確に規定されています。
なお、詳細は、条文を参照してください。
従って、御社が委嘱している産業医の業務内容ではなく、業務配分を見直さなければなりません。
なぜなら、限られた委嘱費の中での運用ですから。
法改正で、月1回の巡視が、条件付きで2月に1回の巡視になったように、委嘱する業務内容を、事業場の実態に即して、
優先順位をつけ、効率的な、いわば生産性を重視した産業医活動に変換していかなければなりません。
ただし、気を付けていただかなければならないことは、産業医の職務内容を省略することはできません。
産業医の職務は法令で明確に規定されているのですから。
もし、職務を省略するのであれば、その省略した職務を委嘱する新たな産業医を補充しなければなりません。
産業医に職務を行わせていないのは、事業者の責任なのです。
付け加えなければならないことは、衛生管理者の役割が、より重要になったことでしょう。
多くの企業では、衛生管理者の業務を、「片手間」的な感覚で、させているのではないでしょうか?
衛生管理者ばかりではありません。他の関係者の役割分担も見直しをしなければならないでしょう。
(参考)平成29年6月1日に施行された、労働安全衛生規則等の一部改正内容
(1) 産業医の定期巡視の頻度の見直し(労働安全衛生規則第15条1項)
少なくとも毎月1回行うこととされている産業医による作業場等の巡視について、事業者から産業医に毎月1回以上、
少なくとも毎週1回衛生管理者が行う作業場等の巡視の結果等所定の情報が提供されている場合であって、
事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2月に1回とすることを可能とする。
(改正前)産業医は、少なくとも毎月一回作業場等を巡視し、労働者の健康障害防止のために必要な措置を講ずる。
なお、「巡視の結果等」の等とは、前号(第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果)に掲げるもののほか、
労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、
衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの(則15条項2号)、
を云います。
(2) 健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供
(労働安全衛生規則第51条の2、3項等)
事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で
必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならないこととする。
(改正前)事業者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について、
当該労働者の健康保持に必要 な措置について、医師等からの意見を聴取する。
(3) 長時間労働者に関する情報の産業医への提供(労働安全衛生規則第52条の2、3項)
事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における
その超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、
その超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に
係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないものとする。
(改正前)事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が
1月当たり100時間を超える労働者について、当該労働者からの申出に基づいて医師による面接指導を行う。
さらに、働き方改革関連法案のうちで、労働安全衛生法の改正については、産業医の役割についても改正がありました。
1.産業医の活動環境の整備(安衛法第13条関係)
・事業者から産業医への情報提供を充実・強化します。
・産業医の活動と衛生委員会との関係を強化します。
① 新設)産業医に対する情報提供(第13条第4項関係)
事業者は産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない。
② 事業者による当該勧告の尊重(第13条第5項関係)
事業者は産業医からの勧告を受けた当該勧告を尊重しなければならない。
③ 新設)勧告の内容を、衛生委員会(安全衛生委員会)へ報告(第13条第6項関係)
事業者は産業医からの勧告の内容について、衛生委員会(安全衛生委員会)へ報告しなければならない。
④ 新設)産業医の選任義務のない事業場における医師等への情報提供(第13条の2第2項関係)
産業医の選任義務のない事業場における医師等へ情報を提供するよう努めなければならない。
⑤ 新設)健康相談に適切に対応するために必要な体制の整備(第13条の3関係)
労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医等が労働者からの健康相談に応じ、
適切に対応するために必要な体制の整備など必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2.面接指導(安衛法第66条の8関係)
・産業医等による労働者の健康相談を強化します。
① 新設・新たに、技術、商品または役務の研究開発に係る業務に従事する労働者に対して
厚生労働省令で定める時間を超えた労働者に対して面接指導を行わなければならない。
② 新設・高度プロフェッショナル制度の対象労働者であって、
その健康管理時間が厚生労働省令で定める時間を超えた労働者に対して面接指導を行わなければならない。
3.法令等の周知(安衛法第101条関係)
・事業者は産業医の業務の内容等について、労働者に周知します。
① 新設)産業医を選任した事業者は、その事業場のおける産業医の業務の内容等について、
常時各事業場の見やすい場所に掲示し、または備え付けるなどにより、労働者に周知させなければならない。
(第101条第2項関係)
② 新設)労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等に労働者の健康管理の
全部または一部を行わせる場合も、労働者に周知させるよう努めなければならない。(第101条第3項関係)
4.新設)心身の状態に関する情報の取扱い(安衛法第104条関係)
・事業者による労働者の健康情報の適正な取り扱いを推進します。
① この法律またはこれに基づく命令の規定による措置の実施について、
労働者の心身の状態に関する情報の収集、保管または使用するときは、
労働者の健康の確保に必要な範囲内とし、当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、使用しなければならない。
(本人の同意がある場合その他正当な理由がる場合はこの限りではない)。(第1項)
② 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。(第2項)