中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

365日連続勤務でうつ病発症(続編)

2015年11月10日 | 情報

少し時間が空いてしまいましたが、会社側の不手際が、後々大きなしっぺ返しとなることがありますので、
どうしても必要と考えましたので、続編として再確認してみました。

うつ病を発症し、私傷病扱いで休職期間に入るとします。
しかし、会社所定の休職期間を満了しても、復職できないと、就業規則に従って、解雇または自然退職扱いとなります。
さて、ここで当事者は思案します。なぜ、解雇されたのか、自分には何も落ち度がないのに。
そこで、いろいろな専門機関や専門家に相談します。何かがおかしい、何なのか、何故なのか、と。
最終的に行き着いた結論は、「私の病気は、実は、労災なのではないか」と。

そうなると、専門機関や専門家のアドバイスや支援を受けて、労災申請をすることになります。
ハラスメントのような場合は、言った言わないの問題になりますから、難しい側面もありますが、
過重労働が原因の場合は、意外と簡単に証拠集めができますから、労災申請が認められやすいのですね。
さて、労災認定されると、次は、民事損害賠償責任の訴訟になるわけです。
すでに労災認定されていますから、原告勝訴、会社側敗訴の可能性が高くなります。
ブラック企業と称さる企業は、どのような勝算で企業経営されているのでしょうか?
おそらくここまでの展開を予測していないのでは考えます。
それとも、小生では予測できない、全く異なるストーリーを描いているのでしょうか?

因みに、東芝うつ病事件(最高裁第2小法廷平成26年3月24日判決、東京高裁平成23年2月23日判決)も、
このような図式で推移し、原告勝訴になりました。
さて、ここからは、実務としての労務管理の問題になります。
このようなトラブルに至らないようにするのが、それぞれの企業の人事労務担当の役割になるわけです。
経験豊富な皆さまですから、抜かりはないと思いますが、一筋縄ではいかないのが実情です。
しかも、本業にプラスの業務ですから、多くの時間を取られることになりかねません。
余談ですが、難しい問題に直面することになる、或いはすでに直面している、みなさま、
くれぐれも、「ミイラとりがミイラになる」ことがないように、健康管理には留意してください。

コメント
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