中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

内部告発者保護「抜本改正を」

2015年09月04日 | 情報
法令が施行されることは良かったのですが、内部告発者が守られないという、
基本的なことで、法令の欠陥が明らかになってきました。

企業は、内部告発を奨励するような規定を設けていますが、一部の企業においては、実は、
ダブルスタンダードであって、内部告発した従業員を、意図的に排除するような仕組みがあるのです。
企業のコンプライアンス違反を告発しても、社内的には、実は「とんでもない社員」という烙印が押され、
いじめ、差別等にあっていますし、それが高じると、メンタル不調に陥ってしまうことも多々あります。

従業員にとって、内部告発することがいかに難しいか、ということです。
退職覚悟で告発するのか、または、見て見ぬふりをするか、
要するに泣き寝入りしか選択する手段がないというのが現状でしょう。
最近でも、有力メーカーで類似の事例が惹起しましたね、ところが、当該企業の子会社では、
職場風土の改善が有名になり、本を執筆した社長は、講演の依頼が引きも切らないという事実。
閑話休題。少々古い記事ですが、取り上げるタイミングを失してしまいました。

内部告発者保護「抜本改正を」 消費者庁検討会
2015/6/17 日経

消費者庁は16日、企業や官公庁の不正を内部告発した人を不利益な扱いから守る
「公益通報者保護制度」の見直しを議論する検討会の初会合を開いた。
出席者からは「告発者が守られる仕組みを徹底するため、抜本的な制度改正が必要だ」との意見が上がった。
大学教授や弁護士らのほか、告発経験者もメンバーとして参加。制度の実効性を高める方策などを議論し、
来年3月までに結果をまとめる予定。
2006年に施行された公益通報者保護法は、告発を理由とする解雇や降格処分といった嫌がらせを禁じているが、
違反への罰則はない。

(参考情報)
公益通報者保護法(内部告発法)は制定後5年で見直すことになっているので、来年の3月で見直すことになる。

公益通報者保護法(平成十六年六月十八日法律第百二十二号)
附 則 (検討)
第二条  政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、
その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

参考裁判例:T運輸事件(富山地裁平17.2.23 判決 判例時報1889号)
(当事者)
原告:被告に在籍している従業員(通報者)X
被告:大手貨物運送会社Y
(事案の概要)
Y の従業員であるX が、(昭和49 年に)Y が他の同業者との間で認可運賃枠内での
最高運賃収受や荷主移動(顧客争奪)禁止を内容とするヤミカルテルを締結しているなどと
報道機関等に対し内部告発したところ、Y はこれを理由として長期間にわたり昇格させなかったり、
X に不当な異動を命じて個室に隔離したうえ雑務に従事させたりするなど,
不利益な取扱いをしたとして、雇用契約上の平等取扱義務、人格尊重義務、配慮義務等に
違反する債務不履行又は不法行為に基づき、Y に慰謝料、賃金格差相当額の損害賠償の支払い,
並びに謝罪文の手交を求めた事案。

コメント
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