中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

慎重な対応が必要です

2013年10月25日 | 情報
情報の鮮度が少し落ちましたが、平成24年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」が
発表されています。詳細は、以下を参照してください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034xn0.html

その中で、関心を持って読んだのが、精神障害の出来事別決定及び支給決定件数一覧でした。
具体的な出来事別支給決定件数の上位は、以下のとおりです。
なお、具体的な出来事とは、平成23年12月26日付け基発第1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」の
別表1に基づいて分類しています。

1位 特別な出来事  84件
2位 仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった  59件
3位 (ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた  55件
4位 悲惨な事故や災害の体験、目撃をした 51件
5位 (重度の)病気やケガをした 45件
6位 上司とのトラブルがあった 35件  
7位 1か月に80時間以上の時間外労働を行った 32件
8位 セクシャルハラスメントを受けた 24件
9位 2週間以上にわたって連続勤務を行った 17件
10位 顧客や取引先からクレームを受けた 13件

通常、精神疾患の場合、企業は、起きた事案について労災か私傷病かは俄かに判断できませんから、私傷病として取扱います。
当然に、安衛則97条に基づく「労働者私傷病報告」を労基署に提出する必要はありません。
こうしたことから、なぜ、従業員が精神疾患を発症したのかを、深く問わない場合が散見されます。
なお、推測ですが、上述の支給決定件数は、ほぼ全数について従業員自身が労災申請して、支給が決定したものと考えます。

ここで注意したいのは、「4位 悲惨な事故や災害の体験、目撃をした 51件」は、例え自社が惹起させた労災事故だとしても、
派生的に起きた事案ですし、「10位 顧客や取引先からクレームを受けた 13件」などは、会社があえて秘匿する必要のない出来事です。
場合によっては、従業員の精神疾患の発症でも、会社が労災申請することも考えられます。
ですから、精神疾患の発症で従業員が休職する場合でも、会社はなぜ精神疾患を発症したのか原因を追究しておく必要があります。
これにより、従業員自身が労災申請したことにより、
御社に労基署の調査が入っても、慌てる必要がなくなり冷静に対応することができます。

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