熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

METライブビューイング・・・「メリー・ウィドウ」

2015年02月23日 | クラシック音楽・オペラ
   久しぶりに、METライブビューイングで、レハールのオペレッタ「メリー・ウイドウ」を見た。
   全編ウィーン・サウンドの甘美な流れるようなワルツのメロディで、華麗な舞台をバックに繰り広げられる、大人のウイットに富んだ恋をテーマにした喜歌劇である。

   METの看板ソプラノ・ルネ・フレミングのハンナと、ポップスも歌うと言うバリトンのネイサン・ガンのダニロの華麗な大人の恋の駆け引き。
   それに、ハンサムのリリック・テノールのアレック・シュレイダー演じる若い伊達男カミーユが恋するツェータ男爵の妻ヴァランシエンヌに、ブロードウエー・ミュージカルのトップスター・ケリー・オハラが絡むと言う、素晴らしい布陣である。

   それに、ブロードウェイで活躍する人気演出・振付家スーザン・ストローマンが演出を担当しており、正に、METとブロードウエーがタッグを組んだ、ニューヨークでこそ生まれ出でた舞台であり、それこそ、湧き立つように美しくて華麗な舞台と、ウキウキする流れるようなサウンドが、最初から最後まで、観客の心を掴んで離さない。
   日本で上演された、正に本場のウィーン・フォルクスオパーの舞台を、録画したNHKのDVDで見たのだが、この地味な舞台と比べてみると、底抜けに明るくて楽しいMETバージョンのきらめきが良く分かる。
   旅先のジュネーブだったか、それに、ロイヤル・オペラなどで、何度か「メリー・ウイドウ」を観ているが、これ程楽しい舞台を観たことがない。

   この舞台で、狂言回しのキーマンを演じているツェータ男爵が、イギリスの名バリトンであるサー・トーマス・アレン。
   イギリスのロイヤルオペラなどで、ドン・ジョヴァンニなど色々な舞台で見て来た超ベテラン歌手で、久しぶりに見ると実に貫録と風格ある老紳士になっており、流石に、シェイクスピアの国の名優だけあって、コミカルな芝居も上手い。
   このトーマス・アレンは、ルネ・フレミングが、初めて、デビューして成功したヒューストン・グランド・オペラで、フィガロの伯爵夫人を演じた時に、伯爵を歌っていて、アレンの指導ヨロシキを得て、燃えたつような舞台を経験したと言う。

   このことは、私が10年前に、ロンドンに行った時の、ロイヤルオペラで、「オテロ」を観た時に、終演後、デズデモーナを歌ったルネ・フレミングが、丁度出版した著書「THE INNER VOICE Notes from a life on stage」にサイン会を催して、その時、サインを貰った本に書いてある。
   その時のフレミングが、この写真なのだが、流石にアメリカ夫人で、気持ち良く撮らせてくれた。
   余談だが、邦訳も出ているこのフレミングの本は、面白くて、読んで楽しい。
   

   その時のキャストは、指揮は主席指揮者アントニオ・パパーノ、オテロはイギリスの名テノール・ベン・ヘプナー、ヤーゴはルチオ・ガロ、エミリアはクリスチン・ライス。
   私は、ルネ・フレミングの舞台を観たのは、その後、来日したMETの「椿姫」のヴィオレッタである。
    アルフレードはラモン・ヴァルガス、ジェルモンはディミトリー・ホロストフスキー、指揮者はパトリック・サマーズであったが、フレミングのヴィオレッタは極め付きであった。

   さて、METライブビューイングのHPで、フレミングを、”「銀色の声」と称されるクリーミーな声とゴージャスな存在感で観客を魅了する”と紹介されているが、素晴らしく美しいソプラノが、流れるように軽快な歌声に、益々磨きがかかったようで、レハール節の魔力に取りつかれて息をのむほど素晴らしい。

   ところで、このルネ・フレミングだが、エリザベート・シュワルツコップとビバリー・シルスを尊敬していると書いていたが、私も、ずっと昔に、シュワルツコップをリサイタルで2回、シルスを「アンナボレーナ」で聴いたことがあるが、二人とも、大変な大歌手であり、分かるような気がしている。
コメント (1)
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