医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

二型糖尿病のリスクの低下と魚油(EPA,DHA)の関係について 栄養医学ブログ  日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-06-18 23:02:31 | 健康・病気

糖尿病のリスクのの減少に関しては、栄養医学的対応が、米国でいろいろ研究・発表されています。今回は、その中の一つの魚油の二型糖尿病のリスクに対する減少効果について考えていきたい、と思います。なお、ニ型糖尿病については、いろんな栄養医学的対策を総合的に実行する必要が有り、魚油での対応は、その中の一つです。

フィンランドのイースタン大学の研究によると、長鎖オメガー3不飽和脂肪酸の血清濃度の高値は、ニ型糖尿病のリスクを減らすのに有益な可能性が有ります。なお、これらのオメガー3不飽和脂肪酸は、魚と魚油(EPA,DHA)由来です。

今までの研究では、魚の消費、あるいはオメガー3不飽和脂肪酸が、糖尿病のリスクに影響するかに関する発見は、矛盾した研究結果でした。リスクを減らす結果は、アジアの人口群で観察されましたが、同じ結果は、ヨーロッパや米国での研究では認められませんでした。人種の違いによる体質(遺伝的素因)が関係しているかどうかは、この段階ではわかっていません。また、いくつかの研究では、魚の高消費が糖尿病のリスクの増加に関係している、という報告も有ります。魚を多く摂取し、野菜や生の果物、豆などの消費が少ない可能性も有り、バランスのとれた食事をしていない可能性が有り、ここに、栄養と糖尿病のリスクの関係の研究の難しさがあります。

イ―スタン大学の更に続く研究では、1984年から1989年にかけて、研究の初めに、42~60歳の男性、2,212名の血清オメガー3不飽和脂肪酸の濃度を測定しました。19.3年にわたる追跡調査中、422名が二型糖尿病と診断されました。

オメガー3不飽和脂肪酸の血清濃度は、被験者を4つのカテゴリーに分けるため、用いられました。二型糖尿病の発症において、四分の一にあたる、最も高い血清オメガー3不飽和脂肪酸濃度の男性のそのリスクは、四分の一にあたる、最も低い血清オメガ―3不飽和脂肪酸濃度の男性のリスクに比べ、33%ほど低い結果でした。

これらの結果から、良くバランスのとれた食事に加え、一週あたり二回、魚を食事に加えるべきで、できれば寒流魚で、脂肪分の多い魚がEPA,DHAを多く含むので、食事に取り入れるべきです。なお、サケ、ニジマス、コイ、ニシン、vendace、イワシ、アンチョビ、サーデイン、サバなどに多く含まれます。

References

Jyrid K et al: Serum Omega-3 polyunsaturated fatty acids and risk of incident Type 2 diabetes in men. Diabetes care, 14 January 2014

Fish derived serum omega-3 fatty acids help reduce risk of type 2 diabetes, Jan 14,2014

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスblog.goo.ne.jp/h35p39で見れます。

 


二型糖尿病のリスクの低下と魚油(EPA,DHA)の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-06-18 23:02:28 | 健康・病気

糖尿病のリスクのの減少に関しては、栄養医学的対応が、米国でいろいろ研究・発表されています。今回は、その中の一つの魚油の二型糖尿病のリスクに対する減少効果について考えていきたい、と思います。なお、ニ型糖尿病については、いろんな対策を総合的に実行する必要が有り、魚油での対応はその中の一つです。

フィンランドのイースタン大学の研究によると、長鎖オメガー3不飽和脂肪酸の高濃度の血清値は、ニ型糖尿病のリスクを減らすのに有益な可能性が有ります。なお、これらのオメガー3不飽和脂肪酸は、魚と魚油(EPA,DHA)由来です。

今までの研究では、魚の消費、あるいはオメガー3不飽和脂肪酸が、糖尿病のリスクに影響するかに関する発見は、矛盾した研究結果でした。リスクを減らす結果は、アジアの人口群で観察されましたが、同じ結果は、ヨーロッパや米国での研究では認められませんでした。また、人種の違いによる体質(遺伝的素因)が関係しているかどうかは、この段階ではわかっていません。いくつかの研究では、魚の高消費が糖尿病のリスクの増加に関係している、という報告も有ります。魚を多く摂取し、野菜や果物、豆などの消費が少ない可能性も有り、バランスのとれた食事をしていない可能性が有り、ここに、栄養と糖尿病のリスクの関係の研究の難しさがあります。

イ―スタン大学の更に続く研究では、1984年から1989年にかけて、研究の初めに、42~60歳の男性、2,212名の血清オメガー3不飽和脂肪酸の濃度を測定しました。19.3年にわたる追跡調査中、422名が二型糖尿病と診断されました。

オメガー3不飽和脂肪酸の血清濃度は、被験者を4つのカテゴリーに分けるため、用いられました。二型糖尿病の発症において、四分の一にあたる、最も高い血清オメガー3不飽和脂肪酸濃度の男性のそのリスクは、四分の一にあたる、最も低い血清オメガ―3不飽和脂肪酸濃度の男性のリスクより33%ほど低い結果でした。

これらの結果から、良くバランスのとれた食事に加え、一週あたり二回、魚を食事に加えるべきで、できれば寒流魚で、脂肪分の多い魚がEPA,DHAを多く含むので、食事に取り入れるべきです。なお、サケ、ニジマス、コイ、ニシン、vendace、イワシ、アンチョビ、サーデイン、サバなどに多く含まれます。更なる研究が待たれます。

References

Jyrid K et al: Serum Omega-3 polyunsaturated fatty acids and risk of incident Type 2 diabetes in men. Diabetes care, 14 January 2014

Fish derived serum omega-3 fatty acids help reduce risk of type 2 diabetes, Jan 14,2014

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天然型ビタミンEと合成ビタミンEの違いとリスクについて 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-06-18 14:20:33 | 健康・病気

ビタミンEの作用と効果、それに副作用については、基礎研究や臨床研究でポジティブなデ―タが出たり、ネガティブなデータが出たりして、混乱しています。その原因は、ビタミンEには種類が多く、また天然型と合成型があり、どのビタミンEを研究に用いるかにより、結果が異なります。更に、ビタミンEは脂溶性なので、使用量によっても効果や副作用は異なります。今回は、ビタミンEのこれらの複雑な問題点について考えていきたい、と思います。

ビタミンEの利用者は、ラベルにdL-alpha-tocoperol(合成ビタミンE)とかd-alpha-tocopherol(天然型ビタミンE)とか記載されているのを見たことがある、と思います。その天然型の100IUは合成型の150IUに効果が相当します。更に、"GreenMedinfo"に記載されているように、合成型dl-alpha-tocopherolは、石油化学産物の製造工程の副産物であり、内分泌攪乱作用があり、また大出血発作と肺炎など、その他の有害な作用と共に、前立腺ガンのリスクの増大と関係が有る、と報告されています。

理想的には、ビタミンなど必要な栄養素は、食品から摂取が望ましいのですが、現実には、食品の加工の段階で、ビタミン、ミネラル、食物繊維、それに酵素など重要な栄養素は、ほとんど失われております。しかし、生のまま食べる野菜や果実の場合は失われません。食品の一部だけでなく、全部を食べ、できれば有機食品が望ましいです。また、近代生活では、加工度の高い食品をいやがおうにも食べるチャンスが多いので、自家農園を持つことも必要です。

それから特定の健康問題に立ち向かい、あるいは食事での特定の栄養素の欠如を埋め合わせのためにも、天然型のビタミンEのような栄養サプリメントを摂取する必要がある、と考えます。ちなみに、ビタミンCは、石油化学産物の副産物でなく、ジャガイモや甜菜を原料に作られているので安全ですが、他のビタミン類、ミネラル類と連携して体内代謝を円滑にしているので、野菜や果物、それに豆などと共に、サプリメントで摂取すれば、腎臓に問題を抱えているヒト以外は安全、と考えられます。更なる研究を期待しています。

reference

VitaminE may alleviate symptoms of liver disease brought on by obesity: Mercola.com. May 20, 2013

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非アルコール性脂肪肝炎(肝臓病)と天然型ビタミンEの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-06-17 15:35:48 | 健康・病気

人間ドックの検査では、肝機能異常が一位にランクされています。そこで、肝機能異常の一つである非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と天然型ビタミンEの関係について、米国の新しい研究を参考に考えていきたい、と思います。

血中ビタミンEの低値が肝臓病と関係があるという仮説がありますが、それを証明するため、血中低ビタミンE値を有するよう生物学的操作を行ったマウスに於いて、酸化ストレスの増大、脂肪の蓄積、それにその他の肝臓障害などが、米国での新しい研究で認められました。

マウスにビタミンEを補助的に投与すると、非アルコール性脂肪肝炎と関連した症状のほとんどが消退しました。同様に、非アルコール性脂肪肝炎に関するビタミンEの役割を調べる別の研究では、d型を混ぜたトコトリエノ―ルとα-トコフェノールの両方摂取は、α-トコフェノールのみ、あるいは混合したトコトリエノ―ルを投与したラットに比べて、肝臓病のラットにおいて複合的改善が認められました。それらの改善は、肝臓での中性脂肪の蓄積の減少、脂質の過酸化値の低下、肝臓障害マ―カの改善、肝臓線維症の阻害などです。これらの研究は、天然型トコトリエノ―ル複合体と天然型α-トコフェノールを一緒に摂取することは、NASHを相乗的に改善するのに役立つことを、示しています。

非アルコール性脂肪肝炎の多くは、進行するのに何年も、何10年もかかる、ゆっくり悪化する疾患です。そのプロセスは、疾患の進行が止まり、自然に改善できますが、肝硬変への更なる悪化を伴い進行する可能性も有ります。この事が一度起こると、NASHの進行は肝障害へと続き、ストップさせることができません。

天然型ビタミンE類をサプリメントで摂取するか、もしくは食事で摂取を増やすことは、NASHの進行を止めるのに役立つ、重要なステップとなる可能性が有ります。肥満しているなら減量と共に、肝臓のストレスの増大(アルコール摂取、果糖の法外な摂取、不必要な薬物療法など)を避け、適正量のビタミンEやマルチビタミンの摂取、それに肝臓病食などは、NASHのリスクを減らす一歩となります。なお、悪い結果にならないよう実施すべき時期は、永久的な肝障害が起こる前です。また、この研究に関しては、更なる追試が望まれます。

Reference

vitaminE may help alleviate  symptoms of liver disease brought on by obesity: Mercola.com. May 20,2013

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抗酸化物質と悪性黒色腫(メラノ―マ)の関係の是非について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-06-13 14:40:54 | 健康・病気

抗酸化物質(抗酸化栄養素)と悪性黒色腫(メラノ―マ)のリスクに関しては、栄養所要量のビタミンC、E、ベータカロテン、セレ二ウム、それに亜鉛などの摂取が、女性で悪性黒色腫のリスクを高めるという無作為試験が、一件報告されていますが、最近、それを否定する研究も報告されています。当方の小数調査でも、45年にわたってマルチビタミンを所要量の約5倍/日、ビタミンCを約1g/日、摂取している男性等では、ガンの発症や腎結石の発症が認められませんでした。これらの結果から、ビタミンは、単独摂取より他のすべてのビタミンと共に摂取するのが、体内代謝の円滑化をもたらし、ガンのリスクの減少、副作用の予防にもつながる、と考えられます。また、栄養サプリメントを摂取しているヒトは、特に野菜、果物、豆類などをより多く摂取すれば、体内代謝が更にスムーズになり、サプリメントの過剰摂取による副作用から解放される、と研究は示しています。

次に、オークランドのMaryam M. Asagar博士らは、抗酸化サプリメントの使用とガンのリスクを試験するようデザインした研究において、ビタミンと生活スタイルの研究に参加した69,671名の男女で、抗酸化物質とメラノ―マの関係を調べました。研究を始めるにあたって、2000年と2002年の間に、参加者らは、生活スタイル因子、健康歴、食事、サプリメント使用とその他のガンリスク因子について、24ページの質問票に記入しました。

その結果、セレ二ウムとベータカロテンを含む、10年間のマルチビタミンと栄養サプリメントの摂取は、女性あるいは男性において、メラノ―マのリスクとは結びついてなく、以前の無作為試験の結果は否定されました。なお、ニ重盲検無作為試験は薬剤の効果の判定に用いられますが、抗酸化栄養素など長期の摂取を必要とするものには向かない、と言われています。また、
研究者らは、以前の無作為研究と比較できる投与量のベータカロテンとセレ二ウムのサプリメントの長期摂取と結び付いたメラノ―マのリスクを調べ、関係がないことを発見しました。

この結果と同じである、ベータカロテン、ビタミンE,それにセレ二ウムの血清値を調べた症例の対照試験では、それらとメラノ―マのリスクの間にはいかなる関係も見られませんでした。さらに、看護師での健康調査では、2年の追跡調査において162,000人の女性でビタミンA,CとEの摂取とメラノ―マのリスクの間に関係がないことが報告されています。また、抗酸化栄養素(グルタチオン)の過剰摂取は、転移性メラノーマ細胞の酸化を防ぎ、その細胞を保護する、との報告もあります。従って抗酸化栄養素の適正量が、ガン対策として重要、と考えられます。更なる研究が待たれます。

References

Asgari et al. Antioxidant supplementation and risk of incident Melanomas: Result of a large prospective cohort study. Archives of Dermatology, 2009; 145(8)

Antioxidants not associated with increased Melanoma risk. ScienceDaily. September 1,2009