糖尿病のリスクのの減少に関しては、栄養医学的対応が、米国でいろいろ研究・発表されています。今回は、その中の一つの魚油の二型糖尿病のリスクに対する減少効果について考えていきたい、と思います。なお、ニ型糖尿病については、いろんな栄養医学的対策を総合的に実行する必要が有り、魚油での対応は、その中の一つです。
フィンランドのイースタン大学の研究によると、長鎖オメガー3不飽和脂肪酸の血清濃度の高値は、ニ型糖尿病のリスクを減らすのに有益な可能性が有ります。なお、これらのオメガー3不飽和脂肪酸は、魚と魚油(EPA,DHA)由来です。
今までの研究では、魚の消費、あるいはオメガー3不飽和脂肪酸が、糖尿病のリスクに影響するかに関する発見は、矛盾した研究結果でした。リスクを減らす結果は、アジアの人口群で観察されましたが、同じ結果は、ヨーロッパや米国での研究では認められませんでした。人種の違いによる体質(遺伝的素因)が関係しているかどうかは、この段階ではわかっていません。また、いくつかの研究では、魚の高消費が糖尿病のリスクの増加に関係している、という報告も有ります。魚を多く摂取し、野菜や生の果物、豆などの消費が少ない可能性も有り、バランスのとれた食事をしていない可能性が有り、ここに、栄養と糖尿病のリスクの関係の研究の難しさがあります。
イ―スタン大学の更に続く研究では、1984年から1989年にかけて、研究の初めに、42~60歳の男性、2,212名の血清オメガー3不飽和脂肪酸の濃度を測定しました。19.3年にわたる追跡調査中、422名が二型糖尿病と診断されました。
オメガー3不飽和脂肪酸の血清濃度は、被験者を4つのカテゴリーに分けるため、用いられました。二型糖尿病の発症において、四分の一にあたる、最も高い血清オメガー3不飽和脂肪酸濃度の男性のそのリスクは、四分の一にあたる、最も低い血清オメガ―3不飽和脂肪酸濃度の男性のリスクに比べ、33%ほど低い結果でした。
これらの結果から、良くバランスのとれた食事に加え、一週あたり二回、魚を食事に加えるべきで、できれば寒流魚で、脂肪分の多い魚がEPA,DHAを多く含むので、食事に取り入れるべきです。なお、サケ、ニジマス、コイ、ニシン、vendace、イワシ、アンチョビ、サーデイン、サバなどに多く含まれます。
References
Jyrid K et al: Serum Omega-3 polyunsaturated fatty acids and risk of incident Type 2 diabetes in men. Diabetes care, 14 January 2014
Fish derived serum omega-3 fatty acids help reduce risk of type 2 diabetes, Jan 14,2014
筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスblog.goo.ne.jp/h35p39で見れます。