医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病、肥満、動脈硬化症とアディポネクチン産生療法について その一 栄養医学ブログ

2012-04-15 22:01:51 | 健康・病気

アディポネクチンと糖尿病との関係が注目されています。アディポネクチンは、肥満に於いて脂肪やグルコース(血糖)をコントロールする、体内で産生される、蛋白質を基本とするホルモンです。アディポネクチンは、インスリンが代謝される時、インスリンを直接制御します。そして、研究が進行中ですが、2型糖尿病の管理に於いて鍵となる役割を演じると、信じられています。アディポネクチン値は肥満した人達では異常に低く、健康に良い食事が、アディポネクチンの産生に寄与する可能性があります。そして、そのことが、糖尿病の進行を阻害するのに役立つ可能性があります。アディポネクチンは、血管の内側の細胞組織の炎症を減らし、心臓血管系疾患に、いくらか臨症上の期待をもたらします。

アディポネクチンは心臓の代謝を好ましい方向に持っていくことと関係した、脂肪組織から分泌されるぺプタイド様ホルモンです。アディポネクチンは、2型糖尿病、肥満、アテローム性動脈硬化症、それにNAFLDなどの疾患に於いてよい結果をもたらす役割を果たします。すなわち、アディポネクチン値が高ければ高い程、健康状態が良くなります。

現在、アディポネクチン値を高める運動や栄養療法が研究されています。ここでは、現在、わかっている方法について、かいつまんで述べます。アディポネクチン値を高めるための運動では、心臓血管系を良くするためには、少なくとも一週間に三度、一日あたり20分歩くことです。

次に生活習慣を変えることです。飲酒をやめ、禁煙して下さい。大豆などの植物性蛋白質の豊富な食品、プロバイオティクス、オメガ―3不飽和脂肪酸を含む魚(EPA,DHAを多く含む)、果物、野菜、海草、それに全粒穀物とビタミン、ミネラルを多く含む食品を食べて下さい。これらすべては、内臓脂肪の産生を減らし、アディポネクチン産生を高めることができます。なお、十分それらを摂取できない場合は、栄養サプリメントで補って下さい。

ビタミンDの摂取と前記食品の摂取がアディポネクチン値を高め、内臓脂肪の産生を減らすことにより、肥満を間接的に減らすかもしれません。ある症例では、ビタミンDと肥満に関しては、三年以上、プロバイオティクスを併用して、ビタミンD5000国際単位/日を摂取しました。しかし、血中ビタミンD値はまだ17ng/mlでした。ここでの問題点は、その吸収不良とプロバイオティクスを一緒に摂取したせいでした。ビタミンD値は一年以内に54ng/mlまで改善しました。それ以降安定しました。面白い事に、体重が70ポンドも減り、現在は標準体重になりました。しかし、わずかに体脂肪が余分にありました。その同じ年に医療の続きを継続しながら体脂肪が10%、体重が5ポンド以下、減りました。代謝上では、このことはCaとビタミンDの吸収の改善とインスリン、コーチゾン、レプチンなどのホルモンシグナルの改善を伴っていることに気づくに違いありません。それらは、内臓脂肪の減少と高線維食、良好なインスリンコントロール、それにプロバイオティクスを併用してビタミンDを4000~5000国際単位/日、摂取したことによる有効性と理解されます。

その他に、レスべラトロールにもアディポネクチン産生効果があることが報告されています。

なお、これらは体に優しい予防・治療法ですが、ビタミンDは脂溶性なので少量で効果が出、体内で長く留まります。従って、大量摂取は副作用が出ますので、控えましょう。また、現在、世界の研究者達が、必死でアディポネクチンを増やす栄養生化学的治療法を研究中です。

References

How to increase Adiponectin: eHow.com

Association between vitaminD and adiponectin: Vitamin D Council Blog