医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

Linus Pauling博士のガンのビタミンC改善療法について その一 栄養医学ブログ

2011-08-28 20:37:52 | 健康・病気

Pauling博士は、Cameron 博士との共同研究でビタミンCのガンに対する延命効果やquality of life の改善効果を発見しました。その結論として、ビタミンCの効果を出すには、長期、摂取しなければいけません。短期の摂取では無理です。そこで、胃に負担をかけないビタミンC誘導体も開発されているので、初期、中期ガンの患者でも長期にわたって摂取できるようになりました。。もちろん点滴の方が効果は大きいですが、毎日、点滴すると血管に負担もかけるし、経済的にも大変です。その補助として経口摂取も臨床で行われています。ここでは、Pauling博士が収集したガンのビタミンC療法の症例の概略を紹介します。なお、経口投与か点滴かは、参考文献ではわかりませんでした。有効性の強弱はありますが、最近の研究では、どちらも効果があるようです。また、マルチビタミン・ミネラルの併用が、栄養科学的にも臨床的にも効果をさらに増強するようです。以下の症例では、マルチビタミン・ミネラルは併用していません。ここでは還元型ビタミンCを使用しています。なお、リオルダン博士は、ポーリング博士のビタミンC療法を改善し、マルチビタミン・ミネラルの点滴を併用し、寛解を確認しています。

症例一、男性71歳、慢性骨髄性白血病

前処置なし。ビタミンCの試行時の状態は、アルコール性肝硬変、赤血球増多症、慢性心筋炎らの合併症を伴い、倦怠感、疲労感を訴えていました。ビタミンCを24g/日から42g/日を摂取し始めました。良くなったので途中、ニ回程中止しました。すると発熱し、倦怠感、疲労感が再燃しました。そこでビタミンCの摂取を再開すると、症状が急速に改善されました。しかい、18ケ月後、急性心不全のため死亡しました。その間、ガンの進行が停止しました。

症例二、女性、50歳、膵臓癌

前処置は、大きい腫瘍による総胆管閉鎖のため、バイパス形成術を行いました。ビタミンCを12~16g/日摂取し、その後、30g/日に増量しました。そしてず―っと続けています。症状はすべてなくなり、膵臓の腫瘍は消失し、元気に暮らしています。

症例三、男性72歳、肺癌

前処置は肺切除術、放射線療法。ビタミンCナトリウムを10g/日摂取し、続いてビタミンAを高単位摂取し始めました。二年後の現在、臨床的に良好で、強健かつ機敏になりました。

症例四、男性75歳、肺癌

前処置は化学療法が一ケ月。ビタミンC試行時は、ガンは縦隔リンパ節転移、右腎臓転移で手術不能でした。ビタミンCを10g/日摂取し始め、6ケ月後、肺原発性腫瘍はかなり縮小し、18ケ月後、健康状態は良好です。

症例五、女性47歳、卵巣ガン

前処置は子宮摘出術、両卵管卵巣切除術、術後放射線療法、および化学療法が20ケ月。ビタミンCは12g/日摂取し続け、6ケ月後の現在、健康は良好です。

なお、日本ビタミンC研究会発行の"ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法"のCD/DVD版を読みたいという希望者が多いので、実費1000円(送料込)でお分けしています。日本ビタミンC研究会で住所検索し、"はがき"もしくはFAXで申し込み下さい。

References

VitaminC and Cancer: Linus Pauling, Ewan Cameron. Linus Pauling Institute of Science and Medicine. 1979

ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法: 藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1982

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ガンとビタミンC,Mg,Caについて 栄養医学ブログ

2011-08-28 16:02:11 | 健康・病気

1976年、アリソン博士、フェルルガ博士らはリンパ球の癌細胞破壊作用を研究し、MgイオンとCaイオンが免疫能を高め、癌細胞を破壊することを、報告しました。そこで、トーマス博士らは乳がんマウスの飲用水にMgイオンとCaイオンを入れ、癌細胞の増殖と生存時間を調べました。5~6週令C3H/HEJマウスの飲料水にCaグルセプテイトを0.36mg/ml、硫酸Mgを2mg/ml、還元型ビタミンCを1mg/mlの濃度で飲料水に入れ、標準食と共に与え、2週間後にそのマウスの肺癌切片を奪管針で接種しました。Ca,Mg,VCは投与を続けました。そして、生存時間、癌の大きさを統計学的分析し、処理しました。

結果は、対照に比べ、MgイオンとCaイオンの混合投与群、VC単独投与群ともに癌の縮小は認められなかったが、両方とも延命効果が認められました。これらの事から、MgとCaの混合大量投与群は、リンパ球と癌細胞をしっかりと結び付けて免疫能を高めるのに必要で、それらの必須ミネラルの体内貯留を高めておくことが、癌患者には必要です。VCの投与量は、Pauling博士の10g/日よりはるかに少ないが、マウスの癌に投与することは、いくらかメリットがあるようです。また、壊血病モルモットは、VC投与により生存時間が大幅に伸びます。癌は重度の壊血病とよく似ているという、研究もあります。

現在では、この研究に比べはるかに大量のVCが点滴され、Mg, Caもビタミン・ミネラル点滴液(マイヤ―カクテル)に含まれ、VCと共に点滴され、癌患者のquality of life、延命効果が得られています。なお、Mg,CaはVCと違いミネラルですから大量投与はできません。VCは初期、中期癌では、経口でも摂取されていますが、点滴のほうが効果は大きいようです。さらに、これらの併用投与では効果が増強します。現在では、併用が主流です。また、Ca対Mgの比は2対1で、食品からの摂取を除いて、Caは600mg/日、Mgは300mg/日ぐらいが摂取の適量と考えられます。腎臓の悪いヒトは、医師に相談下さい。

 

 

Reference

Effect of Mg, Ca,and VitaminC against Lung cancer Mouse: Thomas. G, Journal of Surgical Research. Volume 27, Number 5, 318~320, November 1979

 

 

 

 

 

 

 

 

 


統合失調症とビタミン、ミネラルについて その五 栄養医学ブログ

2011-08-27 15:08:52 | 健康・病気

人体に普通に存在する生理活性物質の濃度を変えると、精神症状を改善できます。

脳の機能は、脳に存在する普通の生理活性物質の分子濃度により、影響を受けます。ヒトに対するこれらの物質の最適濃度は、通常の食事と遺伝上の機構により供給された濃度とは、非常に異なっている可能性が有ります。生化学上、遺伝学上の議論では、栄養医学療法、つまり、脳に重要な、普通にある栄養素の至適濃度をヒトに供給することが、多くの精神症状のヒトに対し、適切な治療法となります。

ビタミン欠乏症による精神症状は、身体症状の表れる前に、長期にわたって観察されます。脳は、他の器官や組織より、生命に必須な物質の変化に、より敏感です。いくらかのヒトにとって、生命に必須な物質の脳・脊髄濃度は、血液、リンパ液での濃度が正常である時、非常に低い可能性があります。生命に必須な物質の血液ー脳関門の透過性の減少のような生理学的異常、あるいは、脳での生命に必須な物質の、濃度の異常を起こす遺伝子は、統合失調症の遺伝子の表現率の増大と関連がある可能性があります。その遺伝子は、一つ、もしくはもっと多くの、生命に必須な物質の、大脳での局部的な欠乏をもたらすことが考えられます。

精神症状に対する、最適の分子環境を脳に作ることが、精神の健康保持に必要です。精神の健康保持には、ビタミンのような、ヒトの体に普通に存在する栄養素の脳での最適濃度が必要です。ビタミンC, ナイアシン、ナイアシンアミド、ビタミンB6, ビタミンB12などのビタミンの大量摂取により、それらの脳での最適濃度を維持することが、予防面、治療面で重要です。これらのビタミンは、ビタミンサプリメントとしてドラッグストアやインタ―ネットで入手可能です。栄養医学に詳しい薬剤師に相談して下さい。また、腎臓の悪いヒトは栄養医学に詳しい医師に相談して下さい。

Reference

Orthomolecular  Environment of Mind:  Linus Pauling, American Journal of Psychiatry.Volume 131, Number 11, 1251~1257, November 1974

 

 

 

 

 

 

 


糖尿病とビタミンのαーリポ酸について その一 栄養医学ブログ

2011-08-26 22:57:31 | 健康・病気

ビタミンの一種のαーリポ酸は糖尿病の傾向がある肥満ラットの糖尿病を防ぎます。次に、いろんな証拠から、骨格筋と膵臓のランゲルハンス島へのトリグリセライドの蓄積は、予期せず二型糖尿病と関連があることを、示唆しています。αーリポ酸(強力な抗酸化栄養素、ミトコンドリア呼吸酵素の補助因子)は、食物摂取量を抑制し、エネルギー消費量を増やすことにより、実験用ラットの体重を減少さすことを、蔚山医科大学のSong博士らは証明しました。さらに、α―リポ酸が、肥満した実験用ラットの糖尿病の進行を防げるかどうか、研究しました。

78%未処置ラットは、40週令で糖尿症状を示したが、αーリポ酸により症状を示さなくなりました。また、体重はα―リポ酸により減少し、β―細胞を破壊から防ぎ、骨格筋やランゲルハンス島へのトリグリセライドの蓄積を減らしました。

これらの結果から、α―リポ酸(チオクト酸)は、脂肪組織と同様、非脂肪組織への脂質の蓄積を減らすことにより、糖尿病の傾向がある肥満ラットの糖尿病を防ぎます。α―リポ酸は、ドイツでは糖尿病性神経障害の、認可された治療法となっています。また、糖尿病、糖尿病性神経障害、心臓疾患、それに肝臓病などの治療に用いられています。摂取量は100~200mg/日、上限量は600mg/日です。子供や妊婦は摂取しないほうがいいです。また、インスリン注射している糖尿病患者は、αーリポ酸が血糖値を下げるので、摂取は禁止されています。

少量では副作用は出ぬくいですが、量が多い場合、頭痛、痙攣、発疹などの副作用がでることがあります。また、α―リポ酸はビタミンサプリメントで売られています。栄養医学に詳しい医師、薬剤師と相談下さい。

αーリポ酸が含まれている食品は、ホウレンソウ、ジャガイモ、ブロコリー、米ぬか、穀物胚芽、ビール酵母、キヤベツなどです。ところで、糖尿病は、食事療法、運動療法、ビタミン・ミネラル療法、ハーブ療法、酵素療法など総合した、戦略的治療が必要と、考えられます。

References

alpha-Lipoic acid prevents diabetes mellitus in diabetes-prone obese rats: Song KH, Biochem Biophys Res Commun. 2005 Jan 7; 326(1):197-202

alpha-Lipoic acid for Diabetes: Diabetes WellBeing.com.

 

 

 


糖尿病とビタミンのビオチンについて 栄養医学ブログ

2011-08-26 16:18:33 | 健康・病気

研究によると、ビオチンはビタミンHと呼ばれるビタミンの一種で、膵臓のβ―細胞の、グルコース誘導によるインスリン分泌を刺激することにより、かつ、肝臓と膵臓の解糖作用を促進することにより、異常なグルコース代謝を改善すると考えられています。また、ビオチンはguanylate cyclase活性を高めることにより、筋肉のインスリン感度を強めます。糖尿病では、carboxylase酵素の阻害が存在するという仮説が立てられていますが、糖尿病と非糖尿病被験者間のビオチン依存性carboxylase酵素三種での活性の違いは、見い出せませんでした。

ビオチンの大量投与は、いろんな糖尿病動物モデルの糖のコントロールを改善させました。また、別の研究では、ビオチン値が、健常な対照より、ニ型糖尿病患者でさらに低いことがわかりました。もはやsulfonylureasで効果がないニ型糖尿病患者にビオチン、3mg/日、毎日三回、経口投与を一ケ月続け、その45%に空腹時血糖値の低下が見られました。プラセボでは効果が見られませんでした。また、別の研究では、一週間、毎日、16mg/日のビオチンを摂取する一型糖尿病患者では、空腹時血糖値の50%の減少が見られました。ビオチンの大量投与(6週間、10mg/日、筋肉内投与、続いて64~130週、5mg/日、経口投与)が、重度の糖尿病性末しょう神経障害の三名の糖尿病患者に投与されました。8週以内に、感覚異常や筋肉のこむらがえりの改善が見られ、持続する足の症状もなくなりました。ビオチンの静脈内投与(透析後、50mg/日)では、血糖値が正常な血液透析患者の、経口耐糖能テストが正常でした。

ニ重盲検試験では、コントロール不良のニ型糖尿病患者(グルコース耐糖能テストニ時間値200mg/dLより高値、ヘモグロビンA!C値7以上)にビオチンとピコリン酸クロニウムの効果を調べました。被験者は、2mgのビオチンと600mcgのクロニウム、もしくはプラセボを4週間、毎朝一度摂取するよう、割り当てられました。また、事前の研究での、経口による血糖降下薬は続けられました。結果は、グルコース、フルクトサミン、トリグリセライド、それにトリグリセライド/HDL, コレステロ―ル比の著しい減少が、プラセボに比べてビオチン投与グループで著明でした。なお、ビオチンは大変安全なビタミンなので、事故や副作用は起こりませんでした。

以上からビオチン(ビタミンH)は、糖尿病対策に有望と考えられます。食事療法、運動療法、その他のビタミン、ミネラル療法に併用することにより、患者に明るい希望が湧きます。卵、野菜、ビール酵母、豆、レバー、無精白穀類、果物などに含まれています。また、栄養サプリメントとして、インターネットなどで輸入できます。総合的戦略で糖尿病に対応することが必要と、考えられます。

References

Biotin: Alternative Medicine Review ,Volume12,Number 1  2007

Vitamin Bible:  Earl Mindell, Richard Curis Association ,Inc.,