医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病とビタミンのビオチンについて 栄養医学ブログ

2011-08-26 16:18:33 | 健康・病気

研究によると、ビオチンはビタミンHと呼ばれるビタミンの一種で、膵臓のβ―細胞の、グルコース誘導によるインスリン分泌を刺激することにより、かつ、肝臓と膵臓の解糖作用を促進することにより、異常なグルコース代謝を改善すると考えられています。また、ビオチンはguanylate cyclase活性を高めることにより、筋肉のインスリン感度を強めます。糖尿病では、carboxylase酵素の阻害が存在するという仮説が立てられていますが、糖尿病と非糖尿病被験者間のビオチン依存性carboxylase酵素三種での活性の違いは、見い出せませんでした。

ビオチンの大量投与は、いろんな糖尿病動物モデルの糖のコントロールを改善させました。また、別の研究では、ビオチン値が、健常な対照より、ニ型糖尿病患者でさらに低いことがわかりました。もはやsulfonylureasで効果がないニ型糖尿病患者にビオチン、3mg/日、毎日三回、経口投与を一ケ月続け、その45%に空腹時血糖値の低下が見られました。プラセボでは効果が見られませんでした。また、別の研究では、一週間、毎日、16mg/日のビオチンを摂取する一型糖尿病患者では、空腹時血糖値の50%の減少が見られました。ビオチンの大量投与(6週間、10mg/日、筋肉内投与、続いて64~130週、5mg/日、経口投与)が、重度の糖尿病性末しょう神経障害の三名の糖尿病患者に投与されました。8週以内に、感覚異常や筋肉のこむらがえりの改善が見られ、持続する足の症状もなくなりました。ビオチンの静脈内投与(透析後、50mg/日)では、血糖値が正常な血液透析患者の、経口耐糖能テストが正常でした。

ニ重盲検試験では、コントロール不良のニ型糖尿病患者(グルコース耐糖能テストニ時間値200mg/dLより高値、ヘモグロビンA!C値7以上)にビオチンとピコリン酸クロニウムの効果を調べました。被験者は、2mgのビオチンと600mcgのクロニウム、もしくはプラセボを4週間、毎朝一度摂取するよう、割り当てられました。また、事前の研究での、経口による血糖降下薬は続けられました。結果は、グルコース、フルクトサミン、トリグリセライド、それにトリグリセライド/HDL, コレステロ―ル比の著しい減少が、プラセボに比べてビオチン投与グループで著明でした。なお、ビオチンは大変安全なビタミンなので、事故や副作用は起こりませんでした。

以上からビオチン(ビタミンH)は、糖尿病対策に有望と考えられます。食事療法、運動療法、その他のビタミン、ミネラル療法に併用することにより、患者に明るい希望が湧きます。卵、野菜、ビール酵母、豆、レバー、無精白穀類、果物などに含まれています。また、栄養サプリメントとして、インターネットなどで輸入できます。総合的戦略で糖尿病に対応することが必要と、考えられます。

References

Biotin: Alternative Medicine Review ,Volume12,Number 1  2007

Vitamin Bible:  Earl Mindell, Richard Curis Association ,Inc.,