医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病とビタミンのαーリポ酸について その一 栄養医学ブログ

2011-08-26 22:57:31 | 健康・病気

ビタミンの一種のαーリポ酸は糖尿病の傾向がある肥満ラットの糖尿病を防ぎます。次に、いろんな証拠から、骨格筋と膵臓のランゲルハンス島へのトリグリセライドの蓄積は、予期せず二型糖尿病と関連があることを、示唆しています。αーリポ酸(強力な抗酸化栄養素、ミトコンドリア呼吸酵素の補助因子)は、食物摂取量を抑制し、エネルギー消費量を増やすことにより、実験用ラットの体重を減少さすことを、蔚山医科大学のSong博士らは証明しました。さらに、α―リポ酸が、肥満した実験用ラットの糖尿病の進行を防げるかどうか、研究しました。

78%未処置ラットは、40週令で糖尿症状を示したが、αーリポ酸により症状を示さなくなりました。また、体重はα―リポ酸により減少し、β―細胞を破壊から防ぎ、骨格筋やランゲルハンス島へのトリグリセライドの蓄積を減らしました。

これらの結果から、α―リポ酸(チオクト酸)は、脂肪組織と同様、非脂肪組織への脂質の蓄積を減らすことにより、糖尿病の傾向がある肥満ラットの糖尿病を防ぎます。α―リポ酸は、ドイツでは糖尿病性神経障害の、認可された治療法となっています。また、糖尿病、糖尿病性神経障害、心臓疾患、それに肝臓病などの治療に用いられています。摂取量は100~200mg/日、上限量は600mg/日です。子供や妊婦は摂取しないほうがいいです。また、インスリン注射している糖尿病患者は、αーリポ酸が血糖値を下げるので、摂取は禁止されています。

少量では副作用は出ぬくいですが、量が多い場合、頭痛、痙攣、発疹などの副作用がでることがあります。また、α―リポ酸はビタミンサプリメントで売られています。栄養医学に詳しい医師、薬剤師と相談下さい。

αーリポ酸が含まれている食品は、ホウレンソウ、ジャガイモ、ブロコリー、米ぬか、穀物胚芽、ビール酵母、キヤベツなどです。ところで、糖尿病は、食事療法、運動療法、ビタミン・ミネラル療法、ハーブ療法、酵素療法など総合した、戦略的治療が必要と、考えられます。

References

alpha-Lipoic acid prevents diabetes mellitus in diabetes-prone obese rats: Song KH, Biochem Biophys Res Commun. 2005 Jan 7; 326(1):197-202

alpha-Lipoic acid for Diabetes: Diabetes WellBeing.com.

 

 

 


糖尿病とビタミンのビオチンについて 栄養医学ブログ

2011-08-26 16:18:33 | 健康・病気

研究によると、ビオチンはビタミンHと呼ばれるビタミンの一種で、膵臓のβ―細胞の、グルコース誘導によるインスリン分泌を刺激することにより、かつ、肝臓と膵臓の解糖作用を促進することにより、異常なグルコース代謝を改善すると考えられています。また、ビオチンはguanylate cyclase活性を高めることにより、筋肉のインスリン感度を強めます。糖尿病では、carboxylase酵素の阻害が存在するという仮説が立てられていますが、糖尿病と非糖尿病被験者間のビオチン依存性carboxylase酵素三種での活性の違いは、見い出せませんでした。

ビオチンの大量投与は、いろんな糖尿病動物モデルの糖のコントロールを改善させました。また、別の研究では、ビオチン値が、健常な対照より、ニ型糖尿病患者でさらに低いことがわかりました。もはやsulfonylureasで効果がないニ型糖尿病患者にビオチン、3mg/日、毎日三回、経口投与を一ケ月続け、その45%に空腹時血糖値の低下が見られました。プラセボでは効果が見られませんでした。また、別の研究では、一週間、毎日、16mg/日のビオチンを摂取する一型糖尿病患者では、空腹時血糖値の50%の減少が見られました。ビオチンの大量投与(6週間、10mg/日、筋肉内投与、続いて64~130週、5mg/日、経口投与)が、重度の糖尿病性末しょう神経障害の三名の糖尿病患者に投与されました。8週以内に、感覚異常や筋肉のこむらがえりの改善が見られ、持続する足の症状もなくなりました。ビオチンの静脈内投与(透析後、50mg/日)では、血糖値が正常な血液透析患者の、経口耐糖能テストが正常でした。

ニ重盲検試験では、コントロール不良のニ型糖尿病患者(グルコース耐糖能テストニ時間値200mg/dLより高値、ヘモグロビンA!C値7以上)にビオチンとピコリン酸クロニウムの効果を調べました。被験者は、2mgのビオチンと600mcgのクロニウム、もしくはプラセボを4週間、毎朝一度摂取するよう、割り当てられました。また、事前の研究での、経口による血糖降下薬は続けられました。結果は、グルコース、フルクトサミン、トリグリセライド、それにトリグリセライド/HDL, コレステロ―ル比の著しい減少が、プラセボに比べてビオチン投与グループで著明でした。なお、ビオチンは大変安全なビタミンなので、事故や副作用は起こりませんでした。

以上からビオチン(ビタミンH)は、糖尿病対策に有望と考えられます。食事療法、運動療法、その他のビタミン、ミネラル療法に併用することにより、患者に明るい希望が湧きます。卵、野菜、ビール酵母、豆、レバー、無精白穀類、果物などに含まれています。また、栄養サプリメントとして、インターネットなどで輸入できます。総合的戦略で糖尿病に対応することが必要と、考えられます。

References

Biotin: Alternative Medicine Review ,Volume12,Number 1  2007

Vitamin Bible:  Earl Mindell, Richard Curis Association ,Inc.,