医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

好酸球性副鼻腔炎と気管支ゼンソクなど呼吸器系アレルギー疾患と栄養の関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2023-06-12 15:58:08 | 健康・病気
好酸球性副鼻腔炎が合併する、気管支ゼンソクはアレルギー性疾患で、いろんなアレルゲンに感作すると全身でいろんな病気が起り、気管や肺では気管支ゼンソクが発症し、鼻では副鼻腔炎を発症します。そして、好酸球性副鼻腔炎ではステロイド剤の内服を中止すると、風邪やインフルエンザなどの呼吸器系感染症への感染を機会に、鼻茸が再度大きくなり、その患者がウイルスに感染するたびにどんどん大きくなります。なお、アレルギー性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)にアレルギー性気管支炎を伴っている場合は、IL-4、IL-13が関係し、鼻茸が再発する事があります。また、アレルギー性気管支ゼンソクの治療で吸入ステロイド剤を用いるようになって、好酸球性副鼻腔炎が増えてきたとの報告もあります。これらの疾患は、鼻、気管、肺などすべてに関係する全身性の呼吸器疾患です。これらの対策として、栄養的アプローチについて考えて行きたい、と思います。

2007年の米国での研究によると、ナッツやブドウ、リンゴ、トマトなど抗酸化栄養素を多く含む食品を摂取する児童は、アレルギー性気管支ゼンソク症状が起りにくいという報告があります。また、ビタミンCや天然由来ビタミンE、それにオメガ-3不飽和脂肪酸などの栄養素を多く含む野菜や果物、ナッツ類を十分摂取しない児童は肺の機能が十分でない、という研究もあります。さらに、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌など善玉菌を含むプロバイオティクスと水溶性食物繊維のプレバイオティクスを多く含む食品の摂取が多い人は、アレルギー性気管支ゼンソクが少ないという、研究報告もあります。その理由として、腸内環境の改善による免疫系が正常化したと考えられます。なお、工場の多い大都市に住んでいたアレルギー性気管支ゼンソク児童が、水と空気のきれいで、病原菌の少ない山村に移住して喘息の症状が改善された、という報告もあります。

また別の研究によると、アレルギー性喘息マウスにビタミンCを130mg/kg/日、5週間摂取させ、喘息の指標である好酸球の浸潤が抑制され、免疫物質のインターフェロン、IL-5が増加したことから、ビタミンCの抗アレルギー作用と免疫力の向上が示されました。また、栄養素のタウリンにもアレルギー性気管支ゼンソクによる気道の収縮を抑制する作用があることが報告されました。さらに、藍藻類のスピルリナにはアレルギー改善作用があり、気管支ゼンソクに有効との報告もあります。さらなる研究の積み重ねが期待されます。

References
Allan K, et al. Diet and asthma. Nutrition implications from prevention to
treatment. J Am Diet Assoc. 2011;Feb11 1(2):258-68
Asthma and Diet. Asthma Health Center. WebMD