医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガン、糖尿病、喘息、白内障、緑内障などとビタミンCとの関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2023-06-13 14:49:58 | 健康・病気
ビタミンCのガンに対する作用については、膨大な研究が世界で報告されています。特に、Linus Paulin博士とEwan Cameron博士との共同研究は有名ですが、博士らと前後して多くの研究者が、この課題について研究報告しています。そのポイントは、ビタミンCの抗酸化作用が細胞を保護し、DNAをダメージや遺伝子変異から守ってくれることです。また、ガンに対する第一防御線である免疫システムをサポートし、そして、体内で形成されたある種の発がん性物質を阻害します。このような理由から、ビタミンCは、ほとんどあらゆる癌腫の発がんリスクを減らします。なお、ビタミンCは、すでに発症したガンを直接攻撃しませんが、ガンに対する免疫システムの正常化に貢献し、ガンとの戦いに有益性を発揮すると考えられます。

2型糖尿病の人は、ビタミンC摂取(2g/日以内)から利点を得ます。なお、ビタミンCは、血糖値の調整(糖化ヘモグロビン値の低下)に有益です。ビタミンCが細胞内に十分存在しないとき、グルコースが細胞内に入ることができません。十分存在するときには、グルコースが細胞内に入るよう、インスリンの働きの代わりをすると考えられています。このことにより、多くの糖尿病合併症が予防できると、考えられます。野菜や生の果物(糖質の少ない果物)、それにイモ類などビタミンCを多く含む食品の頻回摂取が推奨されます。

アレルギー性気管支ゼンソク患者(好酸球性気管支ゼンソク患者)は、肺や気道におけるビタミンCの抗酸化作用により、ビタミンCをより多く必要としています。!~2g/日のビタミンCの摂取は、喘息症状を改善し、喘息の炎症の原因であるヒスタミンを減らします。また、喘息の炎症の原因であるロイコトルエンは、EPAで減らせる、と報告されています。これらの効果に関しては、長期の追跡調査が必要ですが、これらのビタミンは栄養素なので長期の摂取に耐えれる、と考えられます。

抗酸化栄養素としてのビタミンCは、白内障の予防に有益で、太陽光によるフリーラジカルの産生を減らすのに大量のビタミンCが必要です。ビタミンCは水晶体に多く含まれ、太陽光による水晶体のダメージを防いでくれます。このような理由で、ビタミンCは失明から水晶体を守ってくれます。また、ビタミンCは、その強い抗酸化作用により紫外線のダメージから視神経や網膜細胞を保護し、緑内障の予防と進行抑制作用が、報告されています。これらに関しては、更なる研究の積み重ねが待たれます。

その他に、ビタミンCは、心臓疾患、脳卒中、パーキンソン氏病、潰瘍性大腸炎(自己免疫疾患)、歯槽膿漏の予防・治療効果も、米国での研究で報告されています。更なる研究が期待されます。なお、プレバイオティクス、プロバイオティクス食品、食事療法とともにビタミンCも疾患予防のパートナーとして活用するのも一案です。


References
Linus Pauling, Ewan Cameron. Cancer and vitaminC. A Warner Communication Company. June, 1981
Erwin Stone. The healing factor, vitaminC. Grosset Runrap company. 1972
Jennifer Brett, ND. Benefits of vitaminC . HowStuffWorks