医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

PM2.5対策の切り札、抗酸化・抗炎症性食事サプリメントについて 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-05-09 23:10:55 | 健康・病気

抗酸化栄養素を含む抗酸化・抗炎症性食事サプリメントが、PM2.5による臨床症状(肺機能の低下、喘息、心臓発作、脳卒中発作、肺癌など)の発症に予防的効果、治療的効果を有するのではないか、と欧米の研究者は注目しています。このブログでは、米国ユタ州での疫学的研究から結論が導かれた仮説を紹介します。類似の研究からの結論もこれによく似たものですが、このブログで順次紹介したい、と考えています。また、更なる研究を期待しています。

ポリフェノール、カロチノイド、ビタミン、一部の必須ミネラル、グルタチオンなど広範囲の抗酸化・抗炎症性食事サプリメントのパックは、2.5μm(PM2.5)より小さい直径の微小粒子状物質による大気汚染への急性暴露に続く、肺機能の低下、炎症と酸化ストレスの増大に対し、防御作用を示すことが、ユタ州での疫学的調査である程度の結論が出ました。

ユタ州での研究は、適切な対照と比較して、18週に及び摂取した広範囲の抗酸化・抗炎症性食事サプリメントのパックは、1)大気中への窒素酸化物の放出と強制的に生命を保つのに必要な肺機能に基づいて測定される時、PM2.5値の上昇による急性暴露に続く、肺機能の低下を減らします。2)C-反応性蛋白質の血漿値に基づいて測定される時、PM2.5値の上昇に対する急性暴露に続く、前炎症性サイトカインの変化を減らします。これらの事から、抗酸化・抗炎症性栄養素を多く含んだ食事が推奨されます。

この研究は、高山(2513~3042m)に囲まれたユタ州Cache郡で実施され、120,000名の住民の居住地のCache Valleyは、PM2.5やPM10などの大気汚染物質を閉じ込め、濃縮さす、よどんだ空気が特徴の、冬季に頻繁な大気の逆転を受けやすい、研究にうってつけの場所です。特に、冬季の微小粒子状物質を多く含んだ大気の影響を受けやすい場所です。45~80歳の参加者(60名)は、年齢、性別、それに基準となる放出された窒素酸化物に関して、バランスのとれた割り当てがなされ、プラセボのサプリメントと抗酸化・抗炎症性食事サプリメントの群に無作為に分けられ、18週にわたって摂取し、前後に体重と血圧、肺機能、炎症に対する評価、血漿抗酸化能などが調べられました。

Reference

Effect  of an antioxidant and anti-inflammatory dietary supplement pack on the adverse physiological actions associated with acute PM2.5 exposure :Information obtained from Clinical Trials. gov on March 28, 2013: http://clinicaltrials.gov/ show/NCT01488656?displayxml=true