医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

統合失調症とビタミンB3,ビタミンB6について 栄養医学ブログ

2011-03-28 21:38:12 | 健康・病気

 クレックレイ、シーデンストリッカー、それにギャスリンはビタミンB3すなわちナイアシン、ナイアシンアミド、NADなどが統合失調症状の患者に有効であると、報告しました。また、ホッファーとオズモンドは、統合失調症状におけるナイアシンの効果はアミン代謝産物からメチル基を取り、精神症状発現性メチル化生成物を阻害するという仮説を、発表しました。なお、メチル基をキャッチする物質は、他にQ10も有ります。ナイアシンは米ぬか、小麦胚芽、等に含まれ、食品やビタミンサプリメントから供給されるばかりでなく、体内でアミノ酸のトリプトファンから造られます。

 普通、トリプトファンはキヌレ二ン経路を通ってナイアシンへ代謝されるか、インド―ル化合物へ代謝されます。統合失調症状の人ではキヌレ二ン経路の閉鎖が見られ、過剰のインド―ルの形成とナイアシンの欠乏をもたらします。キヌレニンからナイアシンへの転換にとって、ビタミンB6(ピリドキサ―ル燐酸)は必要です。これらの発見に基づいて、ビタミンB6の投与がトリプトファン代謝におけるキヌレニンサイクルを開裂させ、インド―ルの形成を減少させ、統合失調症状でのナイアシンの治療効果を強めるという、仮説が成り立ちます。

 次に、治療効果でも併用グループが、それぞれの単独投与グル―プに比べて、著明でした。したがってビタミンB6はNADを含むビタミンB3療法の有益な補助薬であると、考えられます。ちなみにビタミンB6の上限許容量は200mg/日です。Q10+VB3+NADのビタミンサプリメントは、米国で発売され、インタネットで入手されますが、自己責任が伴います。VB3は大量投与で副作用が出るので、肝臓疾患、腎臓疾患を伴っている患者は、詳しい知識のある医師に相談すべきです。大量でなければ、肝・腎疾患のない場合は、安全であると、考えられます。マルチビタミン、ミネラルとの併用では、脂溶性ビタミン、ミネラルの取りすぎに気をつけなければいけないと、考えます。同時に、各栄養素の比も大切で、その比が適切でない場合、代謝がうまくいかなくなり、効果が発揮されず、毒性が出る場合があります。ヒトの体のデリケイトなことを、つくづく感じます。

 Reference

J,V,Anath,  A,Ban. 慢性統合失調症でのVB3,VB6の治療効果の可能性。Canadian Psychotic Association Journal. Vol18,Number5,377~383,Oct,1973

なお、当方の、別の栄養医学ブログ記事は、nutr-blog.blogspot.comでも発信しています。