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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

沖縄からのお客様

2012年10月11日 | 火山・ジオパーク
昨日、沖縄本島からいらした8名のお客様を案内しました。

元同僚で年に1度山を歩く旅行を、これまで12回も続けて来たというみなさんは、歩き初めからスバラシイ乗りでした!

ツアー開始後、間もなくのことです。穴だらけの黒くて軽い溶岩(スコリア)から噴火のしくみをお話ししたところ、リーダーから「はい、みんな溶岩を手に持って並んで」の一言が。

そして「せ~の」のかけ声で、スコリアは一斉に空へ。
(写真が下手で、スコリアが写っていませんが…汗)

噴火のまね。
歩き初めから、噴火をご自分達で表現するところがスゴイです。

1986年溶岩流の上ではゴツゴツのアア溶岩を“体感”するために、全員溶岩の上に座って記念撮影。
ツアー始まって以来のリアクションです!

笑顔のみなさんに驚いて私も座ってみましたが、ゴツゴツが“つぼマッサージ”みたいで気持ちよかったです。もっと痛いかと思っていましたが、意外でした~。

避難壕では…

「みんな、避難しましょう」

ゆっくりおしゃべりをして、笑いながらキラキラの山へ…


一番の急坂では…

「一列に並んで~」

山頂のトイレに立ち寄ったあと、みなさんの姿が見えないな~と思ったら、ポートレート撮影大会が始まっていました。

毎回、ツアーのたびにアルバムを作るので、最初に一人ずつの写真を載せるのだそうです。
(ちょっとだけ、柵外ですけど・笑)

全員が思い思いのポーズで溶岩と記念撮影。

リーダーさん、決まってます。

山を下りた後は、波浮港で昼食をとりました。
もともと火口だった波浮港は、火口壁の急坂に階段ができているので、上り下りに息が切れます。

ちょうど学校が終わって階段を下りて来た小学生に、みなさん「毎日この道で学校に通っているの?偉いね~」と話しかけて、と~っても楽しそうでした。

遠い沖縄本島から空を飛び、海を渡って大島にいらしたみなさん。
本当にすばらしい“乗り”でした。

ところで今回のツアーは、ジャンボタクシーで移動する旅行社主催のツアーでした。
私にとっては、初のタクシー利用ツアー。

1986年噴火の時は報道関係者として取材をしていたという運転手さんの話しが、とてもおもしろかったです。

割れ目噴火が起きる前まで使われていた道路の残骸の場所を、教えてもらいました。

波浮港の名前の由来も…。
「この位置から見ると、沖の水平線に波が浮かんでいるように見えるんですよ。」

これは今日の写真で、海が静かだったので波が見えませんが、昨日は白い波が立っていて本当に「波が海に浮かんでいる」ように見えました!

波浮港の名前の由来は何度か聞いた事があるような気がするのですが、ただ伝え聞くのと実際に景色を前に語ってもらうのとでは、全然違っていました。

「この位置から見る」というのが、身近感があっていいです。
「波浮港」が、今までの何倍もロマンチックな名前に感じられました。

そして港への帰り道、運転手さんは目指す方向と全然違う方向へハンドルを切りました。
「あれ?」と思ったら、民家脇に植えられた椿の防風林の中を遠回りして通ってくれたのです。

油にもなり、良い炭にもなり、防風林としても役立つ、島の生活と密着したヤブツバキ。
そのヤブツバキが、緑のトンネルをつくっています。

この場所は、私も時々通るお気に入りの場所でもあるのですが、「この道は人が掃除をするんですが、みんな花の時期には落ちている花だけ残すんですよ。だから道路が椿の花で赤くなるんです。」という話しを聞いて「なるほど!」と思いました。

運転手さんの「島への思い」が、心に届くような気がしました。

別れ際、みなさんから「大島が好きになりました。」「今まで自分と関係のない遠い存在だった大島が身近になりました。」と声をかけていただきました。そして「沖縄の事も身近に感じてくださいね」とも…。

そうですよね。
昨日みなさんと歩いた事で、私にとっても沖縄本島が少し身近になったような気がします。

そういえば、沖縄本島でもジオパーク申請の準備が進んでいるようです。
沖縄のジオパークを訪ねる機会があったら、きっとみなさんの事を思い出すと思います。

楽しい時間を、ありがとうございました。

(カナ)






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オオカワラヒワ

2012年10月10日 | 
一昨日やって来たのを確認しました。
画像は一昨日と昨日のものです。

伊豆大島でも繁殖しているカワラヒワとの違いは三列風切外弁の白色部が太い傾向にあるということです。
オオカワラヒワは冬鳥としてカムチャッカや千島列島などからやって来ます。






どうですか?
三列風切の白さが目立つでしょう?









一昨日も昨日もとてもナライ(北東風)が強くてオオカワラヒワたちは揺れる草間に隠れてしまいます。
セイタカアワダチソウやエノコログサの実を食べているようでした。


同じ個体ですが・・・



冠羽を立てるとまるで別人です。


オオカワラヒワやカワラヒワはどこにでもたくさんいるありふれた小鳥という印象があります。

鳴き声も可愛らしくて。
姿は見えなくとも空から降って来るその鳴き声で存在を知ることがあります。


私が一番好きなのは飛翔する姿です。

















翼と尾羽にある鮮やかな黄色がとても綺麗なんです。
ぜひ観て欲しいです。



こちらは同じ場所にいたチョウゲンボウ。
時々オオカワラヒワにちょっかいを出していましたが本気で襲う気はなかったように見えました。
もっと簡単に手に入る獲物(バッタやカマキリなど)がたくさんいるからでしょう。


そして今日は貯水池にカモが来ていました。

コガモが2羽と。


マガモが1羽。

もっといろいろ来てくれるといいなー。


                        がんま
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秋のジオツアー

2012年10月09日 | ツアー
今、三原山ではススキが一番の見頃を迎えています。
3日間のツアーの様子と、私の大好きな「ススキがつくる景色」をまとめました。

10月7日(日)
午前が雨の予報だったので、ツアーを午後に変更して13時30分にスタートしました。
この時間の出発だと、もしかしたら帰りは「あの場所」に行けるかも!

「あの場所」は私のお気に入りのススキ鑑賞ポイントで、舗装された遊歩道の脇のパホイホイ溶岩地帯にあります。で、火口を見た後は西側斜面をおりて…

三原山のふもとをグルリとまわって、16時ジャストぐらいにパホイホイ溶岩が作る丘の上に登りました。

予想通り、金色に輝くススキの海が見えました!

やった~!
また今年も、この季節がやってきました。

パホイホイ溶岩のベッドに横たわり、キラキラに囲まれながら空を見上げるお客様。

最高に、気持ち良さそうでした~。

10月8日(月)
この日は7時間のロングツアーでした。
午前中は三原山へ。

この時間帯の三原山で私の好きなススキポイントは、ここです。

火口展望所に向かう遊歩道。
道の両脇がキラキラです!

ススキ越しの海もキラキラ。


キラキラのあとは、最近流行の(?)あの場所で休憩。

座り心地が好評でした!

時間にゆとりがあったので、裏砂漠では外輪山の一部を構成する櫛形山の頂上まで登りました。
北東の風がゴォ~と耳元でうなり、グレーの雲が空を覆う、なんとも迫力のある風景でした。

ツアー中何度か「地球に来たみたい!」という感想を述べられていたお客様。
「大島に来た」のでもなく「日本に来た」のでもなく「地球に来た」という感じ、なのだそうです。

私もまったく同じ気持ちでした。
この広い景色の中に、たった3人だけ。

なんとも贅沢な時間でした。

10月9日(火)
10年以上前から大島の海に通ってくれているご夫婦との午後ツアーでした。
天気予報は日中曇りで夕方晴れの予報。

天気予報を信じて、夕方にススキ鑑賞ポイントへ行くために、火口を一周してから西側斜面に下りる比較的長いコースを歩く事にしました。

今日は割れ目火口のそばに、噴気が集中していました。
足もとからモクモク噴気が上がっていて、まるでサウナの中にいるみたいでした。

湯気が立ちのぼる地面に触れるなんて、まさに生きている火山ならではの体験ですよね。

黒い溶岩が降り積もった山に白い湯気が這うように動き回る様子は、いくら見ていても飽きません。

こういう景色にも「地球」を感じます…。

北東の風が強くて、火口展望所では風の音で互いの声が聞こえないし、途中ではよろめくほどの風が吹いていました。そして下山後の空にも少し不安になるような黒い雲が…。

ススキ鑑賞ポイントにつく頃に、本当に晴れるのでしょうか?

大丈夫でした!
晴れました~。

さすが三原山です。

3人で、またまた景色を独占です。

それぞれ、思い思いのパホイホイ溶岩に陣取って写真を撮りました。

金色のススキ野原の中で1時間、座っていました。

噴火が野焼きをすることで、再生したススキたち。

以前は見渡す限りのススキ野原でしたが、毎年樹木たちの背が高くなり、だんだんブッシュのような風景に変わってきました。

でもススキが樹木に光を奪われて姿を消す前に、次の噴火が目の前の風景を焼け野原に変える日が来るでしょう。生きている火山、伊豆大島の下には、マグマがたまって次の噴火の準備を着々と進めています。

「せっかくだから、太陽が沈むまで見届けたいよね。」
全員一致で、外輪山に日が沈むまでススキ野原で時を過ごしました。

ススキたちが光を失った分、空に浮かんだ雲の輪郭が明るく輝いていました。

3日間とも、秋らしい景色を楽しんだジオツアーでした。

(カナ)
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アゲハ蝶

2012年10月08日 | 
涼しくなってくると庭の木のアゲハの幼虫が少なくなってきました。


木にはこんなのが残っています
以前、これは幼虫が蛹になる時に出る物(終齢を水槽で観察しました)だとばかり思っていましたが、そればかりだけではなく、カマキリに食べられた時にも出来るものでと今年発見しました。(現実を見てしまいました
カマキリも美味しい餌をモリモリ食べて冬に向けて卵を産むのでしょうけれど…


先日もアゲハの終齢君が居ましたが背中に黒い点がありもしかしたら蜂に寄生されているのかも知れません。次の日、その子は消えていました。何処か安全な処で蛹になっていたら良いのですが。勿論きれいなアゲハになって私の目を楽しませてくれるのが一番の希望ですが。

車庫に蛹の殻がありました(前出の子では有りません)
いつからあったのか分かりませんがレモンの木(この子が育ったであろう木)からは10メートルは離れているのでここまで移動するのはさぞ大変だった事でしょうと感心してしまいます。(今まで有った中での最長距離)

虫たちも食うか食われるか?敵に見つからずに生き延びて次の代に命を繋げる子たち又いろいろな物を見せてくださいね。

                  
手乗りの得意な師匠に近づくように(刺されないと分かっていても蜂には手を指を出しませんよ)オスかメスか見分けがつかないのですから
私に懐いてくれたウスバキトンボ

でもこれには訳が有ったのですが(しま)
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質問は楽しい!

2012年10月07日 | ツアー
昨日のツアーは、お客様からいっぱい質問があったツアーでした。

その質問とは…
「なぜ地面の下で岩が溶けるのか?」
「地面の下から岩が溶けて出てきたら、地面はへこんでしまわないのか?」

「(火口近くで)なぜここに、白い石があるのか?」

長くなるので、ここでは「なぜ?」の答えは書きませんが、こういう質問、嬉しいですよね~。

しかし質問の中には、答えに詰まってしまうものもあります。
そして新たな謎解きに挑戦できる気分になって、ちょっとワクワクします(笑)

今回、答えに詰まったのが「熱い溶岩は、元からあった岩を溶かさないんですか?」の質問でした。
…今まで考えた事、ありませんでした(笑)

完全に溶ける事はなさそうだけれど、接触面は少しは溶けるのかも…??
で、観察してみる事にしました。

2色の壁(上下で年代の違う溶岩が重なってて色が違う)で接触面観察中。

「良くわからない~。」byお客様。
(確かにハッキリしません。)

時々休憩する、片面だけがボコボコの岩の断面も観察しました。

あれ?境界が曖昧で、少し溶けていたようにも見えますね。
「やっぱり少し溶けるのかも」by全員。

「あれ?」と足を止める景色もありました。
昨日特に目立っていたのはこれです。

ハチ(ツチバチの仲間らしい)イガアザミに団子状になって群れていました。
脇目も振らずに花の蜜を吸っているようです。

ぱっと見、キレイな紫色の花が目に入らず、ほとんどのものが茶色。
よく見るとどれもこれも、このハチが群がっていました。

チュウ、チュウ、チュウ~
ちょっとアザミに同情したくなりました。(笑)

台風などで花が駄目になってしまって、ハチ達が飢えているのでしょうか?

もうひとつ、足を止めた風景。
火山灰の斜面の上に、薄茶色いラインが伸びていました。

何でしょう?

近づいてみました。

少し目の細かい火山灰のようです。
台風で上にあった火山灰が飛ばされて、下の層が出てきたのでしょうか?

でも、なんでラインを引いたような形状になるのでしょう?
不思議だ~。

と、こんな風に、いろいろな謎ときを楽しんだツアーでした。

さて、最後に、雨降り前の空のようすです。。
中央の雲、何に見えますか?

私には「タツノオトシゴ」に見えたのですが、お客様は「シシトウにも見える!」と…。
確かにシシトウかも。(笑)

(カナ)
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ノコギリクワガタ

2012年10月06日 | 
10月に入っても野外でノコギリクワガタがたくさん活動しています。
画像は昨日のもの。
オオバヤシャブシの若木に5匹がいました。
↑は大きかった!



2匹目。
結構やんちゃしたようです。
これも大きい。



根元を探すと3匹目がいました。
これもなかなかのサイズです。



根元にもう1匹。
4匹目です。
この個体はアゴが小さいですね。



あ、メスがいた~。


と思ったら小さなオスでした。
同じノコギリクワガタとは思えませんね。





こんな風に流れ出ている樹液を舐めにきているのです。
周りのオオバヤシャブシも同じように樹液が出ているのですがノコギリクワガタがいるのはこの木だけでした。
この木が特別美味なのか・・・?



近くには死骸もありました。
・・・カラスかなぁ。


伊豆大島のノコギリクワガタは11月下旬~12月上旬まで野外で見られます。
涼しい時期にノコギリクワガタを探してみるのも面白いかもしれません。


                          がんま
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伊豆諸島固有樹サクノキ

2012年10月05日 | 植物
先週からの続きです。
見出しの写真と下の羽状複葉の木はフシノキとも呼ばれる、

ヌルデです。

見様によっては、ダイコンの葉にも似てますなあ!?

南西諸島、沖縄などには、フシノハアワブキという樹木があるそうです。

アワブキ科で、フシノキの葉に似た羽状複葉の樹木なので、
フシノキの葉でフシノハ。
伊豆諸島の固有種のサクノキの母種と考えられています。

これ↑が、サクノキの葉です。

大型の葉で、カラスザンショウにも似ています。

このサクノキは、伊豆諸島の八丈島と御蔵島に多く自生しています。
三宅島・神津島・利島・大島に少しずつ確認されているだけで、他にはないそうです。

この木は、南西諸島方面からどの様にして伊豆諸島へ来たのでしょうか?
種子が海流に乗って島に流れ着き、風に飛ばされて、鳥に食べられ散布されて・・・

その長い時間を感じます。
種子たちの長い旅。

生物の学名は国際的にラテン語で命名することが決まっています。
サクノキは、Meliosma oldmamii var. hachijoensis となっています。
この最後の「ハチジョウエンシス」は、ラテン語で八丈島のものというような意味。

ちなみに、大島にちなんで命名された生物には、「オオシメンシスやイズオオシメンシス」
oshimensis(オオシマカンスゲなど)・izuoshimensis(オオシマヤブマオなど)が
付けられています。

三宅島にちなんだ生物には、「ミヤケンシス」miyakensis・miyakeensisなどと。

伊豆諸島の固有種には、欲を言えば和名のように「イズノシマ○○○」が良いように思いますが・・・。



サクノキの花は梅雨の時期に咲いて、

こんな具合↑です。

ヌルデ(フシノキ)の花の感じが、これ↓

そう、よく似た感じですが、花期は9月と遅いです。

そして、サクノキは幹が太く大きくなります。
アワブキは、木を燃やすと切り口から盛んに泡を吹くことから、
泡吹(あわぶき)と呼ばれるとのこと。

材は割りやすいそうで、八丈島などでは焚き木にしたりということも。
サクノキの名は、八丈島呼称のサクダラから。
裂けやすいサクノキなのでしょうか。

利島では、アコノキとも呼ばれるそうです。


遠目には、カラスザンショウか?

サクノキなのか? 分かりませんが。

これ↑は、サクノキ群落です。

現在のところ、大島でサクノキが自生しているのは、
島東部のフノウ水源付近だけですが、
もし、違う場所で「これは!?」というものがありましたら、
ご一報下さい。

ヨ・ロ・シ・ク!!

(なるせ)



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外周編パンフレット(2つの港と空港)

2012年10月04日 | 火山・ジオパーク
ずっと時間を費やしてきたパンフレット(伊豆大島ジオパーク外周編)が、ようやく印刷の段階となりました。パンフレットは文字数に制限があるので「限られた文字数で、どれだけ正確でわかりやすい表現ができるのか」に対して、みんなで知恵を絞りました。

で、書ききれなかったもので新たにわかったこと、教えてもらったことなどがいっぱいあります。これをそのまま埋もれさせるのはもったいないので、今日から少しずつまとめてみようと思います。

まず今日は、伊豆大島の玄関口、2つの港と空港から…「 」内がパンフレットに載せた文章です。

元町港
「1338年の噴火で山腹の割れ目から流れ下った溶岩が、今の元町周辺を広く覆いました。そのとき海岸に流れ出た溶岩が、海に突き出た形となって残りました。現在の元町港の桟橋は、そのときの溶岩が土台となってできています。」

このパンフレットを作る時まで、私はこの「元町の桟橋の土台になっている溶岩」が、長根岬と同じような細長い形をしているのかと思っていました。「伊豆大島懐かしの写真集」で、元町の海岸に2本の長い根があり、その根の上に木の桟橋がつくられている写真を見ていたので、それが元町港の桟橋の土台になっている溶岩なのかと思っていたのです。

ところが原稿を「伊豆諸島を知る辞典」の作者、樋口秀司氏に読んでもらったところ、元町港桟橋の土台になっているのは、もっと丸い溶岩だということでした。子どもの頃、遊んだから間違いないと…。

で、時事通信の中川和之氏から国土変遷アーカイブというWEBページを紹介してもらい、1947年8月に撮影された航空写真を見たら…写っていました!2つの「先が丸い、でっぱり」が…。

同じような形で海に突き出た溶岩は、片方は桟橋の土台になって、片方はそのまま波に削られて細長くなってしまったようです。

年月を経れば、もっと細くなっていくでしょう。
人に利用されるか、自然のまま残るかで、溶岩も運命が分かれるんですね。

ところで「人に利用される」と言えば、今まで見慣れたこの景色。

元町にある弘法浜の横で、漁港を覆うテトラポット。今までは「ただ視界に入っている」というだけで何も感じなかったのですが、よく見たらこれって…

海に向かって流れた溶岩が土台になってません?(一番手前が漁港)
「懐かしの写真集」の2本の溶岩流のうちの、1本はここでは?

海岸沿いの土木工事って、自然地形を上手に利用しているんですね。
知らなかった~。

岡田港
「今の大島火山の下には、数10万年以上前の古い時代の火山が隠れていて、桟橋の横の崖には、その残骸が見えています。波に削られて切り立った地形が、南西~西の強い風を避ける「天然の良港」を作りました。そして、岡田港の集落は、古い火山の崖に刻まれた谷を流れ下った、新しい火山の溶岩の上に発達しました。 」
(「そして」以下の後半部分は、伊豆大島火山地質図の作者、川辺禎久氏が追加してくれました。)

切り立った崖は、時々崩れますが、大島の特徴でもある冬の南西風を防いでくれます。もしも岡田港にこのような崖がなければ、大島の船の欠航率はもっと高くなり、私たちの暮らしは、今よりずっと不便だったことでしょう。

数10万年昔、この場所で火山が噴火して溶岩を降り積もらせて山を作り、それを波が削って崖を作り、雨が谷を刻んで、さらにその谷を流れ下った溶岩がまた新しい土地を作る。そしてその、新しい溶岩が作った比較的平らな場所に人が暮らす…

なんだか、気の遠くなるような物語です…。

大島空港
「昭和の初期に陸軍が飛行場を作った際、多くの島民が仕事にたずさわりました。溶岩が波に削られて小さくなった石や砂を海岸から運び、近くの沢の溶岩を砕いて溶岩を敷きつめ、滑走路を作ったのです。その後再整備をして今の飛行場ができました。」

この時の工事にたずさわった方の中には「崖下の浜から溶岩が削られて丸くなった石を背負って運び、空港に敷きつめた」という経験を持つ方もいました。でも一方「そんなことまるで知らない」という方も…。町史を調べると「海岸から砂を、近くの沢から溶岩を運び、砕いて敷きつめた」とあります。

このことに関して樋口氏に相談に乗ってもらいました。結果「空港が広いから互いの仕事がわからなかったのではないか?いつの時期に仕事に就いたかでも違うかもしれない。」ということになり「」内の文章で落ち着きました。

火山がつくった地形を利用して人が生きてきたこの島では、調べればもっともっとたくさんの興味深い物語が見つかる事でしょう。

ジオパーク、知れば知るほど面白~い!

(カナ)



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手乗りスズメ・・・

2012年10月03日 | 
先日、ワタクシは長年に渡る独自の研究を重ねた結果、とうとう人間以外の生き物と意思の疎通を図ることに成功いたしました。

こちらがそう願えば相手がそれに応えてくれるというものです。
「そんなの意思の疎通じゃなくて一方通行じゃないか」と言われても仕方ありませんが今のところはこの段階なのです。
今後に期待です。

そして大きな生き物とはまだ難しく、ドリトル先生には遠く及びません。

で。

今回ワタクシが一方通行と言えども「なぁーんもしないから。ただ写真撮るだけだから。ほんのちょっとの間だけ大人しくしていてね!!お願いね!!ね!!」と強く強ーく願った生き物は。



憧れの手乗りスズメ・・・




バチ!!



きゃっほぅ~~~!
ヒメスズメバチです。



カッコイイですね~。
この大きなアゴ。
つぶらな瞳。
立派な触角。
シュッとした翅。



元気一杯でしたよ。

撮影のあとはもちろんすぐに解放しました。
うんとお礼を言ってね(笑)
ここでもう一度「ありがと~」






・・・えぇーっと・・・すみません。
ひとつ訂正を。

人間以外の生き物と意志の疎通ができるなんて、嘘です。
本当にすみません。
やっぱりできませんわ。まだ(まだって・・・)

他の生き物と会話とかテレパシーとかできたらどんなだろ?と想像することはありますけど、実際できたら相当しんどいでしょうね。
人間地球からいなくなれ!とか言われたりして。

では、そんな嘘をついた私がどうしてヒメスズメバチに刺されずに手乗りにすることができたのでしょう。
わかりますか?





最後に。
これが正しい(?)手乗りスズメの図。



2年前に保護して放鳥した子スズメです。
元気にしてるかなー?


                           がんま
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台風の狭間で

2012年10月02日 | 今日の大島
台風前、うちの玄関前には雄雌あわせて18匹のジョロウグモが住んでいました。
(同僚の柳場には「なんでクモの巣払わないんだよ~。まるでオバケ屋敷みたいだよ!」と言われるのですが、クモ好きなんですよね~。)

写真は、あと数時間で暴風にさらされるであろう状態のクモです。

なんだか、空を見上げて「嫌な予感がするー」と思っているようには見えませんか?
(え?考え過ぎ?)

台風で逃げられないクモ達はどうなるのだろう?と気になりつつ夜を過ごし、翌朝クモの数を数えてみたら、1匹少なくなっただけの17匹でした。

太陽の光を浴びて、輝くクモの巣です。
強風が長く続かなかったのもあるのでしょうが、クモの巣って丈夫なんですね~。

ほとんど破れてない…、それとも早朝から修理したのでしょうか?
規則的に張り巡らされたクモの巣が金色に光る様子は、神々しいくらい美しかったです。

海岸にも行ってみました。

あらら…コウボウムギと思われる植物達が、なぎ倒されてます…。

相当波に揉まれたんでしょうね。

かなり悲惨な状態ですが、でも、彼らはきっと大丈夫です!
何しろ長年、この砂浜で暮らしてきた強者ですから。

台風後の砂浜に何か打上っていないかな…なんて期待しながらあたりを見渡したら、先客がいました!

カラス達です。
集まって何かをつついています。(近づいたらさすがにどいていたけれど)

「何を食べているんだろう?」と思って見に行ってみたら、カサゴの仲間のようでした。
周りにカラスの足跡がいっぱいついています。

頭を残して奇麗に食べています。台風後はカラス達にとって普段食べられないごちそうを用意してくれる、一大イベントでなのでしょうね。

そして夕方の自宅の庭では…
2匹のショウリョウバッタに出会いました。

緑と茶色の2匹です。

彼らは、台風をどこでやり過ごしていたのでしょう?
草の根元につかまって、我慢していたのかなぁ。

なんだかとてものんびりしていて、カメラを向けても全然逃げませんでした。

草の上から溶岩の上に移動して、よじ上りつつ…「ん?」という表情。

甲羅干し(?)


草の隙間をゴソゴソ…

足踏ん張ってます。

デ~ン!

…とまあ、こんなふうに台風一過の穏やかな天気を楽しんでいるようでした。

無事台風を生き抜いた、生き物達。
さあ、また次の台風がやってきますよ~。

次の台風19号は少し東にそれそうですが、油断は禁物。
気を引き締めていきましょう~。

(カナ)


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