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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

うるう年のアオウミガメ

2012年10月19日 | 哺乳類、爬虫類、他
見出し写真は、今年の夏、
私たちの観察している浜で産卵をしたアオウミガメです。

夜中の暗い浜辺で、産卵後に海へ戻ろうと這って行く母ガメを撮影したので、
こんな具合にしか撮れませんでした。
右側が頭です(汗)

大きさの比較になりそうな1メートルほどの雨傘を置きました。
影響を少なくするために赤いライトを使っているので、
甲羅が赤っぽくなっていますが、実際の甲羅はみどり色。
英名はグリーンタートル。

この母ガメが産んだ卵の孵化予測日が近付く頃、台風が接近しました。
産卵場所に波がかぶったり、浜が削られて卵が流失する危険があったので、
卵を安全な場所へ移動するため掘ってみたところ、
ほとんどの卵が・・・・

未孵化卵で生きていませんでした。

専門家に写真を見て頂いたところ、
卵黄の表面の白っぽいものは、胚盤が分解したもののようだ、とのこと。

調べてみると、卵108個の内、生きている卵は3個だけ。
仕方なく調査員の家で卵を温めて、3匹が孵化しました。

これ↑は、まだ孵化直後で、静養中。みどり色でしょ?

東京都下の一部の島では、昔からの伝統でウミガメを捕って食べる食文化が残っています。
そのため、漁業調整委員会の規則でアオウミガメの捕獲量が制限され、
その卵の採取も原則禁止です。今回は特別に許可を頂きました。

実は、7月末のアオウミガメの産卵巣が全滅していたので、
この巣も心配をしていたのですが、まさかここまでとは・・・。
ウミガメの卵は高温に弱いのです。

それで今週、気になったニュースは、
この9月の世界気温が史上最高だったという気象庁の発表です。
世界の平均気温の統計を始めた1891年以来とのこと!

北日本でも9月の平均気温が統計を開始した1946年以降、
最も高い記録的な高温となって、7月から9月の熱中症搬送者が4万4千人弱。
死者は73人も・・・。

そんな猛暑の中、奇跡的に生き残った子ガメたち。

卵黄をしっかり吸収して、へそが閉じたら、
海へ出発の頃合です!

2004年、2008年に続いてアオウミガメの産卵がありました。
北太平洋でのアオウミガメ繁殖の北限記録更新になると思います。

孵卵温度が高かったので、この子たちはみんなメスのはず。
大きくなって生まれた浜へ帰れるように、浜の自然をみんなで残していきましょう!

3匹が出発する日。
小雨の降る中、30名ほどの方々が見送りに集まってくれました。

大きな海へ、砂浜を行く子ガメたち。元気で!!

(なるせ)
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