グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

アカウミガメの巣穴しらべ

2017年08月25日 | 海の生物
今日の夕方、砂の浜にて、
今年2回目のウミガメの巣穴しらべが行われました。



以前グローバルのブログを担当していたこともある成瀬氏が
長年実施しています。

去年の様子↓
ウミガメとジオパーク


大島にはアオウミガメとアカウミガメが産卵しにくるのですが、
今回はアカウミガメの巣穴(産卵巣)でした。


巣穴を掘る前にレクチャーしてくれます。


親亀が産みに来た跡を確認したら、
一度掘って確認して、埋めて保護のための柵をするそうです。

写真ではわかりにくいのですが、
よく登ったな~と思うような、
かなり小高い一段上の、丘状になっているところに
巣穴があります。

一回の産卵で、平均110個ほど産むのだそうです。
8月17日の夜に1匹、その後18匹出て行った跡を確認しただけなので、
今回は約20%しか自力ででてこれてないことになります!


ちなみに黒い砂だと日光を吸収しやすいので砂があたたかくなりやすいとのこと。
そして30度弱がカメの卵にとって適温だそう。
深さ60センチ位が温度が比較的安定し、温度もその位になりやすいので
ウミガメのお母さんはがんばって60センチ以上の深いところまで掘って産卵します。

今回は表面は37度、60センチのとこは33度でした。
34度くらいになると卵の中で死んでしまうとのこと。
・・・あら!!
今回はどれだけ生きた子に出えるでしょうか・・・?

掘り進めていきます。


結果は、、、生きた子は出てきませんでした(;0;)


未孵化卵が多く、割ってみると、初期段階で止まっているものがほとんどでした。
こうしてみると、厳しい環境の中でも育って海に還っていった19匹は本当にすごいです!


唯一子亀の形になっていた子。
でも死んでしまっています。おしい!!



今年は梅雨の時期に気温が高くて、温度を下げてくれる雨も少なかったことが原因のようです。

いつもは温度を下げるために寒冷紗ネットや散水をするけれども、
今回は、人間が手を出さずに自然のままにすべきという意見を採用してやらなかったそうです。

その地道な手助けが確実に功を奏しているという、
成瀬さんの功績がわかったという点では収穫でしたが、
やはり少し悲しい結果ではありました。


そもそも子亀の放流についても、
自力で出れない子は遺伝的に弱いのだから、
淘汰されるべき遺伝子を人間の手で保護したら
全体の遺伝子が弱くなってしまう可能性がある、
という意見もあるそうです。

しかし、人間が気候をおかしくしたり、
護岸工事で住む場所をせまくしたり、
生きづらい環境にしてしまっているのだったら、
そのくらいの手は出していいでしょう?!と思いました。

いろんな意見に負けずに、これからもがんばってほしいです。

ふと振り返ると、息をのむような美しい夕陽が。


美しい地球の営みが豊かに続きますように。(あい)


追伸

後日伺ったのですが、カメはなんと孵化するときの環境の温度によって
性別が決定するそうです!
カメの種類によっても違いますが、アカウミガメの場合は
28℃以下ならオス、28~29℃ならオスメス半々、30℃以上の高温だとメス。

ということで、今回巣立った19匹は全員超元気な女の子!
20年程たったらまた卵を産みに戻ってきてくれることでしょう、
ということでした。

命の営み・・・奥深い!
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