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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 538 清原だけじゃない ②

2018年07月04日 | 1985 年 



荒井幸雄(日本石油)
「体型が太めの僕にも似合うタテジマのユニフォームのチームに指名されたら最高ですね」とこんな表現で荒井選手は意中の球団にラブコールを送る。縦縞といったら阪神かヤクルト。既に1ヶ月前から木製のバットで練習を続けている荒井は社会人選手らしくプロ入りを転職という意識で捉えている。「仮に僕がこのまま会社に残って定年まで働いたとして、給料と退職金の総額を会社にお願いして計算してもらってから契約金などの条件を交渉するつもりです。条件が折り合わなったり意中の球団に指名されなかったら、もう1年会社にお世話になります」と現代っ子らしく新たな転職と割り切っている。

170㌢、74㌔ と小柄な部類に入る荒井だが、背筋力は楽に200㌔を超える。加えて強いリストにバッティングセンスは天性のものでアマチュア球界では群を抜く逸材であることは間違いない。「やっぱり昨年のロス五輪で一緒にクリーンアップを組んだ熊野さん(現緩急)や広沢さん(現ヤクルト)がプロで活躍されている姿を見ると刺激になります。ヨシ、俺もという気持ちですね」と。ドラフト解禁となるこの1年は自らにプレッシャーをかけつづけて野球に取り組んできたという。そのひたむきさは彼が目標とする若松選手(ヤクルト)とどこか似ている。



伊東昭光(本田技研)
社会人野球最後の公式戦となった日本選手権でチームを優勝に導きMVPに輝いた伊東投手は、この1年間を完全燃焼できた満足感に浸った。「都市対抗戦にも出場できたし、これで会社にも胸を張ってプロ入りを宣言できます。1年間待って良かったです」と語った。伊東は今年で社会人4年目。176㌢・76㌔と均整の取れた体格から投じる140㌔を超える速球とキレのある変化球は完成度は高くドラフト解禁となった昨年の時点で既に評価されていて指名を打診する球団も複数あったが、伊東本人も会社側もプロ入りはないと宣言していた。あれから1年、「高校2年のセンバツ大会の決勝戦で投げ合った中西投手(現阪神)や昨年のロス五輪のメンバーだった宮本投手(現巨人)らの活躍が刺激になります」と視線は既にプロの世界に向いている。

かつての仲間たちの活躍が自信となりプロ入りへの物差しとなっているようだ。「野球を始めた頃から大の巨人ファンです。でも巨人は清原君を1位指名するようですし、巨人に指名されるとすれば清原君を外した時。外れ1位指名まで残っていて欲しいような1位指名入札して欲しいような複雑な感じです。巨人以外ではヤクルト希望です。神宮球場のマウンドは投げやすいですし、高校・社会人時代を通じて殆ど負けたことが無いゲンの良い球場ですし。ヤクルトは弱い?ならば僕が強くしてみせますよ(笑)」とヤクルト関係者が聞いたら涙を流して喜びそうなセリフ。目標とする投手は東尾投手(西武)で「強気に打者の懐を攻めきれる投手になりたい(伊東)」と。ヤクルトのドラフト1位投手は大成しない、というジンクスなどどこ吹く風の伊東は「どこの球団に指名されるか楽しみです」と悠然と構えている。

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