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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 537 清原だけじゃない ① 

2018年06月27日 | 1985 年 



11月20日に開催される今年のドラフト会議。今のところ清原選手(PL学園)一色の色合いを呈している。同僚である桑田投手がプロ入りを拒否し早大進学を希望しているとあって、ますますその色彩を強めている。12球団のスカウト達は「清原は別格」と口にしているが清原の身体は一つしかなく、抽選で外れた球団は他の選手を指名しなければならない。過去には騒がれてプロ入りした選手よりも、ひっそりとプロの門をくぐった選手の方が大成した例は幾らでもある。そんな " 清原だけじゃない " 選手達を紹介する。


長冨浩志(NTT関東)
父親・隆志さん(51歳)、弟・敏行さん(22歳)が二人揃って銀行マン。長男の長冨は今年の4月に民営化されたNTT関東所属だが、民営化される前は電電公社職員だった。俗に言うお堅い職業に就く長冨家だが長冨のプロ入りに反対はしておらず、本人も「よく伊東(本田技研)と比較されるけど彼は年下だしライバル意識なんてないですね。好きな球団は巨人ですけど逆指名はしたくない。在京のセ・リーグ、阪神、西武に指名されたらプロで力を試したい」と堂々とプロ入りを宣言した。千葉日大一から国士館大を経て現NTT関東に入社して2年目の剛腕投手。高校卒業時にはロッテに3位指名された実力派だ。

「ボールが他人より少し速いだけですよ」と本人は謙遜するが時速 150km を超える速球を武器に1試合平均8個の奪三振を記録する力感溢れる彼の投球は社会人野球速球派ナンバーワン右腕の称号に恥じない。「プロでやれるかどうかは別にして、野球をするからには最高のレベルでやらなくては意味が無い。高野(ヤクルト)や関根(横浜大洋)ら僕と同期の投手が一軍で頑張っている姿を見ると、ヨシッ自分もと思います」とピッチング同様に向こうっ気の強さを滲ませる。「やっぱり僕も長嶋世代ですから巨人が指名してくれたら嬉しいですね。当日を楽しみにしています」と長冨は静かに運命の日を心待ちにしている。



園川一美(日体大)
今年の日米大学野球では第2戦から5連投して2勝1Sを上げてMVPに選ばれた。加えて貴重な左腕とあってプロのスカウト達は放ってはおかない。横浜市緑区にある日体大野球部の寮には各球団のスカウトが連日のように挨拶に訪れる。園川によると「中日を除く11球団から話がありました。こんなに熱心に誘って頂けるとは自分でも思っていませんでした。大変光栄です」と嬉しさを隠しきれずにいる。「指名してもらえばどこの球団でも喜んで行くつもりです」と話す園川だが、実はプロを意識するようになったのは日米大学野球で活躍してからだという。それまでは教師志望だったそうだ。

「高校の教師になって教え子を甲子園に連れて行くのが夢でした(園川)」と話す。しかし練習が忙しく教職課程の単位が取れずに終わり、教師への道は途絶えてしまった。「ちょっと残念な気もしますが、その分プロで頑張りたい」と力強くプロ入りを宣言した。今秋の首都大学リーグ戦で東海大に敗れた時は「情けない。この程度の実力ではプロでは通用しない。プロへは行きません」と口にした園川だったが、周囲の自分に対する評価の高さに徐々に自信が回復。「安全な道か冒険か。僕は冒険する道を選びます。どこの球団に指名されるのか、ドラフト会議の日を楽しみに待っています」と決意した。

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