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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 629 週間リポート・読売ジャイアンツ

2020年04月01日 | 1976 年 



「男は黙って」かそれとも…
兄弟分・新浦と堀内が好対照の男の勝負
「オレとしたことがこう何時までもモタモタしていたらカッパ(新浦)を肴に出来なくなるよ。トホホ」堀内投手は弟分の新浦投手が好投してもKOされても話のネタにする。先日、広島戦で新浦が完投勝ちした時も「この冷え込みが好投の原因だな。だってカッパの頭が熱くなって頭の皿の水が蒸発しなくてすむから」「いいピッチャーだよ。まぁ年に一回こっきりの事だけどな」「これで明日は雨だな」など色々言うが、とにかく堀内は新浦が可愛くて仕方ないのだ。舎弟分として昨秋から自主トレで面倒をみた間柄だ。だからこそ歯の浮くような言葉はかけられない。悪口にかこつけて大いに祝福しているのである。

新浦が不調でも言いたい事を言って口の体操をする。ただ思いっきり言えないことが難点で、ついでに自分の好不調が気にかかってくる。「自分の調子が良い時は何でも言えるけど悪い時はダメだよな。口の調子も狂ってしまうよ」と。で、阪神戦で2人が仲良くKOされた翌日、堀内は「あの野郎なんでもかんでもオレの真似をする。そのへんが頭悪いんだよな。まだまだオレの域には達していない」と自分も負けた事は棚に上げて言いたい放題。一方の新浦はまんじりともしない夜を過ごしたが杉下投手コーチに「今日もう一度投げさせて下さい。気分をスッキリさせないとことにはどうにもなりません」と再登板を申し出た。

直訴された杉下コーチは「おっ、欲が出てきたな」と喜んだが、投げさせてはみたが結果によっては逆に気分を落ち込ませることにならないかと思案中だ。新浦は堀内とは違ってマスコミ受けするような対応はしない。「今年はKOされたら何も喋らないようにしたんです(新浦)」と。それだけ今季に期すところが大きい。一方の堀内は喋ることで自分にも敢えてプレッシャーをかける。好対照の2人。「方法は違っても自分をコントロールして気分転換を図るのは大事。それが一流投手の一つの条件なんだよ」と杉下コーチ。男は黙って黙々と投げるか、軽口を叩いて自らを鼓舞するか、行程に違いはあれど勝負に勝つという最終目的は同じだ。



ナヌ!皿を洗って指切った?
ああ、またも失態やらかした問題児・ライト
「本当にアイツは手を焼かせるよ」と杉下投手コーチは怒ったり嘆いたり。ライト投手がまたも問題を起こした。今度は我がままではなく怪我だから仕方のない部分もあるが、大事な左手人差し指を切ってしまった。登板予定だった9月14日の阪神戦の試合前に「ゆうべ皿を洗っていたら切ってしまった。今日は投げられない」と申し出た。なんで皿洗いなんか、と言っても後の祭り。仕方なく加藤投手を1日繰り上げて先発させて急場をしのいだ。某コーチが発した「ジョンソン選手みたいに食器洗い機を球団が支給すればよかったのに」の発言が思わぬ方向に。実は食器洗い機はジョンソンが自腹で購入したのだが、それを聞いたライトが「オレも欲しい」と言い出して一悶着に。

ライトの問題行動には前科が。7月には川崎球場で大暴れ、8月には税金問題でゴネて、9月の初旬には「背筋が痛い」と試合直前に言い出してヤクルト戦の先発を回避とあるわあるわ。なので指の怪我も嘘じゃないかと疑う者もいたが確かに指先は切れていた。「怪我は仕方ないですよ。当分の間はライトを外して8人の投手陣でやり繰りしますよ」と長嶋監督。二軍から期待の若手・西本投手を昇格させる案も出たが次期一軍昇格登録日は19日でそれまでは8人で乗り切らなければならない。「台風で雨天中止を予想して阪神戦の為に早めに遠征先から東京に帰したのに…」と杉下コーチもガックリと肩を落とした。

ライトは家族が5日に帰国して今は1人暮らし。皿洗いをする必要もあっただろうが「投手なんだから何をするにも商売道具は細心の注意を払ってくれなきゃ困るよ。国民性の違いかね、本人はケロッとしているんだから」と杉下コーチは不満顔。加藤が繰り上げで先発した影響で2戦目も小林投手が1日繰り上げ登板とローテーションも狂ってしまった。これにはライトも「チームに迷惑をかけて申し訳ない」と長嶋監督に謝罪したが影響はしばらく残りそうだ。王選手や吉田選手が怪我から復帰し、さぁこれから優勝へ最後の仕上げにチーム一丸になる必要があるのに水を差された感は否めない。



柴田は出しませんからご安心
ホント?長嶋監督がファンと交歓会で宣言
今季も秋季練習、ファン感謝デーも終了し11月26日には納会も済んでオフシーズンに入った。今オフの目玉企画が『ジャイアンツ展』だ。東京・池袋の西武デパートで6日間催され10万人の入場者を記録し大盛況だった。「催し物は色々と開催しますがスポーツ関連では飛び抜けています。子供さんは勿論、スポーツ関連では珍しく女性の方も来場いただきましてファン層の広さを実感しました。選挙で言えば全国区的人気でした」と西武デパートPR担当者も驚いた。その最終日には長嶋監督も駆けつけて野球教室に飛び入り参加し、舞台上で現役時代さながらのバットスィングを披露するとチビッ子は大興奮。

野球教室の後にはファンとの質疑応答が行われた。


Q:スポーツ紙では柴田選手がトレードされると書かれていますが本当ですか?
A:色々と書かれていますが出しません。私は嘘はつきませんから安心して下さい。
Q:東海大相模の原くんは巨人に入るのですか?
A:是非巨人に来て欲しいですね。原くんは僕の高校時代より凄い選手です。
Q:来年も優勝しますか?
A:来年の事を言うと鬼が笑うかもしれませんが頑張りますので応援して下さい。


長嶋監督は行く先々で同じような質問を受けて同じように答えている。今オフはもっぱら巨人のPR係りだ。球団初の最下位に沈み " 謹慎 " を余儀なくされた昨年とは大違いで、明るい表情で全国を飛び回っている。この展覧会には優勝トロフィーや王選手の715号のホームランボールや数々の決定的写真が展示され、王選手・張本選手ら多くの選手が交代で顔を出している。「やっぱり勝負事は勝たないとダメだね。来年も頑張らないと(王)」と巨人ナインは改めて優勝の良さを実感している。この展覧会は年が明けると関東地区の西武デパートで開催された後は全国13ヶ所で行われる予定だ。

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