セ・リーグ ➋:中日が万全の補強、ヤクルト梶間に注目
◆中日:戸田、森本でバッチリ
【新人】…投 手:都裕次郎、高元勝彦、生田裕之、今岡均
捕 手:中原勇一
内野手:宇野勝、柳沢高雄
【移籍】…投 手:戸田善紀、大石弥太郎、芝池博明、松林茂
内野手:森本潔
外野手:小松健二
移籍組が中々の充実ぶりだ。特に阪急から移籍の戸田、大石、森本に関しては与那嶺監督が「優勝する為に来てもらった」と発言するほどだ。中山投手コーチが右のエースにと期待する戸田は昨シーズンは12勝5敗1Sで、5月11日の南海戦でノーヒットノーランを達成している。丁寧に球を低目に集める投球スタイルで大崩れせず、確実に勝てる投手である。6日の南海戦は打ち込まれたが直ぐに修正して次の日ハム戦で4イニングをきっちり抑えたのは流石である。「僕は数多く投げ込んで仕上げるタイプなのでオープン戦終盤にはベストの状態に持っていける(戸田)」と調整は順調のようだ。
大石も仕上がりは順調だ。16日の日ハム戦が早くもオープン戦四度目の登板で通算10イニング・自責点0。与那嶺監督の構想では「先発・リリーフどちらにも使いたい」と。残る阪急からの移籍組の森本に関しては「森本の加入で下位打線が引き締まった」と杉山打撃コーチが言うように首脳陣の評価は高く、12日の日ハム戦ではレフトスタンドに本塁打を放ち存在感を示した。現状では大島と三塁のレギュラー争いを展開中だが、一歩リードしている。
デービス、マーチン、谷沢のクリーンアップトリオは全員左打ちなので与那嶺監督は森本を絡めてジグザグ打線にしたいと考えているという。「三塁のレギュラーは監督が決めること。自分は内容のあるヒットを打って結果を待つ覚悟(森本)」と14年目のベテランは泰然としている。残念ながら直ぐに一軍の戦力になりそうなルーキーは見当たらない。ドラフト1位指名の都は先ずは体力作りが課題。また都以上の逸材と評価されているのが高元。189㌢・85㌔と恵まれた体格から投じられる直球は威力充分で、一軍デビューは都より早いだろうと言われている。
◆ヤクルト:槌田のトップ決定?
【新人】…投 手:酒井圭一、梶間健一、黒坂幸夫、川畑盛幸
捕 手:高橋寛
内野手:松崎泰治
外野手:吉川盛男
【移籍】…投 手:瀬戸和則、倉田誠、西岡三四郎
内野手:伊勢孝夫
外野手:槌田誠
怪物・酒井に世間の注目が集まる中、「これは使えますよ」と広岡監督が珍しく即戦力になると公言したのが左腕の梶間。13日のロッテ戦まで計3試合を好投した。投球スタイルは力投型ではなく変化球をコーナーに投げ分ける技巧派で打たせて取るタイプ。上手、横手、時にはアンダースローと変幻自在な投法で「球種は今のところ6種類です。内訳?それは企業秘密です(笑)。1人の打者に全球ちがう球種でアウトに出来ます(梶間)」とルーキーとは思えぬ貫禄を見せ、チーム内外から安田二世と評されている。
キャンプでもその安田と同室で、王や張本などセ・リーグの並み居る打者の傾向と対策をたっぷり教え込まれた。オープン戦の好投で一気に新人王レースのトップに躍り出た。さすが昨年の都市対抗野球で準優勝した実績は伊達ではない。話題性で梶間の上を行くのがご存じ怪物・サッシーこと酒井。直球が一級品なのは間違いないが、如何せんプロの投手としてのスタミナやプレートさばきは身についていない。それでも広岡監督は「球に力がある。これだけは教えられても投げられない生まれ持った天性のモノ。一軍で投げるのは時間の問題」と言っているので早ければ球宴明けのデビューも有り得る。
移籍組で注目は槌田だ。5日の大洋戦から一番・サードで先発するようになり、本塁打や二塁打を放ちリードオフマンの役割を十二分に果たしている。三塁は本職ではないので少々心もとないが、その必死さが逆に広岡監督の目には新鮮に映って高評価を得ている。巨人時代はV9メンバーの壁が厚く控えに甘んじていただけに「このチャンスを絶対に掴む(槌田)」とプロ11年目に訪れた春に我武者羅に突進している。槌田と共に移籍して来た倉田は「リリーフの切り札で使う」と広岡監督が明言しており期待は大きい。
◆大洋:斎藤が一軍入り
【新人】…投 手:斎藤明雄、柴田民男、安田尚弘
捕 手:浅利光博
外野手:森浩一
【移籍】…投 手:関本充宏
捕 手:魚満芳
投手陣の顔ぶれに大きな変化は見られないがルーキーの斎藤の一軍入りは確実で、先発ローテーション入りの可能性がある。8日の広島戦に先発した斎藤は4回・被安打9・失点3と今一つの内容だったが、時折見せる小気味よい速球に別当監督は「ひょっとしたら先発で使えるかもしれない」と評価し、残されたオープン戦の成績次第では先発ローテーション入りも有り得る。移籍組ではクラウンから来た関本が故障さえ癒えれば中継ぎ・抑えで使えそうだ。