【 朝 】:キャンプの朝は早い・・とは言うものの一般社会ではごく当たり前の事。しかしシーズン中はナイター明けで昼過ぎにゴソゴソと起き出す選手達にはやはりキツイ。日向キャンプ初日、宿舎裏で朝の体操が終わろうとしている時間に「すいませ~ん」と現れたのは金村選手。ロビーの黒板に『起床、体操 8時』と書かれていたのを起床時刻を8時と都合よく解釈したとか。同室の島貫選手が視力検査の為にキャンプ合流が遅れて一人で寝起きしているので誰も起こしてくれなかったとか。逆に早く目が覚めてしまい困っているのが栗橋選手。目覚まし時計が無くても午前6時には起きてしまうとか。同室の野田選手は「大先輩ですから部屋の中でウロウロしないで下さいとも言えなくて…」と困っている。
【 昼 】:グラウンドで目を引くのが中西打撃コーチを中心とした野手陣の活気。「1日で軽く1500本は振っています」と話す成長株の村上選手の手のひらには二重、三重に潰れたマメの上にカチカチのタコが出来ている。その村上選手に「お前の命を1年間オレに預けてみろ。真弓(阪神)クラスの打者にしてみせる」とハッパをかける中西コーチ。真弓選手は村上選手にとって福岡県大牟田市の歴木中学校の憧れの先輩。名伯楽の夢は村上選手を首位打者を獲れるような選手に育てる事。もし実現すれば真弓選手ともども愛弟子が両リーグで快挙達成という事になる。
【 夜 】:今キャンプから夜間練習に野手全員の参加が義務付けられた。加藤英選手や平野選手といったベテランは勿論、デービス選手やバンボ選手ら助っ人も例外ではない。ここでも中心は中西コーチ。その大声につられて投手陣までやって来て見物している。「ワシらは野球をしにココに来とるんじゃ(中西コーチ)」と当たり前の事だがこれまでの近鉄には無かった光景が繰り広げられている。その中西コーチの発案で前代未聞の罰金制度が誕生した。門限は23時(休日前は午前1時)、門限破りは初回は3万円だが次からは倍額に増えるというもの。3万→6万→・・仮に10回門限を破る何と1千5百万円を超えてしまう。お蔭で午後10時半を過ぎると日向市内の飲食店からタクシーを呼ぶ選手らが続出しているとか。
【 推奨株 】:あいつ(山崎慎太郎投手・1年目)は間違いなくウチの超目玉商品。まだフォームも固まってないし荒削りだけど、あのスピードは魅力。聞けば高校時代は嶋田(阪神ドラフト1位)、杉本(広島ドラフト1位)と張り合って負けていなかったそうじゃないか。キツイ練習もアゴを出さずに付いて来る根性も気に入った。将来は嶋田らの上を行く投手になれる逸材だよ(板東投手コーチ)
【 我が家へのラブコール・佐藤純一 】
「これは電話用の100円玉です。決してゲームに使う訳ではありません」と宿舎のロビーに置いてある10数台のゲーム機を横目に外野の成長株・佐藤は話す。日向キャンプ入り後に大阪にいる彼女へのラブコール用に100円玉を100個、1万円分を持参した。「こうすれば電話のかけ過ぎを防げるし、幾ら使ったか直ぐに分かります」とプロ入り前は秋田相互銀行に勤めていただけにお金には細かい佐藤であった。
【 ウチの秘密兵器…村上隆行 】
聞き手…吹石、谷、大原と遊撃手の競争が激しいけど自信の程は?
村 上…中西コーチにも良くなったと褒めてもらい少しずつ自信めいたものが
聞き手…自分ではどこが良くなったと思いますか?
村 上…中西コーチから「下半身を使って打て」と言われ続けて、最近はコンパクトなスイングが出来るようになりました
聞き手…どれくらいバットを振っているの?
村 上…1日 1000スイングを自分のノルマにしています。手はマメだらけですけどこれだけはやり続けるつもりです
聞き手…君は大牟田高時代は投手で、プロ入りしてから野手に転向した訳だけど課題はやはり守り?
村 上…そうですね。試合に出るには守備が出来ないと話になりませんから。なので全体練習後に居残り特守を毎日やっています
聞き手…どんな特守ですか?
村 上…まだまだ基本中の基本の段階で腰高の癖が抜けないので低く構える所からやっています
聞き手…1日 1000スイングと特守を続けているので練習量はチーム No,1ですね
村 上…野手に転向してやる事が山ほどありますから。小川打撃コーチにも「練習が休みの日でもバットを持って歩け」と言われています
聞き手…今シーズンの目標は?
村 上…開幕一軍です。昨シーズンは一軍で5打数3安打。先発出場が1試合だけだったのは守りが安定していなかったから。
常時出場する為にも守備を鍛えてレギュラー獲得が目標です。投手出身で肩には自信があるので捕球をしっかり鍛えたいです