第2回ANP(All Nippon Physical)が行われ,約20名の熱心な学生・研修医の皆さんが参加してくださり盛況でした。今回は川崎市立多摩病院総合診療内科の先生方とのコラボで,前半は研修医セッションとして当院(の一部)で流行っている録音聴診と頸静脈の見かたについて当院二人の研修医がレクチャーしてくれました。前半は,セッションを2つに分けて,もう一方は多摩病院の研修医の先生が,感度・特異度を考えた病歴聴取の話でした(残念ながらこちらは聴けず)。
お互いにペンライトを持って,頸静脈拍動のみかたを確認。
私も最後の方でお手伝いとして「連続性雑音」のお話をしました。つい最近,Hb 5.4g/dlの重症貧血の患者さんで典型的な静脈コマ音 Venous humの記録を取ることができたので,これと透析患者さんのシャント音を合わせて皆さんに紹介しました。そして連続性雑音が聞こえたときに考える疾患を簡単に解説しました。
連続性雑音が聴きたければ,透析患者さんのシャント音を聴かせてもらうのが最も簡単です。何しろ透析患者さんは全国に30万人以上おられます。聴取する機会を見つけるのは難しくないはずです。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の血管雑音はかなり特異度の高い所見です。これについては以前このブログでも紹介したのでこちらをご参照下さい。冠動静脈瘻については10年くらい前に1例経験したことがあります。外来でまったく無症状でしたが軽微な拡張期雑音(Levine 1-2/6)を聴取した方で,大動脈弁閉鎖不全を疑って心エコーをやってみると「冠動静脈瘻」という報告を受けて驚きました。当時はそんな疾患があるとは知らず,UpToDateなどで勉強した覚えがあります。瘻孔の部位によって心雑音を聴取する場所も異なり,心雑音も拡張期だけでなく連続性雑音を聴取することがあるようです。連続性雑音の鑑別診断の一つとしてこの時覚えました。また胸骨右縁で突然に連続性雑音を聴取するようになったらValsalva洞動脈瘤破裂,胸骨左縁の高いところで聴取したらPDAと覚えていますが,いずれも私はまだ経験がありません。知識としては知っていて損はないと思います。
後半は,多摩病院総合診療科の大槻拓矢先生の肩関節,家研也先生による膝関節のハンズオンセミナーでした。実際に教えていただいた解剖をもとにお互いに診察方法を学びました。
終了後は多摩病院の先生方と大船組でお約束の懇親会。近くの居酒屋に繰り出して今後もまたコラボを是非やりましょうと盛り上がったのでした。第3回の時期は未定ですが,またこちらでもアナウンスする予定です。