H's monologue

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使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

腋窩体温についてのあれこれ

2018-07-06 | 身体診察

 少し前のこと,初診担当の先生から授乳中の若い女性の高熱の方について相談を受けたことがあります。診察すると左乳房の圧痛があり,左腋窩リンパ節を触れました。他に明らかな発熱のfocusがないことから乳腺炎が疑わしいと考えました。それでも骨盤腔内感染の可能性は完全に否定できないと考え,婦人科の先生にも診ていただき乳腺炎という診断に落ち着きました。その時に婦人科の先生から聞いて驚いた話。

 乳腺炎のときには,腋窩体温が高くなるので(肘を曲げて)肘窩で体温を測るのだとか。乳房に炎症があると腋窩体温が高くなるからだそうで,正直これには驚きました。産婦人科の先生の間では普通に知られていることだそうで,恥ずかしながら知りませんでした(でも少し考えたら当然ですね)。そのときに思い出したのは,維持透析患者さんの体温です。シャントがある側の上肢では,シャントを通して表在の静脈に動脈血が流れるため腋窩体温が少し上昇することはよく知られています。これは意外にナースでも気づかないことがあって「ずっと37℃台が続いています」なんて連絡を受けて,確認するとシャント側の腋窩で測っていたというのはよくあります。まったく同じ原理ですね。透析患者さんの腋窩体温はシャントの「反対側」で測る必要があります。

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