面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

野戦病院④

2007年02月12日 | よもやま
いくらノドに麻酔がかかっているとは言え、胃カメラのチューブは想像以上に太く、ノドに突っ込まれると思わずえずいた。
しかし!そこはそれ。
断末魔の叫びをあげている他の連中とは一線を画して声(音?)には出さない。
「はい、一度飲み込んでみてくださいねー」
と言いながら、先生は更にノドの奥深くへと、チューブを突っ込んでくる。
おえっ!とえずきながらも、結構奥へとチューブが進んでいる感覚がわかる。
キモチ悪ー。

胃の入口をカメラが通過していくのをモニターで見た。
意外と余裕があり、モニターに映し出される自分の体内映像を見ることができた。
しかし、あまりキモチのいいものではない。

更にぐいぐいチューブを突っ込まれる。
「一旦、十二指腸までカメラを入れて見てみますねー」
とのことで、今度は胃の出口を通過するところも見た。
おかげさんで、十二指腸には全く異変は無い。
「はい、何もありませんねー、キレイなもんです」
と先生はナゼかご機嫌そうな声(に聞こえただけか?)。
「それでは抜いていきますよー、はいチカラ抜いてくださいねー」
とのかけ声と共に、腹の中を今度は口の方へ向かってチューブが動いていくのがわかる。
さっき「胃の出口」として画面で見せてもらったところをチューブが擦れているような感覚。
うぅぅぅキショク悪い…て、チューブで粘膜に傷がつかへんのか!?と妙な心配が起きたりする。

カメラは再び胃の中へと戻ってきた。
人間ドックのレントゲンで傷が写ったとこらへんの映像が画面に現れるが、なにやら白い泡状の液体が覆っていて胃壁が見えない。
「胃液がたまってますから、流しますねー」
チューブの先から水が出て、胃壁を洗うらしい。
胃の中にヒヤッとした感覚がしたかと思うと、モニター画面では水に流されて胃液がなくなった。
「うーん、何にもありませんねー。おかしいな」
いや、何も無いんやったらエエやん!
レントゲンに写ってた影がおかしいんやって。
「このあたりに潰瘍状のものがあるということやったんですけど、もう少しよく見せてくださいねー」
と胃の中をカメラがうねうね動き回る。
(ように感じたのさっ!あーキショク悪っ)

「何にもありませんね。キレイなもんです。ハイ、そしたら抜いていきますねー」
徐々にチューブが上へ上へと上がってくるのが、食道の感覚でわかる。
ズルっ、ズルッ、ズルッ…
「はい、お疲れさんでしたー、検査終了ですー」
終始妙に明るい調子の検査技師先生である。
確かに、陰々滅々と検査されては気分的に落ち込む一方であり、通るもんも通らなくなるので、そんなトーンがいいわな。

今回の検査で、何となく胃カメラを飲むコツがわかった。
チカラの抜き加減もわかった。
妙に力んで体にチカラが入っていると、食道や胃の入口出口にチューブがひっかかる感じがする。
カラダから不要なチカラを抜くには、チューブが通っていることから意識を逸らせることが肝心だ。
そのためには、唾がたまってきても決して飲み込まないこと。
口からダラダラ垂れ流し状態にしておくこともコツの一つだ。
よだれが溜まってくるとつい飲み込もうとしてしまうが、「ゴクッ」とやった瞬間に食道が収縮し、チューブが通っている感覚が広がり、今度は「おえっ!」とえずいてチューブを吐き出そうとする本能のスイッチが入る。
これが苦痛の最も大きな要因なので、とにかくノドにチューブがあることを忘れ去ってしまうに限る。
そして、自分の体内映像に意識を集中することだ。

妙な薀蓄を垂れてしまったが、なんやかんや言うて、とにかくもう二度と飲みたくない。
それだけ。



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