面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「ヒックとドラゴン」

2010年08月20日 | 映画
遠い遠い昔。
はるか彼方の海の向こうに、バイキングが暮らすバーク島があった。
いつもは平和なこの島には、とんでもなく大きな悩みがあった。
それは、時折ドラゴンが大群で押し寄せ、食料を奪っていくこと。

ある夜、いつものようにおびただしい数のドラゴンが、バーク島に襲いかかる。
バイキングのリーダーであるストイックは、陣頭指揮を執りながら勇猛果敢に戦い、次々とドラゴンを倒していった。
そんなストイックには一人息子のヒックがいたが、マッチョな父親とは正反対にやせっぽちで非力で、いわゆる“ドンくさい”男の子だった。
肉体的には他のバイキング達よりも劣るヒックだったが、物作りが得意で、いろんな武器を開発することに長けていた。

その夜も、かねて用意の武器を実践したところ、夜空を舞う真っ黒いドラゴンの陰に命中した!
…ようだった。
喜んだヒックは皆に報告するが、誰も見ていた者はいず、信じてもらえない。

翌日ヒックは、やっつけたドラゴンが墜落したと思われる辺りへと探検にいく。
すると、森の木が倒れており、明らかに何かが墜落した様子があった。
森の中の窪地に小さな池があり、そのほとりへと入っていったヒックは、信じられない光景を目の当たりにする。
そこには、ヒックが放ったロープがからまって墜落した、真っ黒なドラゴンがいたのだ。
ヒックの武器が命中して墜落したそのドラゴンはなんと!真っ黒い体で夜空に溶け込み、猛スピードで迫っては正確な攻撃を仕かけてくる、「ナイト・フューリー」というバイキング達が最も恐れるドラゴンだったのだ。
これを倒せば一人前のバイキングとして認められる!
喜び勇んでヒックは短剣を振りかざすヒックだったが、根が優しい彼はトドメが刺せない。

結局ヒックは、トゥースを自由にしてやるのだが、尻尾のヒレが欠けてしまっていてうまく飛べない。
仲間のもとへと帰れないばかりか、エサも満足にとれない。
ヒックは、エサを持参してはトゥースに与え、徐々に互いの間の距離を縮めていくと…


ドラゴンと見れば目の敵にして倒すのがバイキングにおける常識。
しかしヒックは、そんな常識に囚われることなく、傷ついたドラゴンと“秘密の友情”を育んでいく。
そしてその友情が、やがてマッチョで頑ななバイキング達の心をゆさぶり、世界を変えていくことになる。

ハチドリのように細かく羽ばたくずんぐりむっくりのドラゴンや、双頭のドラゴンなど、様々な種類の個性豊かなドラゴンが面白い。
かつて恐竜に魅かれ、恐竜をペットに…などと夢想したことのあるオトナ達(オッサン達?)の“男の子心”がくすぐられる。
子供から大人まで楽しめる、イギリス人作家クレシッダ・コーウェルの児童書が原作の、わくわく感たっぷりのハートウォーミングな佳作。

子供達の夏休み最後の思い出作りに、また絵日記のネタにうってつけ。
お子さんを連れて映画館へと足を運べば、お父さんの株も上がること請け合い。


ヒックとドラゴン
2010年/アメリカ  監督・脚本:ディーン・デュボア、クリス・サンダース
声の出演:ジェラルド・バトラー、アメリカ・フェレーラ、ジェイ・バルチェル


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