遊ぶ金欲しさに押し入った家で、居合わせたカップルを殺害した南木野淳(なぎのじゅん・久保田将至)。
一審で死刑を宣告された淳に対して、弁護人(佐野史郎)は直ちに控訴の手続きをとるが、彼はどことなく“生きること”に対して希薄な様子をみせる。
そんな淳のもとを、クリスチャンのボランティア・川原薫(尾野真千子)が訪れた。
淳の身の回りの世話を申し出る薫だが、彼には見ず知らずの女性だった。
せっかく弁護士が提出した控訴だったが、淳はあっさりと取り下げる。
死刑囚となって投獄された彼に対して、薫は弁護士と相談して養母となる手続きをとり、面会を続けた。
そのうえで薫は、淳が殺した男性が自分の婚約者だったことを告げる。
なんと、淳が忍び込んで殺人を犯した家は、薫の婚約者が彼女とは別の女性と逢い引きしている現場だったのだ。
自ら死刑を確定させた淳だったが、いつ執行されるか分からない日々のプレッシャーに苛まれ、自殺を図る。
命をとりとめた淳に対して薫は、差し入れた聖書の行間に小さい文字を書き込んで、「秘密の通信」を始めた。
検閲を受けるハガキや手紙では伝えられない“思い”を伝えようとした薫に対して、生まれて初めて「本当のこと」を自分に話してくれた相手として淳は心を開き、好意を抱く。
薫も、婚約者を殺害し、自分の人生を一変させた憎むべき男でありながら、婚約者の不実を暴いて裁きを下した淳に対して、徐々に惹かれはじめる…
磐代の 浜松が枝を 引き結び 真幸(まさき)くあらば また還り見む
「自分はこのような身の上で磐代まで来たが、いま浜の松の枝を結んで幸を祈っていく。幸いにも無事であることができたら、再びこの結び松をかえりみよう。」
(松枝を結ぶというのは、草木を結んで幸福を願う信仰による)
本作のタイトルは、その昔、謀反の咎で処刑される直前の有間皇子が詠んだ歌と言われ、万葉集に収められている有名な歌から引用されている。
自分が犯した罪はとてつもなく大きいが、「真幸くあらば」再び…
死を目前にして、ようやく「生きること」の尊さと喜びを知った淳。
示し合わせた“逢瀬”で口ずさむ歌が切ない。
お互い惹かれ合いながらも決して触れ合うことはなく、しかも死刑執行までという期限付きの究極の純愛を、明度を落とした映像で、深く静かに描く異色のラブストーリー。
「真幸くあらば」
2009年/日本 監督:御徒町凧 製作:奥山和由
出演:尾野真千子、久保田将至、ミッキー・カーチス、テリー伊藤、佐野史郎
一審で死刑を宣告された淳に対して、弁護人(佐野史郎)は直ちに控訴の手続きをとるが、彼はどことなく“生きること”に対して希薄な様子をみせる。
そんな淳のもとを、クリスチャンのボランティア・川原薫(尾野真千子)が訪れた。
淳の身の回りの世話を申し出る薫だが、彼には見ず知らずの女性だった。
せっかく弁護士が提出した控訴だったが、淳はあっさりと取り下げる。
死刑囚となって投獄された彼に対して、薫は弁護士と相談して養母となる手続きをとり、面会を続けた。
そのうえで薫は、淳が殺した男性が自分の婚約者だったことを告げる。
なんと、淳が忍び込んで殺人を犯した家は、薫の婚約者が彼女とは別の女性と逢い引きしている現場だったのだ。
自ら死刑を確定させた淳だったが、いつ執行されるか分からない日々のプレッシャーに苛まれ、自殺を図る。
命をとりとめた淳に対して薫は、差し入れた聖書の行間に小さい文字を書き込んで、「秘密の通信」を始めた。
検閲を受けるハガキや手紙では伝えられない“思い”を伝えようとした薫に対して、生まれて初めて「本当のこと」を自分に話してくれた相手として淳は心を開き、好意を抱く。
薫も、婚約者を殺害し、自分の人生を一変させた憎むべき男でありながら、婚約者の不実を暴いて裁きを下した淳に対して、徐々に惹かれはじめる…
磐代の 浜松が枝を 引き結び 真幸(まさき)くあらば また還り見む
「自分はこのような身の上で磐代まで来たが、いま浜の松の枝を結んで幸を祈っていく。幸いにも無事であることができたら、再びこの結び松をかえりみよう。」
(松枝を結ぶというのは、草木を結んで幸福を願う信仰による)
本作のタイトルは、その昔、謀反の咎で処刑される直前の有間皇子が詠んだ歌と言われ、万葉集に収められている有名な歌から引用されている。
自分が犯した罪はとてつもなく大きいが、「真幸くあらば」再び…
死を目前にして、ようやく「生きること」の尊さと喜びを知った淳。
示し合わせた“逢瀬”で口ずさむ歌が切ない。
お互い惹かれ合いながらも決して触れ合うことはなく、しかも死刑執行までという期限付きの究極の純愛を、明度を落とした映像で、深く静かに描く異色のラブストーリー。
「真幸くあらば」
2009年/日本 監督:御徒町凧 製作:奥山和由
出演:尾野真千子、久保田将至、ミッキー・カーチス、テリー伊藤、佐野史郎