面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

アジア重視≠天皇軽視

2009年12月12日 | ニュースから
特例会見、小沢氏が要請…「政治利用」批判強まる(読売新聞) - goo ニュース


今日の朝刊でも1面に掲載されていたので読んだが、政府の対応は聖徳太子とは真逆の外交姿勢に感じた自分は、たいがい単純なヤツである。

天皇と外国使節との面会については、希望する日の1ヶ月前に申請するのが日本におけるルール。
それは当然わかりきったことなので、政府は中国に対して日程を早く決めるよう申し入れていたらしいが、回答があったのが面談予定日まであと1ヶ月を切った時点。
本来なら、ここで中国政府の要求を撥ね付けるべきであり、ルールを守れなかったのは中国側なのだから、断固たる姿勢を示すべきだ。

中国側からしてみれば、次期国家主席候補である要人を、天皇に面会させて更なる“ハク”を付けるというところかもしれないが(胡錦濤がかつてそうだったという)、それは中国の都合であって日本の知るところではない。
それをあろうことか、日本政府が中国の要請を飲んだ形で宮内庁を押し切ってしまった。
首相官邸からも要請を入れたというが、何を考えているのか。

「本来は会えないはずのものを会わせてやることで、中国の次期国家主席に恩を売った」と政府が思っているのなら、認識不足も甚だしい。
どの国の要人に対しても平等に接することを旨として設定されたルールとのことだが、それは各国に対する日本としての公平性の証しとなるだけでなく、「天皇の存在」における政治からの中立性を保つものでもある。
それを、中国の要人が会いたいというから変えたのでは、これまで築き上げてきた信頼は雲散霧消してしまう。
新政権は、中国から何かおいしい儲け話でももらったのか、自民党との違いを更に見せつけたかったのか、いずれにせよ、民主党が天皇をダシに使った=政治に利用したと言われても仕方あるまい。

中国からすれば、日本なんぞは古代以来の属国に過ぎず、今回のことは当たり前のことぐらいにしか思っていないのではないか。
それどころか今回のケースについて、
「我が国の政治家(決して国家主席などではないところもポイントである)が行けば、日本の天皇も喜んで会いにくる」
と国民に喧伝し、日本など取るに足りない国であるとして、ある種の国意発揚に利用するのではないかと思うのは、うがち過ぎだろうか?

「アジア重視」という姿勢自体は悪くはないが、それはあくまでも自国の衿持を保ったうえでのことであるべきなのは自明の理だ。
それは決して、「国民の象徴」である天皇を軽々しく扱うことではない。