小学生の頃に見たテレビシリーズの「宇宙大作戦」。
これが「スター・トレック」だと知ったのは、高校生になってからだった。
それは同じクラスに熱烈なトレッキーがいたからだ。
アメリカや日本だけでなく、世界規模で熱狂的なファンを持つこのSF作品は、TVシリーズで何代かのクルー(乗組員)で物語が作られ、それぞれについて映画作品も作られてヒットしてきた。
しかしこれまでの映画化作品は、どちらかと言えば“トレッキー”と呼ばれる「スター・トレック」ファン達には楽しめても、それほど「スター・トレック」に思い入れの無い映画ファンや、「スター・トレック」て何?というような層には、少々敬遠されるところもあったのではないだろうか。
今回、30年余りの歴史と熱狂的なファンを持つシリーズの最新作として登場した「スター・トレック」は、これまでの同シリーズの作品とは、一線を画する内容となっている。
本作は、TVシリーズの第1作である邦題「宇宙大作戦」をベースとした言わば“原点回帰”的な作品であるが、この物語が始まる“前夜”を描く。
若き日のカーク船長やミスター・スポック、ドクター・マッコイとの出会いから、いかにしてあの“ベスト・クルー”が誕生したのか。
かつてワクワクしながら「宇宙大作戦」を見た世代も十分に楽しめ、また「スター・トレック」のスの字の知らない方々でも、若き優秀なクルー達の成長物語を織り込んだSF娯楽大作として楽しむことができる。
女と喧嘩に明け暮れる思いきり“やんちゃ”で、どこかジェームス・ディーンのような雰囲気を漂わせるカーク。
バルカン星のエリートでありながら、地球人である母親の性質を受け継いでいるがために苦悩するスポック。
「スター・トレック」の二大登場人物の若き日を描く人間ドラマは、長年に渡って人々に愛され続けてきたシリーズに新風を巻き起こし、二人に新たな魅力を追加した。
シリーズを再構築し、あらゆる客層が楽しめるSF娯楽大作に仕上げた、「LOST」「クローバー・フィールド/HAKAISHA」のJ.J.エイブラムスの手腕はお見事!
「
スター・トレック」
2009年/アメリカ 監督:J.J.エイブラムス
出演:クリス・パイン、ゾーイ・サルダナ、ザッカリー・クイント、カール・アーバン、エリック・バナ、ウィノナ・ライダー、サイモン・ペッグ