面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「インサイド・マン」

2006年07月18日 | 映画
期待し過ぎて裏切られた代表作となってしまった。

マンハッタン信託銀行に押し入った強盗グループ。
しかし彼らは現金は一切盗まなかった。
ただ、銀行の貸し金庫の一つに入っていたモノだけを盗んで逃げ延びた。
それは、銀行の設立にあたっての「とんでもない秘密」の証拠…。

映画館で観た宣伝にもワクワクしていたのだが、冒頭に書いたようにガッカリした理由は次の2点。
(1)なぜ、どうやって、主犯(クライブ・オーウェン)は、銀行の貸し金庫にとんでもない秘密が隠されていることを知ったのか?
(2)銀行の創業者である会長は、どうやってユダヤ人の友人富豪から財産を巻き上げ、指輪を手に入れたのか?

銀行の会長は、友人でもあったというユダヤ人富豪の財産をナチスとの結託により手に入れたということであるが、そんな結託関係をどうやって築いたのかを描いて欲しかったところであるが、そこまでやると演出がしつこすぎるか?

銀行強盗を計画するに至った経緯・理由という、この物語の根幹を為す部分が描かれていないため、観終わったときの中途半端感は、ハンパではない。
それは観客の想像に任せるというのであれば、そのような脚本はいかがなものか。
観客の想像に委ねるのは、ジョン・カーペンター監督作「遊星からの物体X」のラストシーンのような場合であって、決して本作においてではない。

でも、それもまた映画の楽しみ方であるなら、自分の楽しみ方とは異なるものである。

インサイド・マン
2006年/アメリカ  監督:スパイク・リー
出演:デンゼル・ワシントン、クライブ・オーウェン、ジョディ・フォスター、ウィレム・デフォー