面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

無題「手遅れ医者」

2006年07月10日 | 落語
その医者には口癖があった。
重症の患者が来れば必ず
「手遅れじゃなぁ」
と嘆息しつつ、患者を突き放す。
ある日、屋根から落ちた怪我人が運び込まれてきた。
その医者曰く
「…手遅れじゃなぁ」
「手遅れて先生!今しがた屋根から転げ落ちてきたところでっせ!それをすぐに運んできたのにそれでも手遅れて、いつやったらよろしいねん!?」
「…落ちる前やったら、何とかなったんやが。」

医者がメインの落語のマクラによく使われるネタ。
小噺として独立して演じられることはない。
昔は、今のように大学の医学部へ行って国家試験を受けて医者になる、というような手続きがあったわけでなく、誰でも「医者でござい」と看板を掲げれば医者になれたので、ひどい医者が多かった、という話の中でとりあげられるネタである。