青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

日本の蝶(その3) オオチャバネセセリ[下] 補遺

2021-07-03 20:35:17 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶


★7月2日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。



大谷君、また連発(このまま60発越え行きそうです)で、盗塁にサヨナラ走塁、もう何がどうなっているのやら。。。。明後日は27歳の誕生日かな?

阪神中谷ソフトにトレード(仁保を貰った)ですね。両チームにとって(両選手にとっても)かなり良いウインウインのトレードだと思います。ネットで「中谷頑張れ!」の声が多数あるのは嬉しいですね。まだ28歳ですから、チャンスさえ貰えれば、大化けするはずです。

、、、、ちなみに、高山、貰い手あるんだろうか(;´д`)

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このブログの原稿は、猛スピードで(かなり無責任に)書いているので、あちこちに間違いがあったりします。でも、ここんとこ(今年の東京としては)珍しく雨続きで、毎日探索に出ることもないので、翌日アップした記事を再チェックして、必要なところは訂正記事を書くことが出来ます。昨日の記事についての訂正と追記。

⓵末尾の部分(最後の付録5種の前)。「タイワンチャバネセセリ」「コモンチャバネセセリ」とあるのは、(それぞれ「オオ」が抜け落ちていて)「タイワンオオチャバネセセリ」「コモンオオチャバネセセリ」の間違いです。タイワンチャバネセセリはPelopidas sinensis、コモンチャバネセセリはPseudoborbo bevanii、それぞれオオチャバネセセリのPolytremisとは別属の種です。

で、それで一件落着と言うわけでもありません。更に「タイワンオオチャバネセセリ」の和名自体も、オオチャバネセセリ属ではなく、チャバネセセリ属のPelopidas conjunctaに冠された和名です。よって正しくは「オオチャバネセセリ台湾亜種」とされていた種には別の名をつけねばなりません。種の帰属がpellucidaのままなら「オオチャバネセセリ」で良いわけですが、大陸にも分布する別の種のzinaに組み替えられたとなれば、和名も別の種(zinaに相当する名前)に移す必要があるでしょう。

といって、別に海外産の種に和名をつける必要はないのですが、台湾産の蝶には原則全て和名(日本名)がついているし、このブログで写真紹介している主な種にも和名を付していることですから、何らかの名前をつけたい。でも、なかなか良い名前が思い浮かびません。中国名が「刺紋」となっているので「サツモンオオチャバネセセリ」あるいは中国語発音で「チ―ウェンオオチャバネセセリ」かな?

もっとも、中国名の命名基準は、属の所属が変わるごとに、中国名もそれに従って変わっていく*(日本も、そうなりつつある、、、それが「科学的」だと思ってるんだ)ので、ローカル名の持つ意味がなくなっているようにも思います。明治開化の日本みたく、なんでも西洋追従、理論的に、統制的に、、、と。

その西洋では、「赤い海軍大将」「お化粧した貴婦人」「紫の皇帝」、、、といったローカル名が堂々と昔から引き継がれているわけですから、結局、文化の成熟の程度が違うんですよね。(ステレオタイプ一辺倒の)中国や日本には、勝ち目がない、と思ったりします。

*PolytremisからZinaidaに属を組み替えられた場合、Polytremisを指す「孔セセリ(セセリの漢字を打ち出せない)」から別の「○セセリ」に替わるのでしょう。そこら辺は、どの研究者が最も力を持っているか、という事情で決まるわけです。

⓶後者論文の系統図のタッパンチャバネセセリとニセキマダラセセリを含む分枝の属名を、誤記してしまいました。共にZenoniaと記しましたが、正しくは、アフリカ産のニセキマダラセセリのみがZenoniaで、アジア産のタッパンチャバネセセリはZenonoidaです。「Zenonoida」 「Zenonia」「Zinaida」、、、、紛らわしいですね。

⓷後者論文で論議されている対象は、旧・Polytremis中の大多数の種を含むZinaidaとされる種についてのみで、それとは別属に置くZenoniaと狭義のPolytremisについては、Zinaidaとは異系統であることが示されている(タイリクタッパンチャバネセセリeltolaはZenonoidaとしてアフリカ産の別属Zenoniaと姉妹群を成し、Polytremisに残されたキモンチャバネセセリlubricansとの間には別属Itonシロシタチャバネセセリ属が割り込む)だけで、互いの詳しい関係性については特に示されていません。

しかし前者論文では、必ずしもタイリクタッパンチャバネセセリeltolaとキモンチャバネセセリ lubricansの関係性を、そのように位置付けてはいず、Zenoniaの属としての単系統性も確定はされていません。

僕が思うに、他のゲゲネス類各属各種の系統的位置関係を、改めて洗い直してからでないと、実態は見えて来ないのではないかと(そんなことは既に為されているのかも知れませんが)。

*例えば、雄交尾器の形状などからすれば、Caltorisの幾つかの種などはPolytoremisとの何らかの親和性があるような気がします。

*GegeniniあるいはBaorini、和名ならイチモンジセセリ族またはチャバネセセリ族、直訳するならGegeniniを採る場合アフリカチビセセリ族、Baoriniの場合はサシスネ(刺脛)セセリ族、ということになるのかな? まあ、そんなことはどうでもよくて、その時の気分で(前後の語呂とかの関係で、要するに適当に)「ゲゲネス類」「チャバネセセリ類」「イチモンジセセリ類」とか呼んで置いても良いだろうと思っています。

そのゲゲネス類について。
『Phylogenetic relationships of subfamilies and circumscription of tribes in the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea) Andrew D. Warrena, at all.2008』によると、次の14属から構成されているようです。
Prusiana Evans, 1937
Melphina Evans, 1937
Fresna Evans, 1937
Platylesches Holland, 1896
Brusa Evans, 1937
Zenonia (ニセキマダラセセリ属)Evans, 1935
Gegenes(アフリカチビセセリ属) Hu¨bner, 1819
Parnara(イチモンジセセリ属) Moore, 1881
Borbo(ユウレイセセリ属) Evans, 1949
Pelopidas(チャバネセセリ属) Walker, 1870
Polytremis(オオチャバネセセリ属) Mabille, 1904
Baoris Moore, 1881
Caltoris(ムモンセセリ属) Swinhoe, 1893
Iton(シロシタチャバネセセリ属) de Nice´ville, 1895
(Borboから分離されていたPseudoborboコモンチャバネセセリ属はBorboに戻されたのかな?)
前7属が主にアフリカに分布、後7属が主にアジアに分布します。これに新大陸産の幾つかの属(Sinapte、Calpodes、Saliana、Dubiella、Tharacidesなど)が、姉妹族として対応するようです。

この時点では、タイリクタッパンチャバネセセリの属するZenonoidaや、広義のPolytremisのうちの大多数の種が所属するとされるZinaidaの名は、提示されていません。

ちなみに、議論の本質とは関係ないでしょうが、分けるにしても(繰り返し記しますが)「Zenonia」「Zenonoida」「Zinaida」は、紛らわしすぎます(笑)。

⓸タッパンチャバネセセリは、「原名亜種eltola(一応「タイリクタッパンチャバネセセリ」と表記しています)と 台湾産亜種tappanaで、(エヴァンスの挿図で比較する限り)雄交尾器の形状が著しく異なる」と、白水図鑑に記されています。僕は今エヴァンスが手元に無い(段ボールの中、笑)のですが、他の幾つかの文献(例えば「The butterflies of the Malay peninsula」や「Butterflies in Indochina」)の添図をチェックした限りでは、それほどの差があるとは思えません(種レベルとしては微妙)。一方、ニセタイリクタッパンチャバネセセリdiscreta とは明らかに相違(見方によっては属レベル)します。

それらのことを含めて、雄交尾器を見る限りに於いては、Zinaidaの独立性(単系統性)の支持は困難なように僕は思います。もちろん、分子生物学的な解析のレソルトを、最優先して信用しなくてはならないことは分かっているつもりですが(その信頼すべき複数の解析結果自体が異なる、、、、)。

前回同定保留にしておいた写真3・4と写真5・6の種について。
「Butterflies in Indochina」(Polytremisとしてlubricansを含む3種、Zenonoidaとしてeltolaとdiscleteの2種が掲示されている) でチェックしてみましたが、結局分からなかった。ベトナム・サパの5・6は、たぶんどちらかに帰属すると思います。「Butterflies of Malay peninsula」や「Butterflies in Indochina」に添附されたdiscletaの雄交尾器図・写真は「中国のチョウ」で紹介したdiscleta雄交尾器の図に完全に一致しますが、5・6(後翅の白紋が一個少ない)の個体に関しては雄交尾器を検鏡していないので、判断がつきません(イメージ的にはdiscleta?)。3・4のほう(やはり雄交尾器は見ていない)は、外観的には両方とも違うような、、、(イメージ的にはeltola?)。

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ネットで、色々な資料を調べていたら、今回取り上げた2つの論文の他にも、幾つかの報文を見つけました。
『Polytremis属の分子系統学研究(上海大学2013)』
『Molecular Phylogeny of the Butterfly Genus Polygonia(Hesperiidae,Hesperiinae,baorini)in China』
『中国及び周辺地域セセリチョウ亜科分子系統学研究(百度文庫2020)』
等々。
それらについてのチェックはまだ行っていません。また機会があった時に言及しようと思っています。

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最後に、僕が知らなかっただけなのでしょうが、、、、。

台湾産の蝶に関しては、杉坂美典さんという方(来週69歳になる男性)の、これはもう「凄い!」としか言いようのない(大谷君レベルです)驚愕のH.P.が紹介されています。

台湾の蝶 <セセリチョウ科- セセリチョウ亜科2>


大谷君といい、杉坂氏といい、世の中には想像を絶する凄い人がいるもんだ、と、つくづく思います。

*台湾には5種のオオチャバネセセリ属の種がいるようです。白水(1960)で紹介された「オオチャバネセセリ」「キモンチャバネセセリ」「タッパンチャバネセセリ」「キライザンチャバネセセリ(標本図なし)」のほかに、Pelopidas theca fukia(昨日紹介した「前者論文」ではthecaとfuciaは明らかな別種とされています)。そして、既述したように、白水では(一頭の雌標本から)オオチャバネセセリpellucidaと同定された個体は、大陸産のzinaに帰属します。その和名をどうするかについて考慮していたのですが、杉坂氏のH.P.には「トガリオオチャバネセセリ」となっていたので、それを踏襲することにします。

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昨日アップした、四川省大邑原生林のChrysozephyrus sp.の写真が、かなり甘いように思えるので、ややシャープネスをかけた写真を再掲しておきます。








コメント
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