功夫電影専科

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ステイサム罷り通る(終)『バトルフロント』

2017-06-30 17:49:21 | マーシャルアーツ映画:中(2)
「バトルフロント」
原題:Homefront
製作:2013年

●麻薬密売を追う潜入捜査官だったジェイソン・ステイサムは、世知辛い仕事に嫌気がさして仕事を辞職。娘のイザベラ・ヴィドヴィッチを伴い、亡き妻の故郷であるルイジアナの片田舎に移り住んだ。
過去を捨て、静かな暮らしを望んだステイサムであったが、些細な出来事が大事件の引き金となってしまう。ある日、イザベラが学校で悪ガキをボコボコにしてしまい、ステイサムは相手のモンペ気味な親を軽くあしらった。
 悪ガキの母親であるケイト・ボスワースは納得がいかず、自分の兄で麻薬密売人のジェームズ・フランコに「アイツを懲らしめてやってよ!」と訴える。しかし、ジェームズの部下ではステイサムの相手にならず、あっという間に返り討ちとなった。
不信に思ったジェームズは、こっそり相手の自宅に忍び込んで身元を確認。ステイサムが元潜入捜査官である事を知り、これを利用してひと稼ぎしようと企んだ。
 まず彼は恋人のウィノナ・ライダーを呼び付け、ステイサムが最後に担当した事件で摘発されたギャングと接触。仇敵の居場所を教える代わりに、ギャングと組んで麻薬の販路拡大を目論んだのである。
だがステイサムも黙ってはいない。ジェームズの暗躍を察知した彼は、先手を打って敵の麻薬工房に細工を施し、自分を捕えようとした雑魚を一蹴。ギャングの襲来を予感し、早々にルイジアナから脱出しようとした。
 ところが、ギャングのフランク・グリロとその仲間たちはとても凶暴で、ジェームズの計画を無視してステイサムの自宅を襲撃する。最終的にギャングは撃退されるが、今度はイザベラがウィノナにさらわれてしまう。
トラブル続きで追い詰められ、細工のせいで自分の工房さえも失ったジェームズは、イザベラを連れてヤケクソ気味に逃走。ステイサムは怒りの火の玉となって追跡するのだが…!?

 数々の話題作に出演し、次世代のアクションスターとして名を挙げたジェイソン・ステイサム。その功績は高く評価され、彼は古今東西のアクションスターが集結したオールスター作品に招かれます。
その作品こそ『エクスペンダブルズ』であり、ステイサムは若手スター代表として主役級のポジションを獲得。そのポテンシャルを遺憾なく発揮し、監督・脚本・主演を兼任したシルヴェスター・スタローンを唸らせました。
続く『エクスペンダブルズ2』の成功で「この男ならやってくれる…」と確信したスタローンは、自分の主演作として企画していた脚本をステイサムに託します。こうして完成したのが『バトルフロント』で、スタローンは製作も兼任しています。
 元々がスタローン用のシナリオだったためか、本作のステイサムは頼りになる父親としての側面が強調され、どこかピリピリしていた今までの主人公像とは一線を画していました。
しかし、いざステイサムが反撃に転じると一瞬でいつもの彼に戻り(笑)、相変わらずの無敵っぷりを発揮。また、本作は敵サイドにも感情移入のできるキャラクターが多く(例外は雑魚と一部のゲス野郎のみ)、彼らが辿る顛末も実に興味深かったです。
ストーリーは意外性に欠けるし、美人カウンセラーとのエピソードが投げっぱなしになったりと、粗が目に付くのも事実。とはいえ、物語に破綻は見られないし、粗についても致命的なレベルでは無かったと思います。
 アクションシーンの方も、肉弾戦・銃撃戦がきっちりと分けて描かれているのがポイント。ガソリンスタンドでの容赦ない殺陣、両手を縛られたままの立ち回り、ギャングのリーダーであるフランクとの対戦など、どれも迫力満点でした。
残念なのは終盤でジェームズが簡単に倒され、ラストバトルが無いまま終わっている点でしょうか。両者はここまで一切戦っていなかったので、個人的にはある程度のタイマン勝負が見たかったなぁ…。

 今月はステイサムの主演作を追ってきましたが、どの作品もスピーディーなアクションが炸裂し、香港映画にも負けないパワーとエネルギーに満ち溢れていました。
彼の凄いところは、ハードなアクション大作を毎年撮っているのに、まったく勢いが落ちない事です。時には助演や悪役だったりしますが、基本的に立ち回りのボルテージは落とさず、常に全力のアクションを演じ続けています。
 コメディなどの他ジャンルは摘み食いする程度で、基本的にアクション映画一筋。たまにハズレも混じったりしますが、今後もステイサムには実直なアクション路線を貫いて欲しいですね(私としては香港映画で戦う彼を見てみたい!)。
さて次回の特集ですが、先月は香港映画・今月はハリウッド映画を見てきたので、来月は日本のVシネマに着目します。このたび取り上げるのは、他の追随を許さないほど量産された不良モノの一端…詳細に関しては、更新履歴にて後日紹介いたします!

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