功夫電影専科

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倉田保昭、ブラウン管に現る(4)『乱 Sonshi』

2014-11-26 22:42:39 | 倉田保昭
「乱 Sonshi」
製作:2013年

▼ここまで倉田保昭が出演したTVドラマの中から、単発ゲストとして登場した作品をいくつか紹介してきました。しかし今回ピックアップするのは、レギュラー出演していた『牙狼-GARO- ~闇を照らす者~』のエピソードです。
この作品は特撮ドラマ『牙狼-GARO-』シリーズの第3作で、実を言うと今回の特集はCSで本作を視聴した際、その激しいアクションに衝撃を受けて企画したものだったりします(笑
 『牙狼-GARO-』シリーズは、鬼才・雨宮慶太監督による作品ですが、深夜番組だけあって内容は完全に大人向け。グロテスクな描写や性的なシーンが随所に存在し、独特なキャラクター設定も持ち味のひとつです。
そして私が驚いたアクションシーンでは、高クオリティの肉弾戦がこれでもかと炸裂しており、ACC STUNTSを率いる横山誠の手腕が遺憾なく発揮されていました(彼は本作の総監督も兼任)。
 基本的な粗筋は、人知れずホラー(本作における怪人の名称)を狩る魔戒騎士たちが、ボルシティと呼ばれる独立国家で巨大な陰謀に立ち向かう…というもの。倉田さんはホラーより上位の存在、魔導ホラーに扮して大暴れを繰り広げます。
この第9話「乱 Sonshi」は前後編の後編で、前編は主人公・道外流牙(栗山航)が元記者の古山憲太郎と接触。恋人をホラーに殺された彼は真相究明を訴え、栗山に協力を申し出るのですが…。

■何度も「関わるな」と言いつつも、次第に古山を仲間として意識し始める栗山。そんな中、古山は自分なりにホラーと戦う手段として、知人であるボルシティのTVアナウンサー・井村空美とコンタクトを取り、ホラーのことを報じて欲しいと頼んだ。
ホラーはボルシティの支配者・金城一族と繋がりがあるらしく、TV局も彼らの支配下となっているが、井村はホラーについてニュースで伝えると約束する。…が、実際に放送されたのは「栗山は殺人犯である」という捏造報道だった。
 そう、実は井村もホラー側の存在であり、古山の恋人を殺害した張本人だったのだ。栗山は街の治安維持部隊・SG1に追われ、井村に迫った古山も食い殺されてしまう。
追い詰められた栗山は、もう1人の人間の協力者であり金城一族の端くれ・津田寛治に助けられた。しかしそこに倉田が襲いかかり、古山の死を知らされた彼は仲間と共に立ち向かう。果たして戦いの行方は…?

▲かなりダークで救いがなく、前編も一緒に見ておかないと把握が困難なストーリー(というか詳細な設定の把握は必須)ですが、なかなかにインパクトの強い作品でした。
中でも私情に流されたがゆえに犠牲を生み、仲の良かった人々からも恐怖と侮蔑の目で見られ、それでもなお立ち上がろうとするラストの栗山が印象的……と言いたいところですが、後半のアクションで倉田さんが全てをかっさらっています。
 最初に剣をふるう栗山を素手で軽くあしらい、舞台はモノレールの駐機場へ。魔戒騎士の蛇崩猛竜(池田純矢)と楠神哀空吏(青木玄徳)が駆けつけるも、倉田さんの放つ電光石火の拳には苦戦を強いられるばかりです。
そうこうしている間にモノレールが走りだし、狭い車内での戦いへと発展!次々と騎士たちは外に叩き出され、変身して挑みかかるも余裕で技を受け止められてしまいます。念のために言っておきますが、この時点で倉田さんは怪人化すらしていません(爆
 一部のアクロバティックなカットでは替え身が見られるものの、これらのアクションシーンは横山氏の指導とも相まって、非常に迫力のあるバトルに仕上がっていました(ただし特撮パートはCG主体なので、見る人によっては違和感があるかも)。
もちろん栗山・池田・青木の3人も十分動けており、倉田さんの圧倒的な存在感で見過ごされがちですが、体当たりで受け身・スタントを演じています。個人的には池田さんのアクションをもうちょっと堪能したかったけど、こちらは今後のエピソードに期待したいですね。
悲しき宿命を背負い、孤独な戦いを続ける魔戒騎士たち。次回の特集最終回では、あのジャパンアクションアワードも認めた倉田さんと彼らの最終決戦に迫ります!

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4 コメント

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狼牙は少林寺秘棍房の敵ですが (二白桃)
2014-11-27 23:50:28
初めまして。
いつも楽しく拝読しております。

この作品は、低予算が目に付いたり演技が大袈裟だったりするので、個人的な総合評価はテレビシリーズ中最低なのですが、アクションの出来栄えは最高です。
このシリーズが、ジャパンアクションアワードの受賞者を多数排出しているのも納得です。
ただ、このシリーズに出演経験があり、他の多くのアクション作品でも重宝がられている亜紗美さんや島津健太郎さんが、まだ何の賞も贈られていないことには不満があります。
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返信。 (龍争こ門)
2014-11-29 03:44:39
 二白桃さんこんばんは、初めまして。
『牙狼』は『闇を照らす者』『魔戒ノ花』をチラっと視聴した程度なんですが、他の特撮作品にはない妖しげな雰囲気に興味を抱きました。
仰るように『闇を照らす者』は荒々しい部分も目に付きましたが、アクションが濃いのもまた事実。次に紹介する終盤のエピソードでも、ムチャなスタントの数々に思わず見入ってしまいました(笑

>他の多くのアクション作品でも重宝がられている亜紗美さんや島津健太郎さんが、まだ何の賞も贈られていないことには不満があります。
 亜紗美さんについてはあまり存じ上げませんが、島津さんはアクション系の作品でたびたび見かけますね。
個人的には肘井美佳(そういえばこの方も『牙狼』出演者!)主演の『抜け忍』で、憎々しげなラスボスに扮して立ち回っていた姿が印象に残っています。
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日本人アクション女優でウィキペディア言語リンク最多(多分) (二白桃)
2014-12-02 02:50:05
お返事ありがとうございます!
島津さんは、アクションは披露していないものの、『牙狼』第一期第6話・第二期(MAKAISENKI)第1話に出ていました。
亜紗美さんが出ていたのは第二期第17話です。
両者は井口昇監督作で何度も共演していますが、アクション目当ての方には、エログロナンセンスが売りの井口作品は物足りないかも知れません。
個人的には、『三姉妹のVS女剣士』で宮本武蔵の弟子を演じていた時の亜紗美さんが、見事に二刀流を使いこなす姿が印象的だったので、AVであることを気にしない方にはこの作品がお勧めです。

長くなりましたが、今後もどうかよろしくお願いします。
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返信。 (龍争こ門)
2014-12-04 00:53:37
 二白桃さんこんばんは。
井口昇監督といえば、武田梨奈の『ヌイグルマーZ』や『デッド寿司』も手掛けていた方ですね。今のところ未視聴ですが、どちらの作品もかなり癖が強そうに見えます(笑
私はAVやそれに近いVシネマ、香港の三級片といったジャンルには明るくありません。しかし、その中にも鋭いアクションを見せる作品があると思っているので、いつか纏めて紹介できれば…と考えています。
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