功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『クローサー』

2017-09-23 23:29:25 | 倉田保昭
「クローサー」
原題:夕陽天使
英題:So Close
製作:2002年

舒淇(スー・チー)趙薇(ヴィッキー・チャオ)は天涯孤独の姉妹。卓越した武術の腕前と、父が遺した監視システムへの侵入プログラムを駆使し、悪党退治の専門家として活躍していた。
今日も舒淇は趙薇のバックアップを受けつつ、元麻薬王の会社社長・石修を難なく倒していたが、かつての恋人・宋承憲(ソン・スンホン)と再会する。過去の辛い経験から疎遠になっていた2人だが、両者は急速に仲を深めていく。
 一方、石修に代わって社長となった温兆倫(実は社長殺害の依頼主)は、邪魔な重役の暗殺を計画。再び舒淇たちに依頼するが、アメリカ帰りの捜査官・莫文蔚(カレン・モク)が周囲を嗅ぎ回っていると知り、全員まとめて抹殺しようと画策する。
しかし舒淇は宋承憲からプロポーズを受け、仕事に迷いを感じはじめていた。そのため依頼を断ろうとするが、前々から現場に出たいと主張していた趙薇が依頼を強行し、追跡してきた莫文蔚と交戦。重役は暗殺したが、温兆倫の手下からも襲撃を受けてしまう。
 なんとかその場は逃げ出すも、妹を心配して厳く叱咤する舒淇と、姉の役に立ちたいと願う趙薇は激しく衝突。後日、趙薇は不手際から追われる身となり、サポートに入った舒淇は敵の刺客・林國斌(ベン・ラム)に襲われて死亡する。
悲しみに暮れる趙薇は、敵に陥れられて罪を着せられた莫文蔚と手を組み、仇敵・温兆倫との決戦に向かう。立ちはだかるは強固なセキュリティ、林國斌ら大勢の手下たち、そして最強の倉田保昭! 果たして、2人のエンジェルは生き残れるのだろうか!?

 今月は更新履歴のUPも無く、しばらくブログが放置状態となっていましたが、やっとこさ再開の目途が立ったので本日より再始動いたします(汗)。9月は特集を休み、10月は格闘映画関連・11月と12月は香港映画系の特集をお送りする予定です。
さて今日は、女性アクションに定評のある元奎(ユン・ケイ)の監督作を見てみましょう。ここ最近はワールドワイドな作品に関わることの多い元奎ですが、本作のようなスケールが彼には一番しっくりくる気がします。
 この映画は、当時の香港を代表する3人のトップ女優を揃え、泥臭さを抑えたスタイリッシュなアクション映画に仕上がっています。そのスマートな演出は徹底されており、雑然とした香港映画らしい雰囲気はほとんど感じません。
キャラクターの見せ方も三者三様に分けられ、凛々しくも恋に悩む舒淇、カジュアルな可愛さと危うさを見せる趙薇、甄子丹っぽい強直っぷりで攻める莫文蔚(苦笑)…といった具合に、それぞれ工夫に富んでいます。
ただ、趙薇については未熟であるがゆえにヘマをしでかすシーンが多く(特に莫文蔚を煽って自爆するくだりはカッコ悪すぎ)、彼女たちの父が何を思って侵入プログラムを作ったのか等、「これはちょっと…」と思ってしまう箇所も目に付きました。

 しかし、アクションシーンは元奎らしく派手さ全開で、ヒロイン3人は何度となくファイトを展開。壁に張り付き、ガラスを突き破り、ワイヤーで飛びまわったりと、縦横無尽なファイトが堪能できます。
終盤では成家班から殴り込んできた林國斌と莫文蔚が殴り合い、『皇家師姐』のラストバトルを彷彿とさせる激闘(実際、似たような殺陣が一部あります)を見せますが、これはまだ序の口…続く趙薇VS倉田で、本作は事実上のクライマックスを迎えます。
 役柄的に『闇を照らす者』を連想させる倉田さんですが、トップ女優相手にも加減をしない立ち回りを見せ、縦横無尽の大暴れを展開! 途中で莫文蔚が参戦し、よりハードな剣戟ファイトが繰り広げられていました。
細かな粗はあるものの、レディース・アクションとしては二重丸の本作。今も元奎は武術指導家として活躍していますが、監督としては2011年の『トレジャー・オブ・ドラゴン』(王晶との共同監督)が現時点で最後の仕事となっているようです。
実に個人的な願望ですが、私としてはセクシーな女優たちがバリバリ暴れるような監督作を、また彼に撮って欲しいと密かに願っています。

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2 コメント

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結構国際色豊か (二白桃)
2017-09-26 22:00:21
こんばんは。
舒淇がビルから飛び降りる場面はアニメ映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のパクりですね。
『フィフス・エレメント』以上に丸パクりですが、さすがに裸体はさらしませんでしたね。
この映画の倉田さんの日本刀捌きが、『龍の忍者』の真田広之VS権永文と並んで、日本刀アクションの最高峰ではないかと思います。
個人的には『死亡の塔』の黄正利の日本刀捌きも好きですが、あれは真っ当な日本刀の使い方とは言えないでしょうからね。
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返信。 (龍争こ門)
2017-09-30 04:39:13
 二白桃さんこんばんは、お返事お待たせ致しました。
『攻殻機動隊』はアニメーションのみならず、多くのアクション映画にも影響を与えまくっていますね。確かにあのビジュアルは鮮烈でしたし、実写版が作られるほどの根強い人気も頷けます。
 また、倉田さんの見せる日本刀バトルも実に華麗で、もしかしたら現場で元奎と意見を出し合ったのかもしれません(そういえば『龍の忍者』も元奎作品!)。
香港映画では時たま日本刀が登場しますが、使用するスタイルは中国式がほとんど。やはり本作のように、刀の運用を熟知した人材がいるといないとでは違って見えますね。
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