功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

中国産功夫片を追え!(2)『京都球侠』

2017-08-21 23:55:07 | カンフー映画:佳作
京都球侠
英題:Soccer Heroes/Crazy Soccer
製作:1987年

▼皆さんお待たせしました。ここ最近は仕事疲れと夏バテが重なり、思うように更新ができない状況が続いています(汗)。なんとか今月中にこの特集は終えておきたいので、ギリギリですが頑張っていこうと思います。
さて今回紹介する作品ですが、こちらはなんとサッカーと功夫を融合した変わり種の武打片です。サッカーと功夫といえば『チャンピオン鷹』『少林サッカー』が有名ですが、中国でも同様のアプローチは試みられていました。
 私はあまりスポーツに詳しくありませんが、中国では古くからサッカーが親しまれており、80年代は長らく不参加だったW杯に復帰して間もない時期に当たります。本作が製作された背景には、そういった事情が絡んでいるのかもしれません。
劇中でも初っ端から現役選手たちの写真が映し出され、続いて当時のFIFA会長だったジョアン・アヴェランジェ氏の御尊顔と、彼の言葉らしきメッセージが画面いっぱいに登場。内容はなんとなく察せますが、翻訳サイトに突っ込んで読んでみましょう。
”足球起源干中国、它在中国有着千年的歴史……(訳:サッカーの起源は中国で、何千年もの歴史がある――)”
…えっと、実際にジョアン氏はこんな発言をしたことがあるんでしょうか?(爆

■(字幕ナシで観賞したのでストーリーは多少推測が入ってます)
 時は清朝末期。北京に駐留するヨーロッパ大使館(どこの国かはいまいち不明)の主宰により、西洋人同士が対戦するサッカー大会が開催された。
しかしサッカーを知らない中国の観客に対し、西洋人チームはボールを観覧席に蹴り入れるなどの侮辱行為を連発。ボールは来賓の政府高官にも当たり、一触即発の状況となってしまう。
 その時、サッカーを学んだ経験のある張豐毅(チェン・フォンイー)が間に入り、見事なプレーで西洋人チームにボールを蹴り返した。とりあえず事態は収拾したが、先の騒動を重く見た政府はサッカーによるリベンジマッチを提案する。
高官たちは今回の一件を単なるスポーツではなく、国の威信を賭けた大勝負として見ていた。そこで彼らは兵士を鍛え、サッカーチームを選抜しようとするが、ルールを知らないので奇妙な訓練を繰り返すばかりだ。
 一方、この事件に一枚噛むことになった張豐毅は、足が不自由な友人・孫敏と協力して独自にサッカー選手候補を探していく。
集まったのは大道芸人の兄弟、お調子者のスリ、荒くれ者の首領に元罪人などなど…。たびたび政府による妨害を受けたが、遊郭を経営する陳佩斯が後援者となり、西洋人チームのキャプテンの婚約者(ポーリーヌ・ラフォン)も協力してくれた。
 が、物語は順風満帆とはいかない。張豐毅と孫敏の関係はギクシャクし、ポーリーヌは張豐毅に惹かれるがキャプテンとの仲は険悪に。更には、捕まえた政府高官によってチームメイトの1人が殺されるという、痛ましい事件も起きた。
さまざまな困難を乗り越え、練習を重ねた彼らは遂に運命の時を迎える。政府は自慢の兵士チームを出動させるが、まったくサッカーを理解していないため演武のような動きを繰り返し、試合にすらなっていない有様だ(苦笑
試合は0-6のボロ負け状態となり、西洋人チームは兵士チームを文字通りボコボコにしてしまう。そこへ見かねた張豐毅たちが参戦し、チーム総入れ替えという異例の後半戦がスタートする。だが、試合の結末はあまりにも痛切なものだった…。

▲実を言うとこの作品、あまり功夫については重視していません。確かに劇中では何度か立ち回りがあるし、試合でもアクション的な見せ場が存在しますが、試合を根底から覆すほどの要素になってはいないのです。
とはいえ、クライマックスの試合はなかなか楽しいものになっており、神功(念力)の使い手がボールを操ってゴールを決めまくるシーンは「流石にやりすぎだろ!」とツッコんでしまいました(笑
なお、本作のサッカー指導は60年代に選手として活躍し、撮影当時はコーチとして中国サッカー界を牽引していた曽雪麟氏が担当。おかげで試合は見応え十分ですが、選手の活躍に偏りがある(=活躍しない選手がいる)のは少し残念に思いました。
 アクションシーンも僅かながら充分に健闘していて、中盤の大乱闘では大道芸兄弟の弟が大活躍するんですが、演じているのは『カンフー無敵』の王建軍! 彼の詳細については今後の特集で触れる予定ですが、ここでの動きは本当に俊敏です。
ただしストーリーについては消化不良な面があり、先述した張豐毅と孫敏の軋轢・張豐毅とポーリーヌの恋など、簡潔に描き切れていない点がいくつか確認できました。
また、ラストの沈痛な展開は賛否が分かれるところであり、私的には「これはこれでOK」なんですが…やっぱりハッピーエンドで締めて欲しかった気持ちもあります。
 功夫片でサッカーをするというユニークな題材に、真正面から取り組んだ意外な佳作。『チャンピオン鷹』『少林サッカー』とは方向性が違うので、見比べてみるのも一興かもしれないですね。
次回は、またも本格的な武術映画が登場! 伝統ある武術の祖に、李連杰(リー・リンチェイ)と切磋琢磨した某武術家が扮します!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿